3 地面を凝視していると、す、と長身の安里がもっと近づく影が見えて、体を強張らせたら顎を指ですくわれて目があった。 …安里の綺麗な顔が側にあって緊張するから目ぇ逸らしたいのに、見とれて逸らせないとかほんとどうかしてる。 心臓が有り得ないくらい跳ねて死にそうで、頼むから離してくれ、と目を閉じたら、閉じるな、と言うように俺の顎をもつ安里の指に力が入った。 それで思わずその目をまた見てしまう。 焦って逃げ腰の上にもしかしたら涙目な俺に、ふ、と柔らかくなる安里の目尻。 そして、悪魔のようなこのセリフ。 「……俺に全力で尽くすってんなら、つき合ってもいいかな」 「……え……?」 なぜか機嫌が良さそうに紡がれた安里の言葉の意味がすんなり入ってこなくて目を見開くと、安里の綺麗な鳶色の目が細くなる。 「俺のこと好きなんだろ?」 あぁ声もいいんだよな。 間近で聞こえた安里の声に、MAXだと思ってた心臓がさらに早く跳ねた。 好きだ、好きだ。 信じられねぇくらいに俺は安里のことが好きだ。 体育館裏で、俺は何故か逃げ腰で、それを追うように距離を詰めた安里が俺を壁際に追い詰めてる状況。 一見すると俺が迫られてるみたいなんだけど、実際は俺が告白したほう。 告白スポットだからそれ以外のやつは滅多に来ねぇけど、誰か通り掛かったら確実に誤解されんぞ。 「……っ」 ていうか、やっと理解した。 安里の返事の意味。 ……………。 ちょっと、待ってくれ。 俺バカだし、頭の整理が追いつかない。 俺の想像では、さ。 約50%キモい、と罵倒。 約50%本気にしてくれない 成功率は1%より低い…。 ぐらいに思ってたのに。 「なァ、どうすんだよ?」 あーこれは予想外だ…… 「………………」 これ………成功、なのか………? 「…………つきあって、くれ」 こうやって、告白は成功したのかどうかはわかんねぇけど、俺は安里の恋人(?)になった。 [ペット宣言]End [*前へ] |