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「…ポチ、おまえって、ほんっとーに安里のこと好きだな」


「は?」


「おまえは平気そうだけど痣だらけだしさ、安里と違ってちょっと暗いからなんかあったんだろうけど、…俺はおまえらの相性って最高だと思うよ」


いきなり、そんなことを言われた。


「……おぅ」


「なんだよ照れんな」


「いや照れてるわけじゃねぇよ」


とかってテキトーに話して、チャイムが鳴りそうになったから教室に帰って、一番後ろの俺の席に座った。それからチャイムが鳴り始めて鳴り終わって、ようやく色んな思考が動きはじめる。動くのが遅いのは俺の頭のせいだからしょうがねぇ。


…あの言葉にはビックリした。


いや、本当に全く照れてはいなかったんだが、ただ、何となく日下からそんな言葉が聞けるとは思ってなかった。


なんつぅか、アレだ。


日下は安里のことが好きなのかもしんねぇとか、実はけっこう長い間思ってた。


俺が安里に告ったあたりも日下はちょっと複雑そうだったし、けっこう昔っから安里のことを知ってるっぽいし。


まぁ、だからって確信があったわけじゃねぇんだけど、もしかしたらそうなのかもって思ってたのが、いらない懸念だったらしい。それも確かなわけじゃねぇけど、なんとなくさっきのは本気っぽかった。


なんでそんなに気にするかってそりゃあ、日下が安里のことを好きなんじゃねぇんなら、まぁ、…嬉しいからな。
俺にとっても間違いなくダチだし。


…でも、ならなんで複雑そうだったんだ?

…あれか?ダチを変な道に引きずり込むなってことか?

ま、そのうちわかるか。






それから二週間。


山元の顔の腫れもすっかり治って、散々に殴られた俺の痣もすっかり治って、安里のクラスの奴らの反応もそれなりには落ち着いたってぇのに、俺は『ポチ』についてモヤモヤしっぱなしだ。


会長に聞こうかどうか散々悩んでは安里の口から聞きてぇと思い直し、もしかしたら日下も知ってんのかもとか思って聞こうかどうかまた悩んだ。


しかも全然構ってもらえてねぇからいろいろ足んねぇし、なんかちょっと凹む。


安里は文化祭の準備やなんやで忙しいからしょうがねぇのはわかってんだけど、二週間はつらい。


…だがこれも今日まで。


今日こそ、安里を忙しくしていた原因の、文化祭だ。


俺は文化祭みてぇな行事に興味はねぇし、今日は休みか、とか思ってたってのに。




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あきゅろす。
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