オレにさわるな!! 38 何で、大地が謝る必要がアる。 傷付けたノは、オレの方だ。 謝らなけレばならナいのは、オレの方なノだ。 「オレの方こそ、悪い……」 「そんなっ!兄さんは謝る必要なんてないっ」 ガタッと音を立てて、大地が前に乗り出してキた。 「兄さんは、兄さんは、何も悪くなんてない」 「大地………」 驚いた。此方を見据える大地の頬に一筋の涙が光ってイた。 何が起こってイるンだろうか。大地が、泣いてイる? 大地が泣いてイる姿を見たノは、何年振りだろう。 「兄さん、苦しいんだ」 苦渋の表情で、告げる大地。 「兄さんが、居なくなってしまうことを考えると苦しいんだ。ずっとずっと兄さんのことが頭から離れない。兄さん、僕は……」 「大地っ」 大地の真剣な眼差しに、思わず口が出てイた。 コノ後の言葉を、聞いてはイけない気がシた。聞いてシまったら、オレたちはもう戻れナいような気がする。オレたちは、初めて会った時からずっと兄弟で、ソレは今でも変わらナい。いや、一生変わらナいモノな筈なノだ。 だから、オレは大地の告白を聞いてはイけない。 「酷いね、兄さんは。……分かってる癖に、言わせてくれないんだね」 大地の言葉に、オレは何も言うコトが出来なかった。 再び沈黙が落ちる。 向側で肩を落とシて座ってイる大地が、ヤケに小さく見えた。 オレにとって、大地は弟で。守ってヤらなければナらない存在だった。 「大地。オマエはオレの弟だ。ソレは、今も変わらナいし、コレからだって、ずっとだ。例えオレが赤羽の性を抜けても、ソレは変わらナい」 「………それが兄さんの答えなんだよね。――-残酷だよ」 オレの本心は、大地を深く傷付けた。 でもコレだけは一生変わらナい。例え、大地を傷付けてもオレは、オレから大地を突き放さなけレばならナいノだ。大地には、真面な道を進んで欲しいから―――。 「最後に……これだけ聞かせて」 大地の目に、もう涙は浮かんではイなかった。 真剣な眼差しだけが、オレを見詰める。 オレは大地の願いに、小さく頷いた。 「兄さんは、アノ男のことを愛してるの?」 大地の問いに、オレは頭が真っ白にナってイた。 アノ男、ってのは前にも聞かれたケど、多分畑のコトだろう。 で、だ。畑のコトをあ、あ……してるノか、だと? 何つう質問だ!オレがアイツのコトをだと!? アイツにだって、そンな言葉、言ったコトねえ! 何て、ムズ痒いコトを聞いてキやがるンだ。 ……言わなきゃ、ダメだろうか。 いや、ココで誤魔化すなンて出来る筈ない。シてはイけない。 でも、だからと言って………。 [前へ][次へ] [戻る] |