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副シャン
キリリク→白秋さん 【群青の海】前編

アノ日切り刻まれたこの傷が疼き出すと、決まって嫌な夢を視る

鈍く不快な金切り音を立てる歯ぎしりに何時も自分自身で悪夢から目覚めさせられる

今日もほら…やっぱりまた…












……シャ……ス…

(?…誰だ…止めてくれ…そいつを壊さないでくれ…止めろ…)

…クス…シャン…丈…か…

(…誰か!…誰か!…止めっ?!ハァ…そいつだけは殺…んじゃ?!ハァハァ…止めっ!止めろ止めてくれ?!…やっ……)

『止めろーーー!!!』
『シャンクス?!』
『ハァハァ…ハァハァ…ハァ…』

アノ光景がフラッシュバックで身体の内部を汚染し始めるとこの寒気は暫く止む事は無かった

今朝も毎度同じみの悪夢によって無理矢理引き起こされると、決まって何時もの様に張り付く様な気持ちの悪い冷や汗と身体の震えで上手く息も吸えなくなっている

『シャンクス!…あんた大丈夫か…』
『…ハァハァ…ハァ…ヒュッウ…?…ベッ…マン…?ッゲハッ!?ゴホッ!』
『あぁ…俺だ…喋らなくて良い…とりあえずちゃんと深呼吸をしろ』

ただ最近新しく仲間になったこの厳つくて広い背中のベックマンのお陰か、息苦しい朝からは時間的に開放されていた

『大丈夫かあんた?』
『ケハッ…ハァ…あぁ…悪いなベンちゃん』
『…ところで…その呼び方…何とかならないか?』
『え?親しみ込もってて良くねぇ?何と云っても…ベックマンだと長いし可愛くねぇし(笑)』
『可愛?…いやまぁ…あんたが良いなら良いが』
『それに…俺だけが呼べるって愛称が良いじゃんか』

そう…少し前から俗に云うそういう間柄だ

始まりは簡単
大した理由では無かった…今日の如く悪夢から開放され虚ろにベンの顔を捉えた瞬間、込み上げる物が耐えられずベンの胸に雪崩れ込み嗚咽しながら息もそぞろに抱き締めていた

…震える腕で必死に…

今思うと、何も云わずに抱き締め返してくれたのがきっかけで今の関係に落ちたのかもな

『…いつも…悪いなベンちゃん…』
『気にしなくて良い…』

それからというものコイツは何時も側に居てくれる
何も語らず…何も聞かず…

それが今の俺には有り難かった












まさか…またアノ時と同じ様な事が起きる迄は…


―続く―


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