7 「かはっ……!」 安里に蹴られた横腹と、フローリングにぶつけた背中が痛ぇ。つか、今なんで蹴られたんだ俺。 腹を押さえながら起き上がれば、もうモノをしまった安里がソファーで殺気を放っていやがる。 安里のを舐めながら興奮して勃ち上がったもんも、痛みと恐怖で完全に縮んだ。 ちなみに俺の今の恰好は、全裸に包帯と首輪っつード変態な恰好だ。別に構わねぇけど。 見れば蹴られた箇所は青く痣が出来ている。蹴られることはよくあるが、ここまでになったことも、安里がそこまで本気で蹴ったこともなかったんじゃねぇか? つまり。 今までになく安里が怒っている、かも知れねぇということ。いや、昨日もかなりだったが。 「龍のモノをくわえたのか?」 「え、あぁ…」 「…なるほどな。つまりおまえは、俺のやったリングを取られ、あいつに首輪をつけられ、さらに挙げ句の果てには奉仕までしてやったと」 いやいや、俺が奉仕だと?違ぇだろあれはどう考えても暴力だ。 「俺は、」 「黙れ。おまえはわかってねえな?…賢い犬ってのはな、ご主人様の味方には尻尾を振り、敵には牙を剥くもんなんだよ」 安里がソファーから立ち上がって、床に座り込んでる俺の方へと歩いてくる。 「誰にでも尻尾を振る駄犬には、しつけが必要だ」 俺のすぐそばに来て、起こしていた上体を今度はやんわりと足で倒される。そのまま、安里の足が俺の胸に体重をかけていく。 「…あ、安里…ッ」 ちょうど肺の上。心臓ごと圧迫されているような、そんな苦しさ。 「俺に全力で尽くすんだろ?」 苦しくてぼやける頭で必死に考えて、必死に頷いた。何をされたって、全力で尽くしてやりたい気持ちに変化はねぇ。 「誓ってみせろよ」 ス、と圧迫感が消えて、安里の足が退けられた。 誓い? ってーと、どうやるんだ? ひゅーひゅー鳴る喉は我慢して、とりあえず起き上がった。 そしたらふと思い付いて、そのままはいつくばる。 顔を下げて、 安里の足の甲に近づけて、 精一杯の忠誠を心に誓って、 そこに、キスを落とした。 [*前へ][次へ#] |