藤(学舎)
4月1日(銀森)
今日は4月1日だそうだ。世間では嘘をつく日だとか。
「くだらない…」
銀二は特に興味もなく、のんびり新聞に手を伸ばした。
ぱさり…
じっくり見ようと思っていた教員異動特集の記事が落ちた。4月から代わる先生の一覧だ、もっとも私立に勤める銀二には関係ないものだが。
「…」
悪戯心がふと湧いた。
「こんにちはー」
森田が遊びにやってきた。春休みでもバイトがない日は通うようにやってくる。
「…森田」
できるだけ深刻そうに。
「俺は4月から他の学校に行くんだ」
私立だからあり得ないし、銀二の権力でさせるはずがないが。
「ぇ……ぇぇ…?」
森田は正直に受け取った。
ぶわっ。
「?!も、森田?!」
「嫌ですっ、嫌だぁっ!!うわぁーん」
号泣。
嘘だ、嘘だから大丈夫だと言っても聞かない森田。
「ひっく、嘘…?」
「嘘だ、大丈夫、4月からも一緒だから」
「えぇ、知ってますよ?」
「?!」
「エイプリルフール、嘘泣きうまかったですか?」
「ほほぉ…俺を騙すとは良い度胸だなぁ、森田…?」
「ぇ?あの、ほら、エイプリルフール、だから!!」
教訓、嘘をつく相手を考えましょう。
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