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ありがとう
第7話


「はあ・・・・・・」
美優は自分の部屋のベットに
寝転がっていた

おじさんの事といい、
拓の事といい、
さっきの地震の事といい、
そのせいで家中を掃除しなきゃ
いけなくなった事といい

今日は疲れた

今晩も眠れそうにない

本当に・・・偶然・・なの・・かな

プルルルルッ

美優の携帯に電話が入った
美優は一瞬体をビクつかせてから
携帯のスクリーンをのぞいた

電話は咲からだった

ピッ

「はいー、美優です、
 ・・・・・・。 
 ・・・・・・・?
 もしもしー? 咲ー?」

応答がない

「咲ー、咲ーっ?」

「美優・・・美優お姉ちゃん・・・・・」

「・・沙良ちゃん・・・・?」

咲の携帯から電話してきたのは
咲ではなく
咲の妹の沙良ちゃんからだった
声が震えている
電話の奥から聞こえてくる
沙良ちゃんの小さく咲ににて高い声が
・・・震えている

普通じゃない
なにかあったんだ

美優はそう思った

「・・どうかしたの?」

「んっ・・・あの・・・あの・・・」

美優の心臓は
半端なく強く心拍していた

また・・私の周りの人が
傷ついてるんじゃないか

咲に・・・・咲になにかあったんじゃないか・・・

美優の額には冷や汗が流れていた

「・・・・ん?」

「お・・・お姉ちゃんが・・・
 お姉ちゃんが・・・っ・・ひっく・・・っ」

美優は硬直した
咲に・・・・やっぱり咲に何かあったんだ・・・

聞きたくない
怖い、怖い、怖い・・・・・・

けど、携帯持った手は、固まって動かない

「沙・・沙良ちゃん、
 落ち着いて、落ち着いて話して?」

「うん・・・、お姉ちゃんが、お姉ちゃんが――」


――――――――――

美優は頭の中が真っ白になった

「うそ・・・・・」

「うそじゃ・・・なくっ・・・って・・・
 お姉ちゃんが・・・お姉ちゃあん・・・ふあ・・」

沙良ちゃんは電話の向こうで泣き出してしまった

「・・・・どこ?」

「沙良たちの家から
 中学校に、300Mくらい戻った場所・・」

「今から行くから! 
 沙良ちゃんお姉ちゃんとこいてね!」

美優は階段をかけおりて
スエットのまま玄関から外へ飛び出す

無我夢中に走る




沙良ちゃんが説明してくれた内容はこうだった―――

咲が下校中、地震が起きた
それで崩れた石塀の下敷きになったと

沙良ちゃんの力じゃ
塀の石は動かせなくて

ただ見えるのは
咲のスクールバッグの持ち手のひもと
咲から流れ出てくる真っ赤な血だけだと


そう説明してくれた



うそ・・・・・・だよね?

だって、だって咲とは
咲とは3歳のときからずっと一緒で
どんな時も一緒にいて
私が困ったときは

いつもそばに・・・・・・
そばにいてくれたのに・・・・

やだ・・・
やだよ・・・・・

嫌な想像ばかりが浮かぶ
嫌な想像ばかりが浮かんでくる

咲の家は美優の家の3つ隣

すぐに場所を見つけた

すごい人だかりだ
救急車が止まっている

「どいてください、どいてください」
救急隊の人が担架で血まみれの人をはこんでいる

・・・・・咲だ

その後ろをついていって、
救急車に乗り込む沙良ちゃん

「すっすいません!! 
 咲の・・・その怪我してる仔の友達で、
 この仔から電話をもらって来ました
 同乗させてください!」

救急隊の人に了承を得てから
美優は救急車に乗り込んだ

目の前には、頭や体から大量の出血をしている
むごい姿の咲がいた――



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あきゅろす。
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