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放課後に安里の教室まで行くと、日下はいなくて山元だけが机に座って(机の上、な)カチカチとケータイを弄っていた。


失礼極まりない話だが、山元は機械に疎そうだから意外だ。


「…山元、今日サンキュ」


黙ってしまったらなかなか言い出せないと思い、入るなりそう言った。山元は顔も上げずに画面を見つめたままだ。


「…なんや?頭でも打ったんか」


「…昼間、安里を呼んでくれただろ」


くそ、もうイライラしてきたぞ。俺は礼を言う立場なのにっ。…これって俺が短気なのか?


「は、あほか。呼んだんやないわ。ヒロに言うたらヒロが安里呼んだんや。…したら安里が俺を問い詰めてしょうがなく………やから、おまえを助けたんはまったくの不本意やわ。勘違いすな」


イラッ。


え?安里なんでこいつに感謝しろって言ったんだ?……俺まだこいつに感謝しねえとなんねぇ?


「…龍のペットになりゃよかったのに」


いやーもういいよな?もう感謝しなくていいよな?


「安里のペットは、俺一人で十分やろ…」


ボソッと、放課後の教室に消え入るような呟き。


あ、そうか。


こいつ…もしかしなくても。


「おまえ、妬いてんのか…俺に」


「な…っ」


ずっと画面を見ていた山元の顔がやっと俺の方を見たと思ったら、カッと真っ赤に染まった。それはもう茹蛸のように。


「うっさいわ、死ねボケっ」


「おっと」


山元がケータイ握ったまま殴り掛かってきやがったから慌ててそれを避けて、手首を思い切り掴んでやった。弱ぇなこいつ。


「離せっ」


もう片方の手も飛んできてそっちも難無く掴む。


「あぶねぇだろ」


「知らんわっ死ねっ死ねっ」


「おまえなっ」


どうすっかなこいつ…。追い詰められた猫のような錯乱状態だ。あ、虎か。俺じゃ手に負えねぇから、こいつの飼い主来ねぇかな。


日下、何してやがんだ。


ガラ…


「ん?何してるんだおまえら」


日下!なんてタイミングのいいやつなんだ。


「じゃれ合ってんのか?いつの間にか仲良くなったんだな〜二人とも」


……空気は読めねぇみたいだけどな。


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あきゅろす。
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