Gift flagile present 「……なんでだよ。…なんで、こうなるんだよッ!?なぁ!!なんでなんだよッ!?……笑ってないで、答えてくれよ…。」 頼むから……。そう悲痛な声で叫ぶロイドに、俺はただ、笑顔を返すだけ。 ……そうでもしなきゃ、"俺"を、保っていられないから…。 …もし、少しでも余計な口を開けば……本音を、言ってしまいそうだったから…。 それにロイドには、もうこれ以上苦しんで欲しくなかったんだ…。 我ながら、自分で苦しめておいて『苦しんで欲しくない』なんて言うのは、バカげた話だと思うけど。 …それでも、苦しんで欲しくないっていう気持ちは、本物だから―― 「……本気でこないと、死ぬ、ぜ?」 「……ゼロスッ!!」 今、立っているのは俺とロイドの二人だけ。 他のみんなは、戦える状態ではない。 ……俺が、そうしたから。 だが、あのメンバーを相手に、無傷でいられる訳がない。 現に俺の身体は、何ヵ所かから少し血が流れている。 だが、天使化の影響で痛覚等の感覚がないため、こうして立っている事が出来た。 「……ゼロスッ!!…お前、『信じていい』って…言ったじゃないか…。『まかせろ』って…笑って言ってくれたじゃないかッ!!」 「………。」 「どうして何も答えてくれないんだよッ!?……黙ってちゃ…わからないのに…。」 本当に苦しそうなロイドの顔。 ――痛い。 痛みは、感じないはずなのに。 ……心が、痛い。 ずっと騙していた事が。 みんなを傷つけてしまった事が。 …ロイドに、何もしてやれない事が。 全てが、心の痛みとなって、のし掛かってくる。 ―――どうせなら、心の痛みも感じなくなってしまえばよかったのに――― ゆっくりと、剣をロイドへと向ける。 「……ゼロス?」 「……もう、時間がないんだ。…わかるだろ?」 こうしている間にもコレットは、着々とマーテルの器にされているのだから…。 「お互い譲れないなら……俺かお前、どっちかが死ぬしかないんだよ。」 「……そんな事ないッ!!どうして、どっちかが死ななきゃならないんだよッ!!…一緒に生きればいいじゃないか!!」 ―――『一緒に生きる』、か…。 俺が、もう少し強ければその道を選べたかも、な…。 ――でも、もう…無理なんだ。 もう…引き返す事は出来ない。 「……お喋りはここまでだ。…行くぜッ!!」 「…………ッ!!…クソォー…!!」 ……頭が、ぼんやりする。 痛みは感じないが、腹から盛大に溢れ出る血のせいだろう。 「…派手に…やってくれちゃったなぁ……。」 俺が声を出す振動に合わせて、血が流れ出る。 「…ゼロス!!喋っちゃ駄目だッ!!」 泣きそうな声で、ロイドが叫ぶ。 「……ごめ、ん…な…?……ロ、イ…ド…。」 「……ッ!謝る位なら、最初からこんな事すんなよッ!!…俺が、どんな思いで……!!」 ロイドの顔が、酷く歪む。 ……あぁ、そんな顔をさせたい訳ではないのに。 「…お前が、こんなに追い詰められてたとも知らずに、俺は……!!」 「…ち…が……か、ら…。」 (……違うんだ。お前は悪くない。) ―――本当に、ギリギリの世界で、俺は生きていたんだ…。 親に否定され、王室からは脅えられ、教会には疎んじられ… 唯一の肉親であるセレスは軟禁されて。 俺は、いつも独りで……逃げ出したくて。 だけど、"神子"である俺に、逃げる事は許されなくて……。 いい加減、こんな日常に嫌気がさしていた時に、お前に会ったんだ。 いつも自分に正直で、希望に満ち溢れ、失敗しても反省し、また前に進んで行く強さを持ったお前は、俺には眩しい存在で。 "神子"として、ではなく"俺自身"として、手を差し伸べてくれたのも、お前が初めてで。 本当に、嬉しかったんだ。 "神子"なんて肩書きがなくても、生きていていい様な気がして。 ……お前となら、俺も"俺らしく"いられるような気がして。 ――お前と、ずっと一緒にいたいって、思ったんだ。 その事を伝えたくて、お前の部屋へ向かった雪の夜。 だけど、部屋にお前の姿はなくて。 ……雪の日は、独りでいたくなくて。 必死に探して見つけたお前の隣には、蒼い天使様。 ……目の前が、真っ暗になった。 その後、どうやって部屋まで戻ったのかは覚えてなくて。 目が覚めたその時、ただ漠然と広がる二つの道のどちらかを、進まなければならなくて。 ……ギリギリの世界を生きていた俺には、お前を信じられるような強さを持っていなくて―― ……お前が俺を信じてくれている事は、わかってた。 ―――信じられなかったのは…俺の方。 だから、お前が気にする事は、全くないんだ。 悪いのは、お前を信じる事が出来なかった弱い俺なんだから…。 その事を、伝えたくて。 ――ロイドに、俺の事でこれ以上苦しんで欲しくなくて…… 残された力を、話す事に集中する。 「……お、前は……悪く…な…から……。」 ――気にしないで そういう意味を込めて笑顔を作ったが、上手くできたかは、わからない。 ……身体が、もう思うように動かなかった。 「ゼロスッ!!」 とうとう、ロイドの瞳から涙が流れる。 ……泣かないでくれ。 お前には、いつでも笑って前を向いていて欲しいんだ…。 そう伝えたくて口を動かすが、もう声はでなかった。 ――タイムリミット、か。 目が、霞んでくる。 ――まだ、ロイドの顔を見ていたかったのに 「……嫌だッ!!死ぬなんて許さないからなッ!!…俺はずっとお前と一緒にいたいんだ!!」 そのロイドの言葉に驚く。 ――俺と、同じ気持ちでいてくれたんだ…。 その事が、とても嬉しくて。 声は出なくても、口の動きだけでもいいから、思いを伝えたくて。 だけど、俺にはもう、ほんの少しですら口を動かす力は残ってなくて。 ……もうほとんど見えていない目を、開けている事もできなくなってきて。 ――この思いが、ロイドに届く事を強く願いながら、ゆっくりと、目を閉じる。 「…ゼ、ロス……?ゼロス!?頼むから、目を開けてくれよッ!!……お願い、だから……!!」 ――ごめんな、ロイド…。もう、限界みたいなんだ……。 伝わるかどうかも、わからないけど……どうしても、伝えたい事があるんだ。 ――ロイド、愛してるぜ…… 「ゼロス…。……俺もッ!!…ずっと……愛してる、から…。」 だんだんと薄れていく意識の中、涙声で囁くように告げられたその言葉に、思いが伝わった事を知る。 ――よかった…この思いを、伝える事ができて…。 意識がなくなるその瞬間まで、俺はこれ以上ない幸せを感じていた…… 『こ ん な 俺 を 愛 し て く れ て あ り が と う 』 二葉様との相互お礼文です!! リクが『ロイゼロで切なくて、最後にはゼロスが救われる』というものだったのですが…… 撃 沈 orz リク通りになってないどころか、文がぐちゃぐちゃすぎる…(;´д`) すみません!!気に入らなかったら書き直すので、もうズバッと言ってやって下さい!! 二葉様のみお持ち帰りOKです☆ 密かに捕捉させて頂くと、 ゼロスの本音というのは、『ロイドと二人で全ての事から逃げ出したい』というものです。 そしてこのロイドはゼロスを普通に信じてます。 他にもオリジナル色満載ですが、気にしないでやって下さい(^_^;) [次へ#] |