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手段をんでたらこういう結果になったんだ



「……負けたら、な。――スザクゥッッッッ!」










「――イエス・ユア・マジェスティ!」










瞬間、足も身体も、浮き上がった。










「ふあぁあっ!?」






思わず悲鳴とも何ともつかない声が出る。

ああ、やっぱり負けちゃったか――。





「うおぉぉぉぉぉぉぉっ」




遠くにスザクの雄叫びが聞こえた。
何だか今、人生の走馬燈みたい。何もかもがゆっくりに。時が見える……と思った、しかし、引っ張られる方向は前ではなく。










――後方。










反転する世界、頭上のお天道様が目の前に。
それから鮮明に感じたのは、重力と、土の匂いと、背後の痛み。





「きゃぁああぁあぁっ!?」





若干吹っ飛ばされる形で背中から着地した時には、何が起こったか訳がわからなかった。

見えるのは、総崩れになった相手のラグビー部。
呆気にとられている観客。
思いっきりこっち側に引かれている赤ハチマキ。
鋭いホイッスルの音。
間髪を入れず、





「――しょ、勝者、生徒会チーム!」










審判がそう宣言して初めて、










「勝っちゃったんだ・・・・・・」





と、あっけなく気づいた。










「馬鹿、スザク! あそこまでやれとは言ってない! ていうか何だ、『イエス・ユア・マジェスティ』って!」

「ごめんルルーシュ、つい……ていうかノリで」

「味方もろとも吹っ飛ばして、後からケチがついたらどういうつもりだ!」

「でも、やるならきっぱりやらなきゃいけないと思うんだ」

「だからって――」

「あの……どういうことなの?」





終わるなり、何やら言い争っている二人に近付いて、恐る恐る聞いてみる。





「……ああ、今回はお前の言う通りスザクに勝ってもらうことにしたんだ。
噂ではナイトメアを持ち上げる程の馬鹿力だそうだからな」

「だから馬鹿はやめてったら」

「本当のことだから仕方がないだろ。だが、あまり圧倒的すぎても文句が来るだろうから、始まってから三十秒後に本気を出せ、
と指示しておいたんだ」





なるほど。あと十五秒とはそういうことだったんですね。





「……でも、若干せこくない?」





そう言ってみても、ルルーシュはどこ吹く風で、





「勝ったもん勝ちだ」





と、飄々とのたまう。スザクはちょっと顔をしかめて、





「僕はあんまり感心しなかったけどね……どこぞの仮面のやり方みたいで」

「はははは馬鹿だなスザク、会長の魔の手から逃れるためなら手段は選んでられないってことだよははははは」

「今回だけだよ、ルルーシュ」

「ああ、わかってるよ……それより、お前がそういうこと好きじゃないのはわかってるが、あれはないだろう。
俺は周りに変に思われない程度に、少しずつこちら側に引っ張れって言ったはずだ」

「そうだけど……やっぱりよくないと思って。あんまりすぐに勝っちゃっても可哀相だけど、正々堂々引っ張らないといけないだろ」

「それはそうだが……そういうこと言ってると……」





ルルーシュが頭を抱えて溜息をつくと、こんな放送が聞こえてきた。










『ぴんぽんぱんぽーん。生徒会会長、ミレイ・アッシュフォードでーす。ただいまの綱引き、枢木スザク君が強すぎ、若干反則臭い、という意見が相次ぎまして……我が生徒会の勝利は嬉しいことですが、ここは皆様の意見を尊重し、これからのスザク君の出場競技を制限させて頂きます。
ごめんね、スザク君。そして、今の綱引きにおける優勝チームのポイントは、スザク君抜きで、これから行う先生・父兄・地域の方々の皆様方との綱引きに勝利したら、生徒会に加算されることにしま〜す! よろしくね〜!』










「……こうなるだろ」





悲しい彼の呟きが、ぼとりと競技場にひとつ、零れた。










このときの私達は、次の勝負でどんな惨禍が待ち受けていたか、想像できるはずもなく。
何となくまぁやってやるか、なノリで、父兄達の準備完了を待つのであった。






*綱引き佳境のノリは、フレイヤ無力化の時の、ノリで。


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