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藤(庭)
senior union (ほのぼの)
カチャカチャと福を呼ぶ音が聞こえる。談笑しながらも手を抜くことはない。ここにいるのは揃いも揃って負けず嫌いばかりだからだ。

「通らばリーチ」

低音で沢田が発声すれば、軽く肩を震わせて赤木が牌を倒した。

「悪い。それだ、ロン」

あぁ、やっぱり、危険牌だったか、と肩を落とせば、左隣からも声が掛かった。

「大した役じゃねぇが…上がっちまうか、ロン」
「えっ…銀さんまで!?」
「沢田さん、ごめん」

対面の平山が眉をハの字に曲げて謝った。ぱたりと倒される手牌の上がり牌は、間違いなく先程沢田が切った物だ。

「ロン」

じっと沢田を見つめる6つの眼差し。さすがの沢田も天を仰いだ。弱くはないつもりだったが、駄目だ、この面子で勝てる気がしない。がたりと椅子をひいて席を立つ。

「…飛んじまったんだ、仕方ねぇ、行くぞ」
「悪いな、沢田」

一言も悪いと思ってなさそうな赤木が言った。眉を寄せて生粋のヤクザが睨むのもどこ吹く風だ。

「…一番貧乏な俺がどうして…」
「そりゃ負けちまったからだろ」
「銀さんも赤木も手加減なしだからなあ…」
「なんだ、平山。文句あるのか」
「…まあ、そういう取り決めだったから仕方ないね、沢田さん」
「平山さんまで…はあ…」

繰り出すのは夜の街。目指すのは行き付けの居酒屋だ。堅気とは思えないが魅力ある4人の男達。自ずと道行く人の視線を引き付けるが当人達は全く気にしてなかった。

「どうせならひろや天も呼ぶか」
「止めてくれ、俺が破産する」
「…銀さん、なら森田呼びたいって顔してるね。森田は今仕事だろ?」
「そんな顔してねぇよ。アイツに長い仕事に行かせてんの、お前なら覚えてるだろ」
「森田って銀さんのところの、あの子だよな」
「おう、忠犬森公だ」
「赤木、ぶっ飛ばすぞ」

わいわい言いながら今日も彼らは楽しく行く。

終わり

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