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大きくて小さい

少し早い誕生日パーティーが終わり、少し酔いながら帰宅。俺はベッドに沈んだ。












翌朝


目覚めると……いや、これは夢だ。

だって全てがビッグサイズ。

携帯がでかすぎる…








「もしもし、名前!」

『誕生日おめでとう、将』

名前ってば能天気だな…そんな場合じゃないのに!

「そんな事より早く俺んち来て!」


それだけ言って、受話器のボタンを両手で押す。
小さい俺からすれば、携帯の画面はテレビ並の大きさ。


なんか…腹減ったなぁ。







少しして、ガチャっと音がして名前が来た。

廊下が凄く長い。


「将ー来たよー。どこー?」

見えてない!?

「ここだよ名前っ!!」
「ん??将の声どこから聞こえてんの?」
「下!名前の足元!!」

やっと名前と目が合った。デカッ!
しゃがんでもでかい…

「………え…?…将…?」
「…そうだよっ。起きたら小さくなってた」
「15cm定規みたいだね」
「う、うるさい!」

確かにちっちゃいけどさ…

「そうだ。名前、俺腹減った」
「パンとプリンならコンビニで買ってきたよ」
「食べる!」



とは言ったものの、俺サイズのスプーンは無いしパンもでかくて食べるのに困った。


パンは人間でいう一口ぐらいでお腹一杯。

プリンはどこから食べよう?


ツルツルしてて食べづらい。
悩んでいると、名前がスプーンでプリンをすくった。
もちろん、俺の顔の大きさぐらいある訳だけど、いくらか食べやすそう。

「これだったら食べれそ?」
「うん」

名前に助けてもらいつつ、プリンも食べた。
たくさん残しちゃったけどな!



「誕生日ケーキも買ってきたのになぁ…どうしよう」
「それも夜になったら食べる」




-名前side-



小さくなった将は可愛すぎて離れたくないぐらい。

よく漫画の表紙とかでプリンと女の子が同じサイズっていうのがあるけど、それがリアルに私の目の前で起こってる。



「ほんと小さいね」
「…早く戻んないかな」
「仕事に支障でるからね。でも小さくなった将って可愛い」
「………名前のこと押し倒せない…」
「なんか何を言っても可愛いね」

拗ねちゃった。
でもテーブルの上から動けないでしょ。
今の将からすれば3階建ての建物ぐらいだもんね。



「俺…いつまで小さいのかな」

体育座りして、膝に顔を埋めた将。
表情は見えないけど、きっと涙目。

「でも、明日ライブとかって訳じゃないから。とりあえず考えるのは明日にしよ?」
「そうだな。…さて、カーテン閉めなきゃだ!」
「はーい」


部屋に差し込む夕日をシャットアウトした。
もうすぐ夜。もしも、このまま将が戻らなかったらalice nineはどうなっちゃうのかな…。

こんなこと、将には言えない。
一番不安なのは将だと思うから。



「テレビ見たい。ソファ連れてって」
「はいはい」

手に載せて、テレビの前のソファまで連れていく。
ソファと将のサイズのアンバランスが面白い。


「すげー、テレビが映画館のスクリーンみたい!!」
「あー、そうかもね」


世界が10倍に見えてるわけだもんなぁ。


さて、私は夕飯の支度を始めよう。





-将side-


テレビ画面に映る内容はほとんど頭に入ってこない。

あと3日間はオフだけど、そのあとはまた曲作りだとか練習が入る。

こんな姿じゃ仕事なんて…できないよ…

何をするにも名前に頼りきりだし、男として情けない。



「ん、いい匂い…名前、今日の夕飯て何?」
「ビーフシチュー」
「俺、食べれるかなー」
「固形じゃないから平気じゃない?」


ビーフシチューかぁ…
肝心のビーフを食べれないかも…

ケーキは食べれるだろう!







-名前side-


「できたよー」
「おー良い匂い」
「食べ終わったらケーキ食べようね」


昼みたいにスプーンを将に向ける。
やっぱり食べる姿が…………………可愛い。

必死な感じがするんだもん。



「なんか、牛肉ってデカいと結構グロいね」
「うっ…そういうこと言わないでよ…」

あたしも同時進行でビーフシチューを食べた。



「ケーキ食べよーぜ!」
「うん、持ってくるね」


流石に1ホールは食べれないだろうけど、ちゃんとローソク立てて、名前の書かれたプレートものせた。

ハッピーバースデーの歌も歌って、将が一つ一つローソクを消した。


「1人で平気そう?」
「たぶん平気」


家で一番小さいフォークを探し、渡した。それでも自分より少し小さいだけのフォークを両手を使って一生懸命食べる姿は凄く可愛い。

















夜も遅くなった。
俺はまだ小さいまま。


普段、名前が家に来てるときは同じベッドで二人で眠るけど、今日は違う。

『将のこと押し潰しちゃう』

とか言って、俺は何時も通りベッドで名前は布団を敷いた。

同じ部屋だけど、なんだか距離を感じた。






俺は疲れも溜まってたせいか、すぐに眠りについた。



















「…ん」


目覚めると、天井が近い。

ベッドのサイズも普通。



通りを見ると

俺より背が小さい名前がいた。


「戻ったー!!!!」













早朝5:40

俺の叫び声で名前は目覚めました。












(まだ小さいままで良かったのに)
(俺は嫌だね!)







*

将くんHappyBirthday☆

金曜日に友達と話してた内容が元ネタです。



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