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「もぅ〜、なんで凍らないのよ!!!」




光輝く太陽。その下に照らされてるは白銀の世界。雪の結晶に光が浸透し、キラキラと宝石のように輝く。


そんな中に、悔しがるように怒った口調で、季節相応に冷たくなった湖に向かって言う少女が一人。
半袖のYシャツをして、その上に水色のワンピース。胸元に赤いリボンをし、頭にも緑色のを可愛らしくつけている。そして、背中に羽のような氷があった。
そんな彼女の名前はチルノ。氷の妖精である。今、彼女はある事に一生懸命である。そのある事というのは・・・


「凍れーーー!!!」


そう叫んで、自分の目の前にある水を凍らすも・・・その先までは至らない。今、彼女は広大な湖を凍らそうと頑張ってるのだ。意味は特に無いが・・・ただ湖を凍らせば、周りはこれを異変だと考え驚くと思ったから彼女はそれをやる。自分は最強だと認めさせる為に・・・
「あぁもう!全然凍らない!!!」
目の前の湖に八つ当たりするように叫ぶチルノ。そして、考えるように腕を組み始め・・・


「何がいけないんだろ?」


そう、真剣に原因を考えていた・・・・・・その時・・・



「バニシュじゃないからだよ。バニシュ。」



そんな声が聞こえたと同時に・・・突然、彼女の目の前に広がる湖が一瞬にして凍る。これにはチルノも目を丸くして驚いていた。
「えっ?えっ?」
状況がよく分からないものの、湖を凍らした人は誰なのかと声が聞こえた方向に向くと・・・


「うん、理論通り。これで『氷系バニシュ』に関しての論文ができる。」



『氷系魔法はバニシュが最強!!』と表紙に書かれている本を持った騎士の格好をした男が満足気に湖を見ていた。そんなナイトをじっと見つめるチルノ。
「・・・・・・・・・」
「さて、帰って早速書こうk」(ガシィ
結果に満足した騎士は帰路につこうとしたその時、突然右腕を掴まれる。見るとチルノが目を輝かせながら見上げていた。そして・・・









「あたいを弟子にして!!!」





























『バニシュうどん』





















「はぁぁぁああぁぁあぁあぁああぁぁっ!!!バニシュ!!!!」


・・・気合を充分に入れ、それを糧にバニシュと叫ぶチルノ。彼女の為にと溶かされ元の状態に戻った湖に向かって・・・。だが・・・何も変化は起こらない・・・
「Cさん、凍らないよ?」
それに困ったチルノは縋るように・・・隣で本『氷バニシュの作り方』を読んでいる師匠・・・Cさんに聞く。
「バニシュへの想いが足りないからさ。いいかい?バニシュの想いが強ければ強いほどバニシュもそれに応えてくれる。こんな風にね・・・」



「ブリザガバニシュ!!」



「おぉ!!!」
歓声を上げ、目を輝かせるチルノ。なぜなら、バニシュの対象になった木は天に届くほどの立派な氷柱を作ったからだ。細長く白い氷を・・・
「ま、こんなもんかな。」
そして、さも当然のようにそれを見上げるCさん。そんな彼の様子にチルノは大興奮である。
「凄いよ、Cさん!!あたいもあんな氷柱作りたい!!!」
「それじゃあ、自分の心の中にあるバニシュへの愛を深めるんだ、チルノ。」
「愛?」
「そう。何事も愛がなければ成長しない。それはバニシュも同じさ。だから、自分なりにバニシュへの愛を深めるんだ。そうしたら、チルノも俺のようなバニシュを放つ事ができるようになるさ。」
「う〜ん・・・分からないよ・・・」
「それじゃあ、悩んで考えるんだ、チルノ。そうすれば、自分のバニシュが見つかる。それじゃあ、俺は人と待ち合わせしてるからこれで・・・・・・」









「う〜ん・・・う〜ん・・・・・・」


Cさんが去った後も・・・それに気付かず考え続けるチルノ。愛とはなんなのか、自分のバニシュとはなんなのかを一生懸命・・・考える・・・
「やっぱり、わかんないよ、Cさん。・・・Cさん?」
だが、考えても考えても分からないからCさんに頼ろうとするも・・・ようやく自分の近くに師匠の姿がない事に気付き、キョロキョロする。そして・・・



グゥ・・・・・・



「お腹空いたな・・・」
空腹になった事も気付き、お腹をさするチルノ。
「何、食べようかな・・・」
そして・・・食事は何にするか考え・・・頭の中に食べたい物を浮かべた時・・・・・・


「・・・そうだ!!」




















「チルノちゃん、何してるの?」
「見ての通り、お店を開いているんだよ!ミスチーも食べる?バニシュうどん!!」


場所は変わって・・・チルノがいる場所は人里の市場。人が何かを求め・・・行き交う場所。そこでチルノはお店・・・食べ物屋を開いたのだ。季節外れだが、冷うどんを。ちなみに、バニシュ製。




「こんな季節に冷うどん?私はいらないよ〜」
「こんな季節に冷うどんとか聞いた事無いので抜けますね^^;」
「チルノちゃんが作った冷うどんだというのに・・・くそ!!冬という季節が恨めしい・・・」
チルノのお店を見るや否や、人々はそんな言葉を残して去っていく。なぜなら、今の季節は冬。そんな時期に冷うどんはあまりにも場違いであった。


ちなみに、なぜチルノはバニシュ製の冷うどんを作ったかというと・・・理由は簡単。冷うどんを食べたかったからだ。それは好きでなければ真っ先にそれを思い浮かべれないと考えたチルノはCさんの言葉『バニシュへの愛を深めるんだ』を元に作る。バニシュうどんを。作っている内に愛を深めれると考えて。だから、調理している際もずっとバニシュバニシュと呟いていた。そして、出来上がり・・・バニシュへの愛を他の人にも広めようと店を出したのだ。だが・・・


「季節外れ・・・」
それを理由に去っていく人達を見て、悲しさを覚えるチルノ。きっと美味しいのに・・・と思っていた時であった。


「おwwwwwwwチルノたん、何してるのwwwwwwww?」


チルノの前に内藤、痛風、墨樽の三人が通りかかり、話しかける。
「あ、内藤!見ての通り、お店開いてんだよ!食べてってよ、バニシュうどん!!」
「うはwwwwwwwおkkkwwwwwチルノたんが丹精捏ねて作ったうどんならwwwwwww食べるwwwwwwwあ、でも、食べるついでにチルノたんも食べたいなwwwwwwww」
「おい馬鹿やめろwwwwwww明らかに怪しいじゃねぇかwwwwwwwぜってぇ、あのナイトが関わってるだろwwwwwww」
「大丈夫大丈夫wwwwwww例え関わっていてもチルノたんならバニシュなんて使えないだろうからwwwwwwwwモーマンタイwwwwwww」
「この流れwwwwwww絶対危ないだろwwwwwwバニシュしてくんじゃねぇぞ、絶対だぞwwwwwwww後、最後の所なんかキメーwwwwwwwwミスwwwwwwwタードーナッツ食べたいなwwwwwwww」
「はい、内藤食べて!」
チルノから渡されたバニシュうどんもとい冷うどんを内藤は草を生やしながらの満面の笑みでつゆをつけて食べた・・・・・・その瞬間










コトッ・・・・・・








































「バニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュ!!!!」









「うわ!?内藤、どうしたの!?」
「言わんこっちゃねぇwwwwww」
「やっぱり、フラグだったかwwwwwww」
「バニシュバニシュバニシュバニシュ!!!!」
「ムガガガガwwwwww」
「おいwwwwwやめムガァwwwwwww」
突然の変貌。バニシュナイト化した内藤は痛風と墨樽の口の中に無理矢理バニシュうどんを突っ込み・・・





「「バニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュバニシュ!!!!」





洗脳され・・・バニシュ化した三人はバニシュうどんを持ってその場を離れる・・・・・・そして、次々と湧き上がるバニシュの声・・・










「バニシュ人里へようこそ!!!」









「バニシュしてもいいんじゃぞ?」










「全ての魔法をバニシュに!!」「いいですともバニシュ!!!」










「バニシュインザスカイ!!!!」










「バニシュうどん・・・ミラクルバニシュ・・・・・・なんだっていい!!バニシュを押すチャンスです!!!」










辺り響くは阿鼻叫喚とバニシュ。助けを求める声はやがて『バニシュ』を祝福するものとなり、人里はだんだんと洗脳されていく。それを・・・チルノはずっと目を輝かせながら見ていた。
「凄い!あたいの最強のうどんで皆がバニシュを唱えてる!!これなら湖を凍らせれるかも!!!」
チルノはそう言うと早速湖の方に駆け出して行く。バニシュを唱える人達の横を通り過ぎながら・・・



















〜十分後〜



















「あれwwwwwww俺、どうしていたのwwwwwwww?」

「うぅ・・・頭が痛いです・・・」

「何か・・・とてつもないものに取り憑かれていたような・・・」





チルノが去って、少し時間が経つと・・・元に戻っていく人達。どうやら、洗脳効果としては不十分で・・・Cさんのようにずっとではなく時間制限があった・・・・・・そして・・・





「あれ?全然凍らない・・・」
湖に向かってバニシュを唱えていたチルノであったが、凍る様子が無い事にただ呆然と見る・・・と同時に彼女はこう言った。



「バニシュは奥が深いんだね!!」



あきゅろす。
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