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顔を膝に押し当てて隠す。安里もしゃがむ気配がしたと思ったら、撫でられた。


「嬉しいか?」

って、嬉しくない訳がねぇのに。


「おまえが痛そうなのも苦しそうなのも見てて楽しいけど、照れてんのも悪くねえな。言ってよかったよ」


ははって笑い声とともに、つむじをグリグリ押される。畜生顔が見てぇけど俺の今の顔は見せたくねぇ。しゃがんだまま膝を抱えて俯いてたら、つむじを触ってた安里の手がすべって、首の後ろを撫でられた。冷たくてビクッとしたら、その手が詰襟まで入ってきて、首輪と首の間をなぞられる。


「おまえ、隠せてねえよ。耳もここも真っ赤」

「……っ!!」


くく、と笑う声がくすぐったい。全部ばれてんだと思うと、ばれてんのにますます顔があげられない。


「…不意打ちすぎんだよ…。…さっき、言いたくないって言ってなかったか」

「ああ、おまえが俺に好かれてんのか不安になってんの面白いからな」

「…性格わりぃ…」

「ああ、そうだな」


畜生声が優しい。低い声が耳に響く。安里に撫でられる場所から体温が上がる気がする。


「ほら、そろそろ顔上げろよ。ここ道の真ん中」

「…」


顔が赤い気がするからあげたくなかったのに腕を引かれて、しょうがねぇからおそるおそるあげたら、遠慮なしにぶはっ、と吹き出された。

…安里は安里だ。






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