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「霖之助さん、これなんですか?」
私はある白い本を手に取り・・・ここ、香霖堂店主、森近霖之助さんに聞いてみる。
「あぁ、それ?それは『バニシュ入門書』という本さ。最近、ナイトのヴァナ人が店に置いてくれって頼まれて置いているのさ。本の題名はなぜか白魔法だけど、買っていく人は多いよ。」


ここ、香霖堂は・・・幻想郷とヴァナ・ディールが融合されて以来、品揃えがかなり上がった。というのも、来るお客さんに冒険者が増えた為、霖之助さんはそちらをターゲットに商売を始めたからだ。おかげで私も前はあまりここに来なかったが、品揃えが良くなってから来るようになった。外の品はもちろんヴァナの品も置かれているから見るだけでも楽しいからだ。


「バニシュ入門書・・・」
なぜか表紙が白く題名の文字が金文字の英語(?)で書かれていたから興味を持ってしまったが・・・
「欲しいなら安くしとくよ?」
霖之助さんにそう言われた私は・・・まぁ安くしてくれるならと買う事に決めた・・・









『バニシュ巫女』











「・・・なにこれ・・・・・・」
一日の風祝の仕事と家事を終え・・・私は早速、今日買った『バニシュ入門書』を読むが・・・・・・酷かった。何が酷いかと言うと、内容がだ。
私は外の世界からやってきたから魔法に関してはゲーム知識程度だけど、知っている。
普通、魔法は多種多様である。
火の魔法、水の魔法、雷の魔法・・・後、回復魔法。
代表的に挙げるのならこれぐらいだろう。
だが、この『バニシュ入門書』の冒頭では・・・『バニシュ』という魔法は至高の魔法で全て事足りるというのだ。火も水も雷も回復も全て・・・

こんなの、普通じゃ考えられません!

私は本気でそう思った。
今日、うちの神社に冒険者が参拝してくれたついでにバニシュの事に関して聞いたら、バニシュは敵に光属性のダメージを与える白魔法と聞いた。だけど、そのバニシュ情報とこの本に書かれているバニシュ説明はかなり違う。

こんなに著者と冒険者で意識の差があるとは思いませんでした・・・!

私はそう思いながら、ページをパラパラと適当にめくっていると・・・途中、紙が挟まれている事に気付き、それを取り出す。どうやら、何か書かれていた・・・

・・・・・・サイン会?

そう書かれている紙をよくよく読むと・・・今日から一週間後に人里の広場で著者Cというヴァナ人がサイン会を開くようであった・・・

行ってみようかな?この頃、風祝の仕事が忙しいから気分転換も必要だし・・・

私はそう思い、本を閉じ・・・就寝に入る・・・









もう一週間経ったんだって!?いくらなんでもこんなのあり得ない!





「広場に着きました。」
私はそう呟きながら、広場・・・サイン会場を見る・・・


・・・たくさんの人が交差する風景・・・・・・


・・・とてもじゃないが、これからサイン会を開くとは到底思えなかった。
中止になったのかな?と思い、帰ろうかと足を帰路に向けた時・・・前から黒いシーツを着た・・・複数のサングラスをかけた男の方達とその真ん中に黒い肌で髪が無い人がこちらにやって来て・・・私の前を通り過ぎていく・・・すると、私の近くにいた冒険者がヒソヒソ話を始める。


「お、おい、あれ、汚レジデントだぞ!?」
「なぜ忍ブロ推進者の合衆国の大統領がここにいるんだ・・・?」



・・・えっ?合衆国?

私は自身の耳を疑い、黒いシーツの方々を見る。・・・何か話しているようだ・・・・・・・・・


「・・・教祖の話によれば、ここでサイン会を開くと言っていたが・・・?」
「場所はこちらに間違いないです。待ちましょう。」



やっぱり、サイン会、あるんだ!!

私はそう思うと同時に・・・合衆国の大統領である人が公務を放棄し、ここに来てもいいのか?と思った。

合衆国のトップはこんな人達ばかりなのかな?そもそも、どうやってここにkいや、もう少し様子を見ましょう。私の予感だけで他の方達を混乱させたくない。

「見て!教祖様よ!!」
突然、そんな声が聞こえ・・・三十人ぐらいの人が広場の一部分に集まる。
それを見た私はあの本『バニシュ入門書』の著者を一目見ようと近付くと・・・


「皆さん、静かにしてくれませんか?今、読書中です。」(『バニシュ人事』[定価:100000円]


「素敵・・・・・・」
「神聖バニシュ教の教祖様なのにバニシュを熱心に勉強しているなんて凄いなー憧れちゃうなー」
教祖と呼ばれているナイトの格好をした男性に集まった人達は口々に彼を称賛するが、それでも彼は本に集中している・・・・・・すると・・・


「C君、遅かったじゃないか。待っていたぞ。」


大統領はそう言いながら、教祖に近付き、握手を求める。すると、読書をしていた教祖も相手に気付き、握手する。
「これは大統領。バニシュの方はいかがですか?」
「うむ、合衆国の国教を神聖バニシュ教にした事によりバニシュ教育を始め、バニシュ医療、バニシュ観光も充実している。」

えっ・・・?バニシュはただ敵に光属性のダメージを与える白魔法なのに、なんで宗教になっているんですか?わからない・・・。どうして国全体がバニシュを信仰しなきゃいけないんですか?国民全員、信仰しなきゃいけないんですか?

「それでバニブロ、忍バニの件だが・・・(チラ」
「はい、そちらは今はバニシュの信仰を拡げつつ計画していますが、いかんせん巫女がいないとバニシュの神事が捗らないので・・・おや?」
突然、教祖が私の方を見て、近付いてくる・・・
「バニシュ神は言っている・・・この人をバニシュ巫女にしろと・・・」
「えっ?」
「いえ、失礼しました。あなたはバニシュを信仰されているんですか?」
「い、いえ、私は守谷神社の風祝でして、今日は一週間前に『バニシュ入門書』というものw「では、バニシュを信仰されていますね。どうですか?バニシュ神の巫女になってくれませんか?あなたにはその才能がある。」

ほ、他の所にもう信仰しているのを言ったのに、バニシュ神の巫女にならないかだって?そんな事が本当にあるんでしょうか?

「すみませんが、私はもう他の所を信仰していますので巫女にはなれません。」
「いえ、大丈夫です。バニシュの奇跡で可能です。」
「奇跡ですか・・・私にだって奇跡は起こせますよ・・・。あなた方の信仰するバニシュとは比較にならないほどの大奇跡が・・・」
「それは心強いです。凄いですね。」
「『山の新人神様』と呼ばれてます。」
「であれば、なおさら、バニシュ神の巫女になるべきです。さぁ、俺と一緒にv」チュドォォォンッ!!!
その時、教祖の後ろが爆発し爆煙に巻き込まれる!?
「ゴホッ!!?ゴホッ!!?・・・い、一体どうしたんですか!?」
私は袖で顔を庇いながら、ついそう言ってしまう。どうやら、爆煙に巻き込まれただけで爆炎等は奇跡的に大丈夫なようだ。爆心地は近いように感じましたが・・・
「あ、あいつは!?」
その声に気付いた私はそちらの方を向くと冒険者がある方向に指を指していた。私もその方向を見ると・・・


「汚い忍者だ!!」「教祖様を不意打ちするとは汚いぞ!!」「汚いなさすが忍者きたない。」


「汚いは・・・褒め言葉だ!!つーか、何がバニブロ、忍バニだ!!ふざけた事言ってんじゃねぇ!!!」
黒い目線を付けた・・・忍者姿の人がいた・・・・・・その近くに金髪でドレスを着た小さい人形が忍者さんに何か訴えかけているようですが・・・
「うるせぇ、スー!!よくも騙しやがったな!!!何が竹輪バイキングだ!!!来てみたら、バニシュサイン会とかふざけんじゃねぇよ!!!」
「バニシュ竹輪ならありますが、食べますか?」
「あ、食べたいってまたバニシュかよ(泣) つーか、なんで生きているんだよ!?爆炎に巻き込まれたはずだぞ!?」
「バニシュ神のご加護のおかげだよ。」
いえ、おそらく私の大奇跡のおかげです。
「大統領!?しっかりしてください!!大統領!?」
あ、大統領は爆炎に巻き込まれて、元々黒かったのにもっと黒くなってる・・・・・・

・・・よし、少し怪我をしていても回復はミラクルフルーツで慣れてます!

「私にm「バニシュ。」
私に回復を任せてもらおうとした瞬間・・・・・・教祖が右手を大統領に向けて突き出し・・・バニシュを唱える。すると・・・大統領は白い光に包まれ・・・それが薄くなるとそこには・・・・・・




「素晴らしいバニシュだすばらしい。」




「おぉ、バニシュの奇跡!」「瀕死の人を全回復させるなんて・・・ありがたや〜ありがたや〜」「やはり、バニシュだな。今回でそれがよく分かったよ。≪バニシュ感謝」


「まただよ(泣) だから、バニシュの法則を乱すんじゃねぇ!!回復できるバニシュなんて聞いた事がないぞ!?」
「回復系にしましたから当然ですよ。」
「さも、当たり前のように言うんじゃねぇ!!?」

・・・・・・・・・・・・

私は先ほどから自分の目を疑っていた。まさか・・・あのバニシュが本当に回復魔法の代わりになるなんて・・・
「当たり前のようにと言われても・・・そうだ。俺が特別バニシュを万能に使えるから当たり前じゃないって思ってるんだな。」
「正直認めたくないが、そうだ。」
「それじゃあ、俺以外の人が万能に扱えれば、当たり前になるんだな。」
「・・・いや、待て、いや、論法的にはそうだが、そもそもお前みたいに扱える奴なんているのか?バニシュをなんだと思ってんだよ。」
「もちろん、至高の魔法さ。それに扱える人はいるよ。彼女がそうさ。」
教祖はそう言うと、私を前に押す・・・・・・えっ?
「おい・・・そいつはただの脇巫女じゃねぇか。それとも、何か?お前、まさかバニシュに洗脳されたのか?」
「わ、私h「人聞きの悪い。彼女は自分からバニシュを信仰したのさ。それは彼女自身が証明してくれる。巫女とバニシュが合わさる事により、大奇跡が起きるのさ。」

・・・大・・・奇跡・・・・・・?

「はぁ?起こるはずがねぇだろ。夢見てんじゃねぇぞ。」
「夢かどうかは彼女がバニシュを唱えれば、すぐに分かるさ。なんたって、バニシュ神の巫女だからね。」
「おい!悪い事は言わねぇから違うなら違うと言え!!じゃねぇと、本当にバニシュに洗脳さr」

・・・確かにただの敵に光属性のダメージを与える白魔法であるはずのバニシュが回復魔法にも使えた。ならば、私の奇跡を起こす能力とバニシュが合わされば!!



 ───その時・・・・・・! 私の胸の谷間が光輝き・・・・・・!!
    それほどの閃光・・・・・・光の正体・・・・・・新たなスペルカードを・・・・・・!! 私は取り出す・・・・・・!─── 





「───C符『バニシュの大奇跡』!!」


「えっ、ちょ! おま!? か、勝ったと・・・・・・勝ったと思ウボアー!!」
スペルカード発動と共に、私の前に出てきた白く大きいボール状の塊が忍者装束を着た男性の方に飛び・・・破裂する。すると、相手は大空高く吹っ飛んで星になり・・・キラキラとした雪のようなものが空から降ってくる・・・
「こ、これはバニシュの結晶!?こんな貴重な物が見れるなんて・・・やっぱり、あなたはバニシュ神の巫女に相応しい!!」


「バニシュの結晶とは・・・ありがたや〜ありがたや〜」「バニシュ巫女が誕生した事により神聖バニシュ教はますます栄えるな。」「バニシュに栄光あれ!!」


・・・私の周りでは・・・バニシュバニシュと歓声が湧き上がり・・・私の事を『バニシュの巫女』と呼ぶ人達。
その光景は・・・今までに見た事無い、人の信仰の姿であった・・・・・・



・・・そうですか・・・私、たった今分かりました
・・・




 \  /
 ●  ●   <バニシュを信仰すれば、皆さんも私をもっと信仰してくださるんですね!!
 " ∇ "







「教祖様!!やっと、分かりました!!私、バニシュ神の巫女になります!!」
「決心してくれたか!それじゃあ、これバニシュ神の御神体です。家に飾り、毎日欠かさずお祈りをしてください。」
「分かりました!!それでは、早速家に帰り、飾ります!!」
私はそう言うと空中に浮かび、猛スピードで家に帰る。目指すはあの場所だ!!




「おや、早苗。おk「邪魔です!!私は忙しいんです!!!」
「っ!?ど、どうしたんだい、さな・・・・・・諏訪子ーー!!諏訪子ーーー!!!」
「どうしたの、うるさ・・・って、早苗ーー!!!守矢神社の御神体に何してるの!?」
「これはもう古いんです!!これからはこの御神体が守矢神社の御神体となります!!」
「な、なんだよ、そのヘンテコリンな像は!?」
「ヘンテコリンではありません!!バニシュ神です!!!バニシュです!!!」
「か、神奈子・・・早苗が変になっちまったよ・・・。この前なんか、冒険者にカブを貢がせてたし・・・」
「あ、そうだ!!今度からただのカブではなくバニシュカブをもらうようにしましょう!!バニシュは万能ですから可能なはずです!!!」
「・・・もう手遅れかもしれないね、諏訪子・・・」



 此処に『奇跡を起こす程度の能力』を持った少女は・・・バニシュ巫女と呼ばれる『東風谷バニシュ苗』誕生のフラグが立ったのであった・・・





























オマケ





スー「ノブヲー、大丈夫か?」

忍者「なんとかな・・・。結局、あいつも洗脳されるとは・・・・・・つーか、今回はよく大丈夫だったな、俺。温泉の時は洗脳されかけたっつーのに。」

スー「・・・おそらく、ノブヲの中にまだあったバニシュとあの巫女のバニシュがぶつかってなくなったんじゃね?要するに、相殺。」

忍者「つーことは、あの温泉の時がなけりゃ俺は今頃・・・これ以上考えるのはよすか。地底に帰るぞ、スー。」



あきゅろす。
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