18 禁欲週間の終わり、安里の手によって抜いてもらえるハズだった俺は今、どっかのバ会長のせいで安里の前で正座中です。 「……ご、ごめんなさい……」 それはもうここ10年は言ってないんじゃないかという台詞なのに、スラスラと口から出た。 「………」 安里は部屋に着くなり俺を床に引き倒して、ファスナーを下げてモノを取り出し、リングが付いていないことに気づき、握り潰さんばかりの握力でそれを掴んだあと、ソファに座って俺を見ながら沈黙。 俺は慌ててモノをしまって安里の足元に土下座。 今はまさしくその状況。 そのまま何分経っただろう。もう軽く30分はいってる気がする。足は普段正座なんかしねぇもんだからもう感覚ないくらい痺れてて、ちょっと動かそうもんならあの独特の痛みがくる予感。 「…………」 「…………」 怒っている。それは間違いない。が、弁明をすべきかどうかが問題だ。グダグダ言わずに謝るほうが誠意は伝わる気がする。 「…………」 「…………」 けど、ちょっとキツクなってきたぞ。何故なんにも言わない。蹴ったり殴ったりされる方が堪えられるんだが。 「…………」 「………っ」 足が、やばい、痛い。 「………海斗」 「…な、なんでしょうか」 突然の安里の声に思わず敬語。怖い。 「………リングはどこへやった」 「リ、リングは、…………」 ……リング? ………会長の、手の中だ。あんなもんでも安里に初めて貰ったってのに、イかされたショックで取り返すのを忘れてた。 「……な、失くなった」 「リングが勝手に失くなった?自分で抜いて捨てたのか」 「いやっ、違くて、その…」 早く答えねぇと安里の機嫌が地に潜るのはわかってる。けど、言い訳、していいのか…?なんか、言い訳したら痛い目見る気がするんだが…野生の勘で。 「…早く言え」 「会長にっ、取られたっ」 頭をゴシゴシ床に擦り付けながら、観念して叫ぶみたいに告白した。 途端、溢れ出す殺気。 ……というか、不機嫌オーラ。 [*前へ][次へ#] |