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二月十四日、二日前・・・



地霊殿・・・


「えっ?バレンタインチョコ?」
「知らないんですか?明後日のその日は女性が意中の男性にチョコを渡す日なんです。」



くつろぎ喫茶ベヒんモス・・・


「バレンタイン・・・・・・チョコですか?」
「あら、鍵山さんはその日に誰かにチョコをあげないの?」



寺子屋・・・


「バレンタインチョコ?」
「知らないの?好きな人にチョコをあげる日なんだよ。だから、私はブロントさんにチョコあげるのかー♪」



















『旨チョコ、毒チョコ、HQチョコ』




















地霊殿・・・


「意中の男性に・・・」
「はい。結ばれるかどうか分かりませんが、少なくとも好きというのは伝わりますね。」
地霊殿の主・・・古明地さとりは円卓を挟んで、目の前にいる水橋パルスィにそう言いながら、手に持つお茶を飲む。
「結ばれるかどうか分からない・・・」
パルスィはそう呟くと、テーブルの上に置いてある茶入れに入っているお茶の水面を見る。そこに映っている、自身の濃い緑色の瞳を真剣そうにまじまじと・・・

(バレンタインチョコ・・・・・・か・・・に、忍者にあげたら、喜んでくれるかしら?)

パルスィはまるでお茶入れに吸い込まれているかのように、だんだんと顔を近付ける。それを前から見ているさとりは彼女の心の中を読んで、クスリと笑う。ノブヲさんにバレンタインチョコをあげたいんだなと思いながら・・・
「差し上げればいいんじゃないですか?」
「えっ?」
「きっと、あの人の事だから天の邪鬼にいらないと最初は言いますが、受け取ってくれますよ。」
さとりはニコリと相手を勇気つけるように笑う。それを見たパルスィは、心の中を読まれたと思うと同時に・・・本当に大丈夫かと不安気な表情でさとりから目を逸らす。
「でも・・・私、チョコなんて作ったことないし、それに忍者は食べてくれるかしら?」
「きっと、ノブヲさんの事ですから食べてくれますよ。それに作り方でしたら、私が教えます。」
「・・・さとりが?」
「えぇ。」
さとりは優しく微笑むと、それを見たパルスィも・・・相手を信用して安心したのか、少しだが笑顔になる。
「そう・・・・・・それじゃあ・・・チョコ作り、お願いしていいかしら?」
「はい、こちらこそよろしくお願いしますね。」



















くつろぎ喫茶ベヒんモス・・・


「チョコを・・・ですか?」
「そうよ。もしかして、鍵山さんはバレンタインチョコを知らない?」
あやねさんがニッコリと笑いかけると、雛は知らないと言うように疑問を浮かべた表情で頷く。
「バレンタインチョコというのはね。女の子が好きな男性にチョコを送る日なの。それで受け取ってもらえれば、脈あり。受け取ってもらえなかったら・・・・・・まぁ、残念な結果ね^^」
その先の事を触れないよう・・・あやねさんはニコリとした笑顔で誤魔化す。それに対し、雛は・・・あやねさんのバレンタインチョコの説明を聞いて、呆然と無表情になる。頭の中で好きな男性・・・忍者の事を考えながら・・・

(チョコ・・・か・・・・・・忍者さん、食べてくださるかしら?甘い物が好きというのは聞いたことがないし・・・)

そう悩んでいると・・・表情こそ何も恥ずかしがったりしていないが、瞳は迷いの色。女性だからか、そこから通じて雛の今考えている事を直感で感じたあやねさんはある提案をする。
「まぁ、もし好きな男性がいなくても『義理チョコ』と言って・・・まぁ、簡単に言えば、チョコを貰えない男性に同情という意味でチョコを渡すというのもあるから、ひとまずチョコを作ってみたらどうかしら?作り方は私が教えるわよ?」
そう言われた雛は・・・・・・まぁ、作るだけでも・・・と思いながら、あやねさんの提案を承諾する。
「そうですね・・・では、よろしくお願いします。」



















寺子屋・・・


「好きな人にチョコ?」
「うん!その日は好きな人にチョコをあげると喜ぶという話だから、ブロントさんにあげるの!絶対喜ぶのかー♪」
まるでその日が楽しみだと言わんばかりに嬉しそうに語るルーミア。それを目をキラキラさせながら相手を見ているメディスンは心にある思いが過る・・・

(好きな人にチョコレートかぁ・・・・・・よし、ノブヲにあげよう!喜ぶっていうなら嬉しいし♪それじゃあ、早速幽香に相談しようっと♪)

そうと決めれば、善は急げ。メディスンはルーミアに別れを告げるとすぐに風見幽香がいるひまわり畑に向かう・・・









「という事だから、チョコレートの作り方、教えて幽香!」


ひまわり畑・・・・・・太陽の花、ひまわりが辺り一面咲き誇るこの場所を管理するは『四季のフラワーマスター』という二つ名を持つ風見幽香。そこに入ったが最後。ひまわり畑の肥料にされるという噂が巷で広がっているが、真相は定かではない。だが、彼女の前で花を傷つけるもしくは罵声を浴びせたが最後。ゆうかりん☆の拷問もしくは処刑または(即死技の)実験等々のコースが待っているため、案外その噂は本当かもしれない。

そんな恐ろしい話が幽香の周りにあるにも関わらず、恐れなく行くメディスン。なぜ、この少女は彼女を怖がらないのかというと・・・幽香にとってメディスンは可愛い自分のはn・・・もとい子供みたいなもので接しているため、彼女もそれに気を許しているからだ。


「チョコレート?」
幽香は足を組んで優雅に椅子に座りながら、手に持つハーブティー入りのカップをその鮮やかな薄桃色の唇につける。その様子をメディスンは見ながら、目をキラキラさせ頷くと・・・幽香はニッコリと微笑み、カップをテーブルの上に置いてある受け皿に戻す。
「そういえば、明後日はバレンタインね。誰かあげたい人がいるの?」
「うん♪ノブヲにあげようと思うんだ♪だから、作り方教えて♪」
そう純粋無垢な笑顔で頼まれた幽香は・・・こちらも別の意味で微笑む。まるでこの先の相手の反応が楽しみかと言うように・・・。
「えぇ、分かったわ。美味しいチョコレートの作り方を教えてあげるわね♪」
「ありがとう、幽香♪」



















そして、彼女達のチョコレート作りが始まる・・・









最初は戸惑い・・・


「まずはこちらを細かく刻んで溶かして・・・」
「あ、焦げてる・・・」


「こういう風にするんですか?」
「そうそう、上手よ、鍵山さん♪」


「幽香、ボールの中、無くなっちゃった・・・」
「派手に混ぜすぎよ、メディスン♪」




徐々に慣れ始め・・・


「次に冷やすんですが・・・」
「凍らせればいいのね。大丈夫よ、問題ないわ。」


「これで待つんですか?」
「えぇ、冷やして固めないといけないから♪」


「ねぇ、幽香。なんだか、紫色になってきたよ?」
「大丈夫よ、仕上げは後だから♪」




最後は忍者の事を考えていた・・・


「真っ黒にすればいいのね。それじゃあ、黒胡椒を・・・ウフフ、忍者がこれを食べてくれる場面が目に浮かぶわ・・・」
「・・・・・・」(ノブヲさん・・・・・・どうか死なないで下さい・・・)


「ココアパウダーをまぶせば・・・出来上がり♪」
「わぁ・・・美味しそうです・・・」(に、忍者さん、喜んでくれるかしら?)


「粉砂糖をかければ、出来上がりよ♪」
「面白ーい♪絶対忍者喜ぶね♪」









・・・・・・前日・・・



「お主、明日は何の日か知っておるか?」
「あ、なんだよ、いきなり。」


地底にて・・・汚い忍者PTが拠点にしている建物。水橋の家の中に二人の男性。汚い忍者こと笠松ノブヲと不破刃がいた。なにやら・・・忍者は紙兵を折り、不破は筋トレをしていた・・・

そんな中で、突然不破が腕立て伏せをしながら聞いてきて、忍者は目線をしながら、なんだ?と相手に背を向けた形で聞き返す。
「メディスンが昨日、拙と一緒に帰る際に言っていたが、明日は女子が漢にチョコをあげる日だそうだ。」
「あぁ、確かにそうだな。」
「それで、メディスンはお主にチョコレートをあげると言っていたぞ。」
そう言った瞬間、忍者の手が止まり不破に振り向く。表情は目線をしているため分からないが、口をヘの字にしていた。そんな様子に不破は気にせず、そのまま腕立て伏せをしながら言葉を続ける。本来なら喋りながらの筋トレは辛いのだが、不破は難なくそれをする。凄い漢だ・・・
「おそらく、メディスンだけでなくパルスィも雛もお主にチョコレートをあげるだろう。この意味が分かるか?」
「んなもん、知るかよ。」
忍者は不愉快になったのか乱暴な口調で答えて、再び相手に背を向けると、不破の目つきがキッと鋭くなる。
「分からんのか、たわけが。三人ともお主に好意を持ってるためにあげるのだ。しかも、手作りでだ。だが、お主の事だ。きっと、いらないと申すであろう。だが、お主は三人から慕われている事を忘れてはならん。慕われているがために貰えるのだ。そんな三人の気持ちを無下に扱うのは主としていかがなものか。悪ければ、心が離れてしまうであろう。これで分かったな?お主は三人の主として受け取らねばならぬ義務があるのだ。主としてな。」
不破が諭すように、だけども責めるように言う。対して、忍者はなおも背を向けながら、紙兵を折っているが・・・・・・


「・・・・・・あぁ、そういや、この頃、甘い物食ってないな・・・明日、チョコレート貰えたら、久しぶりに食えるな・・・」


「うむ。」
不破はただそう返事しながら、腕立て伏せを続け・・・忍者はそのまま紙兵を折っていき・・・・・・会話前の状態に戻っていく・・・



















・・・・・・そして・・・バレンタイン当日・・・











「・・・・・・・・・」


汚い忍者こと笠松ノブヲはむくりと起き上がる。そして、頭の中で今日は何の日かすぐに理解し・・・


「・・・・・・めんどくせぇ・・・」


つい不機嫌そうに小さく呟く。
今日はバレンタインデー。そして、忍者がPTメンであるパルスィと雛とメディスンからチョコを貰う日。と言っても、彼からしたらいらないんだが・・・・・・そのいらない理由は三つある。


一つはめんどくさい。
二つ目はパルスィがパルパルうるさいから。
そして、最後の一つ。忍者にとって、これが一番重要。それは・・・


「・・・絶対、水橋のはチョコレートじゃねぇだろ・・・」
そうパルスィが作ったチョコレート・・・別名HQC(ハシヒメクオリティチョコレート)。パルスィが忍者の為にはた迷惑な閃きを次々と投与し、出来上がるりょ・・・・・・いや、兵器と表した方が正しいかもしれない。それぐらい、存在しているだけで危険な物体なのである。パルスィの料理は。
それを知っている忍者はできれば逃げたいと考えt・・・いや、防衛本能で避けろと頭が訴えている。だが、昨日の不破との会話もあってか、忍者はリーダーとして逃げるわけにはいかないと思っている。これは彼女達の日頃の労いなのだと言い聞かせて・・・
「・・・・・・はぁ、仕方ねぇか・・・」
今日は無意味に経験値ロストするな・・・と諦めに似た喪失感を覚えながら、忍者は布団から抜け・・・彼の危険な一日が始まる・・・









「はい、ノブヲ♪」
忍者PTが全員朝ごはんを食べ終わった時・・・メディスンが濃い紫色のリボンで可愛らしく蝶々結びで包まれた両手の上に乗せれる大きさの白い箱を渡す。それを見た忍者はすぐに勘づく。中身はチョコレートだと・・・
「あら、メディスン、それは何?」
「これはね、バレンタインチョコなんだよ♪」
メディスンがニコニコと嬉しそうにそう言った途端、パルスィと雛に衝撃が走る。まさか、知っていたのかと・・・。
「ふ、ふ〜ん・・・メディスンも知っていたのね、妬ましい。」
「えっ、橋姫さんも知ってたんですか?」
「えっ?」
「えっ?」
「ねぇ、ノブヲ。開けて食べてみて〜」
パルスィと雛が顔を見合せ゛お前もか!?″と驚きが鬼になっている時にメディスンは忍者に箱を渡しながら上目遣いでせがむ。
「・・・・・・・・・」
忍者は口をヘの字にしながら考えるように箱を少し見た後、リボンをほどき開ける。すると、中には・・・
「・・・?白いケーキ?」
「違うよ、雛。これは゛ガトーショコラ″っていうケーキなんだよ。幽香がコナサトウいっぱいかけなさいって言って、見た目は白いけど、中身はチョコレートなんだよ♪」
そう゛力作なんだよ!″とばかりに笑顔で語るメディスンを尻目に忍者は箸で彼女が言う゛ガトーショコラ″というケーキの中身を確かめるように裂く・・・・・・と・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
中は・・・・・・紫色・・・。
忍者は思う。作り方はどうであれ、このチョコは毒に冒されているんじゃないかと。
ちなみに、メディスンも最初こそは疑問に思ったが、幽香が゛こういうチョコレートもあるのよ♪″と妖しい笑みを溢しながら言ったため、本人はチョコレートだと自負している。・・・紫色の・・・だが・・・・・・


「・・・・・・・・・」



だがしかし、忍者にとってこれは想定していた事だったため驚かず、むしろ食べる際の対策をしていた。そして、対メディスン用に用意していた物を懐から出す。それは・・・
「・・・?ノブヲ、何それ?」
「ただの飲み物だ、気にするな。後、本名で呼ぶんじゃねぇ。」
そう言って・・・箸でガトーショコラを割き掴み・・・口に持っていく。そして、七回咀嚼したら・・・さっき、懐から取り出した物゛透明な液体が入った手で掴める程度の瓶″の栓を抜き、飲む。

洗薬・・・毒を中和させるための液体である。
だが、それは・・・毒の効能は消すが、痛みまでは取れるに至らず・・・・・・今、忍者の口の中や食道に激痛が走っている・・・・・・が・・・



「ねぇ、ノブヲ、美味しい?」
「・・・あぁ・・・」


メディスンは忍者が表情は無いものの・・・黙々と食べる姿に嬉しそうにまた喜びを露にした笑顔で見る。
忍者はそんなメディスンを気にせずに・・・七回咀嚼したら、洗薬を飲むと・・・ただただ繰り返す。そして・・・・・・食べ終えた頃には・・・
「に、忍者さん、大丈夫ですか?唇の色が良くないですよ?」
「・・・大丈夫だ・・・・・・」
忍者の唇は・・・サツマイモ色になっていた・・・。
そんな唇を゛大丈夫なの?″と心配そうに見ている雛は・・・ドレスの中の胸部分に手を入れ・・・そこから、長方形の片手で掴める大きさの赤黒いリボンで包まれた赤い箱を出す。
「に、忍者さん・・・・・・実は、私もバレンタインチョコを作ったので・・・・・・良ければ・・・」
雛は顔をイチゴのように真っ赤にし、忍者から顔を逸らしながら・・・それを相手に手渡す。
受け取った忍者は思う。鍵山のは絶対に大丈夫だと。なぜなら、彼女は『くつろぎ喫茶ベヒんモス』にアルバイト調理担当で働いている。そして、水橋の家でもそうだが、雛の作る料理は旨い。そんな彼女がどうしてマズイチョコを作ろうか?作るわけがない。
そんな天からの恵みにも見える雛が作ったバレンタインチョコが入っている箱を開ける忍者。すると、そこには・・・・・・
「あ、あのあやねさんが言うには゛生チョコレート″だそうです。お口に合うかどうか分かりませんが・・・」
そう、『生チョコレート』。箱の中には薄茶色のココアパウダーがまぶせられ・・・メディスンの『ガトーショコラ』と比べたら、チョコレートだとはっきりと分かる外見である。
さすが鍵山、はずれねぇなと半ばチョコの出来具合に感動した忍者は早速一つ掴み、口の中に入れる・・・・・・が・・・・・・


「・・・・・・・・・」


すぐに一つ口に放り込む。


「・・・・・・・・・」


またすぐに一つ・・・・・・


「・・・・・・・・・」


また一つ・・・


そんな味わう間もなく次々とチョコを食べていく忍者を雛は゛美味しいんですね″と涙ぐみ嬉しそうに見る・・・・・・が、当の忍者はそういうわけではない。むしろ、ショックを受けている。なぜなら・・・


(あ・・・・・・味がしねぇ・・・)


そう。
味が全くしないのである。チョコの甘さが口の中に解けていく・・・というイメージを持ちながら、忍者は最初の一つを口にしたが・・・・・・全くそのイメージが来ないと同時に味が無いのである。だから、忍者は心の中で自問自答する。


そんなはずはない。
鍵山に限ってそんな事は!?
何かの間違いじゃないのか?


・・・と・・・・・・表情こそは無いが焦りながら、忍者は食べていくが・・・それでも、味がしない。そして、なぜ雛のチョコが旨くないのか、すぐに思い当たる節を見つける。それはメディスンの毒チョコレート・・・。
自分の口の中が毒に侵されたため・・・例え雛の旨チョコレートを食べても味覚が麻痺しているから、味がしないのである。メディスンの・・・毒によって・・・・・・。


「・・・・・・・・・」


忍者はその事実を前に一瞬動きを止める・・・が、すぐにまた雛のチョコレートを食べ出す。その事実を認めたくないと言わんばかりに・・・バクバクと・・・・・・。
・・・だが・・・・・・箱の中に入っていた『生チョコレート』を全部食べても・・・チョコの甘さどころか味覚も無く・・・忍者はただただそれに呆然とし・・・・・・空になった箱を見つめ続ける・・・。
そんな忍者の状況を知ってか知らずか・・・むしろ、自分の思いこみで嫉妬をする女性が一人いた。水橋パルスィである。
彼女は妬みながら・・・忍者が雛のチョコを食べ初めての時から見続ける。合間を開けず、次々と雛のチョコを食べるなんて妬ましい・・・、と。
だから、つい妬ましさに懐から出してしまう。自分の手作りチョコレート。HQCを・・・。
「じ、実は私も作ったのよ、妬ましい!!あんたの為に作ったんだから食べなさい!!」
そう頬を紅に染め、恥ずかしながら視線を忍者から外して言うパルスィ。相手に向けている手にあるのは正四角形の黒い箱・・・中身はもちろんHQC。
それを向けられた忍者は・・・・・・絶句。その原因は・・・覚悟はしていたが、まさかこんなに早くくるのは計算違いという事と今更になってそれを食べたくないという恐怖心がきたからだ。だから・・・・・・つい少しでもそれを自分の前から遠ざけようと・・・こんな事を言ってしまう。


「・・・・・・不破、おめぇも食べないか?」


別にこれで何かが変わるという事はない。目の前にある兵器が不破の口により・・・いや、案外いける(凄い漢仕様で)かもしれないが、全部食べてくれるというわけではないし、消えるわけでもない。まして、これで自分は食べなくて済むというわけでもない。
ただただ恐怖。
たったそれだけの事で忍者の口からそう出たのである。食べたくがないために・・・・・・だが・・・・・・・・・


「不破ならさっき出かけたよ?」


断たれる。
別に、自分が後々HQCを食べる事には変わりないが・・・忍者自身分かっているが・・・・・・なぜか、喪失感を味わう。
そして、時は無情にも流れ・・・パルスィから゛ほら!″とHQCが入った箱を強く差し出される。それを・・・つい力無く受け取る忍者。・・・・・・これから・・・この中に入ったチョコを食べた自身を想像しながら・・・。
・・・その時、忍者はある事に気付き思い出す。先ほどの出来事を・・・。それは雛のチョコを食べた時である。
『生チョコレート』を口にした際・・・毒により甘い味どころか味覚が無いという事を忍者は思い出したのだ。そして・・・もしかしたら・・・もしかしてのもしかすると、毒によりパルスィのチョコも無味になるのではないか?と忍者は考えたのだ。可能性を考えれば、限りなく低いが・・・もしかしたら、それで大丈夫かもしれないとほんの一握りの希望を見つけ・・・また、食べる勇気が出てきた忍者。無事でいられると信じて・・・・・・


「・・・・・・・・・」


無言で箱を開ける忍者。中には・・・・・・黒い丸い物体が入っていた。
まるで小さな砲弾のようである。
忍者はそんな感想を持ちながら、口に入れた瞬間



















バァンッ!!!














「ガス爆発!?」
「わぁ、花火だぁ♪」
「忍者ーーーーーー!!!?」





























その後、不破道場にてサニー達からバレンタインチョコをもらって帰ってきた不破の視界に捉えたのは・・・・・・顔下半分を包帯で巻いた忍者の姿であったという・・・



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