33 顔を膝に押し当てて隠す。安里もしゃがむ気配がしたと思ったら、撫でられた。 「嬉しいか?」 って、嬉しくない訳がねぇのに。 「おまえが痛そうなのも苦しそうなのも見てて楽しいけど、照れてんのも悪くねえな。言ってよかったよ」 ははって笑い声とともに、つむじをグリグリ押される。畜生顔が見てぇけど俺の今の顔は見せたくねぇ。しゃがんだまま膝を抱えて俯いてたら、つむじを触ってた安里の手がすべって、首の後ろを撫でられた。冷たくてビクッとしたら、その手が詰襟まで入ってきて、首輪と首の間をなぞられる。 「おまえ、隠せてねえよ。耳もここも真っ赤」 「……っ!!」 くく、と笑う声がくすぐったい。全部ばれてんだと思うと、ばれてんのにますます顔があげられない。 「…不意打ちすぎんだよ…。…さっき、言いたくないって言ってなかったか」 「ああ、おまえが俺に好かれてんのか不安になってんの面白いからな」 「…性格わりぃ…」 「ああ、そうだな」 畜生声が優しい。低い声が耳に響く。安里に撫でられる場所から体温が上がる気がする。 「ほら、そろそろ顔上げろよ。ここ道の真ん中」 「…」 顔が赤い気がするからあげたくなかったのに腕を引かれて、しょうがねぇからおそるおそるあげたら、遠慮なしにぶはっ、と吹き出された。 …安里は安里だ。 [*前へ][次へ#] |