SPIRIT OF MASTER
†††
ゆっくりと、ゴンドラが空へと昇っていく。
水面につくるような、軌跡を描いて。
私、まだ歌えるわ!
私は、世界を愛してる!
私は、生きてる!
誇らしげに少女が輝く。
伯爵は遠くなっていく少女の叫びを、無言で聞いた。
貴方にも、届けるわ!
きっと…!
掻き消されるように、小さくなっていくゴンドラから、少女の言葉。
伯爵は天を振り仰ぐ。
「ああ。君が輝いていたのは、ボクはよく知っていたよ。空に輝くお姫様。」
世界のかけら。
数多の愛を歌うもの。
彼女は星の少女。
「また落ちてきたら、すくいあげてあげる。だから。もう、忘れないで。」
君の歌う愛を、ボクは楽しみにしているのだから。
Fin
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