校内一の破壊神
Hallelujah!! Hallelujah!!
先程から私はそればかりを心の中で叫んでいて、何も知らない風魔君は至って何時も通り
まさかの救世主が現れた、それも最強無敵の松永先生!!
助けてくれると言ったのだ、きっと風魔君をギッタギタのメッタメタにしてくれるに違いない
爆破?撃破?原型留めないくらいにしちゃうとか?
ああ、想像しただけでもニヤけてしまう!!

「風魔君!!そうやって居られるのも時間の問題だよ!!」

指差しながら言えば、彼はただ首を傾げただけ
知らぬが仏、知ってキリストだ
もうすぐ授業が始まる、先生は何時現れるのだろう、今から?
出来るならば今すぐにでも来て欲しいくらいだ

「!!」

そんな私の願いが叶ったのか、突然前側の扉が景気良く爆発した
轟々と燃え盛る炎は一瞬で、すぐに消火器を手にした松永先生が消化活動をしながら教室へと入って来た
いつもならその行動に一々脅えるだけの私も、今では先生のちょと御茶目なパフォーマンスにしか思えない

「今川先生が突然校外へと出かけてしまってね、代わりに私が担当する事になった。」

教壇の前に立つと先生は喉をクツクツと鳴らしてサラリと言い退けた
きっと今頃今川先生は集中治療室か霊安室で一人安らかにお眠りになっているだろう
皆が小さくボソボソと喋っている中、私は一人掌を会わせて「南無阿弥陀仏」と呟く
その際に、チラリと今回のターゲットとなる風魔君を見れば、彼は酷く不満そうな顔をしていた
松永先生の事が嫌いなのだろうか、二人の関係を知っているわけではないが、親しそうには思えない

「ふむ、風魔、卿の席はそこでは無いだろう。元に戻りたまえ。」

「………。」

おお、何て直球な人なんだろう、寧ろ今まで誰も何も言わなかった方がおかしい
先生は教壇にある座席表と彼を交互に見て、ニヤリと口元を緩めた
指摘された事が不愉快なのか、彼は腕を組んだまま苛々しているが全く動く気配が無い
反抗期?松永先生にまで牙を向くとは、恐い物知らずか

「風魔、戻りたまえ。」

「風魔君、先生の言う事は聞くべきだよ!!反抗期も相手を選びなさい!!」

「………。」

松永先生が居るなら私は何も恐くなんて無い、だから彼への指示も平気で出来る
暫く無言が続いたけれど、盛大な舌打ちをすると彼は自分の机と椅子を持って本来の場所へと向かった
そんな彼の背中を見つめながら、私は「やーいやーい」と心の中だけで彼を嘲笑う
そしてすぐに彼が空席となっている笹塚君の机や椅子を一瞬にして廊下まで蹴り退けたのは見なかった事とする
隣に彼が居ない、そんな当たり前の事でも嬉しくて私は机の下で小さくガッツポーズをしてみせた
さぁ、松永先生は更に何をしてくれるのだろう
まさかここで普段通りの過激な性教育は無い筈、きっと私の為に何か、何かしてくれる筈だ!!
早く何か言わないか、早く何かしてくれないか

「…さて、今日は思春期について語りたいと思う。」

そう言って笑った先生が気の所為か、何か企んでいるようにも思えた


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あきゅろす。
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