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藤(夢)
可愛い私は合格?(銀&森夢)
私は優柔不断なほうだ。大好きなおやつが二種類あれば、どちらから食べるか悩むし、今日着た服だって洋服ダンスを散々ひっかきまわして決めたものだ。

けれど、今、その優柔不断が今までで一番発揮されているといっても過言ではない状況に、私は追い込まれているのだった。

「「彼女」」

部屋に入れば今日は珍しく銀さんも森田さんもオフらしく、のんびり二人で談笑しながらくつろいでいる。コーヒーの香ばしい匂いがまた休日を演出していて、二人がゆっくりできる平和な日を私は嬉しく思うのだ。

そんな二人が同時に私を呼んだ。大好きな二人に呼ばれて、小走りで近づけば、二人ともソファーの隣を空けてくれる。

「ここに来いよ」
「こっちに座って?」

いつもは、いつもはどっちに座ってたっけ?何気なく座っていたから思い出せない。銀さんには遠慮してなかなか隣に座れない、けど銀さんはあまり家にいないから、長く一緒にいたくて隣によく座らせてもらう、気がする。

森田さんは年齢も近いし、銀さんより緊張しないからよく隣に座らせてもらっていた、のかなぁ。

いざ、二人に同時にソファーの空きをぽんぽんと軽く示されたら、彫像の如く私は固まるしかなかった。どっちに座ればいいんだろう、優柔不断な私はやっぱり決められない。

「仕方ねぇな・・・森田」
「はい」

銀さんが苦笑しながら森田さんに声を掛けた、森田さんは立ち上がって私の前に立った、するとにっこり笑って「失礼」と言うのではないか。何が?と思う間もなく、私は横抱きに抱えられて、気付けば森田さんの膝上にすっぽり座らせてもらっている。隣には銀さんがゆったり腰掛けていて、私に近付いて楽しそうに笑った。

「ま、これでいいか」
「えぇ?!」
「選べない彼女が悪いんだよ」
「だな、お前が悪い」

頬に軽く口付けられて、後ろからは森田さんにうなじに口付けられ、あわあわと真っ赤になっても二人は楽しそうに笑うだけ。

「ま、こうなると思ったけどな」
「彼女は優柔不断、ですからね」

私のことはあっさりお見通しで、「どっちが好き?」なんて意地悪な質問も答えられないことは、きっと二人とも気付いている。気付いているから二人で一緒に私を慈しんでくれるのだ、なんて幸せなんだろう。

「・・・でも・・・優柔不断で良かった、かも・・・」

なんて呟けば隣と後ろから笑い混じりの吐息が投げかけられて、私は白旗を揚げざるを得なくなるのだった。


終わり


題は某アニメのEDより

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