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堪え難い痛みを発してるケツをさすりながら安里の後ろを歩いて学校についたら、まるで見計らったかのように校内放送が流れた。


生徒会室に来い、と。





「入るぞ」


安里はビクビクしている俺の襟を掴んで、容赦なく生徒会室に踏み込む。


「お、どうした陽」


中に待っていたのは、相変わらず余裕たっぷりの会長。高級そうな机の上に足を投げ出して、エラそうに踏ん反り返ってやがる。


その体勢で仕事やってんのか本当に。


「コイツ一人でこんな場所に来させられるか。食われるのがオチだ。何の用だ」


「おいおい随分過保護じゃねぇか…海斗、こっち来い」


「…嫌だ」


確かに1対1なら敵わねぇが、今は安里がいる。安里より強ぇらしいが、逃げるくらいは出来るだろう。


「くく、脅えてんなぁ…興奮するぜその表情…」


「…変態め」


「そう言うな、おまえも同類だろうが。可愛いペットは撫でるだけじゃ済まさねぇ。虐めて鳴かせてやっと餌を与える…だろ?」


「黙れ、俺は」


「おいどうした海斗。いつもに増してイイ顔してるじゃねえか」


「…帰らせてくれ、本気で」


頼むからそういう嫌な会話は俺がいないところでやってほしい。会長と対しているといつもだが、安里の機嫌が急降下していく音が聞こえる気がして、俺の肝が冷える。


「ま、陽がいるんじゃどうせ何も出来ねぇしな。陽を撒いたらまた来いよ」


「誰が来るか」


安里を撒く必要性を全くもってこれっぽっちも感じねぇ。第一、何をする気だこの野郎。


「…行くぞ」


「待ってるぜ、海斗」


「来ねぇ」


さっさと振り返って生徒会室から出ていく安里の背を追おうとした。


「海斗」


が、それを邪魔するみてぇに名前を呼ばれ、無視するわけにもいかねぇから足を止めて振り返った。


「なんだよ」


「真面目な話だ。手は出さねぇから本気で撒いて来い」


「…真面目な話?手は出さねぇ?」


突っ込み所が二カ所あってちょっと混乱したが、突っ込むべきは前者だ。


「いいか、陽を連れて来るなよ」


「…」


珍しく真面目な顔をしている会長に咄嗟には何も言えず、俺はとりあえず安里の後を追いかけた。


安里を連れていけねぇ真面目な話となると、もしかして安里についての話か?


…行くか行かねぇかを悩む余地はねぇな。


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