運動会アフター2
「……で、さぁ名前」
「……うん」
ルルーシュと二人、並んで外開きの窓枠にもたれ掛かり、その様子を見下ろしながら、ぽつぽつと会話。
真っ暗闇から光が吹き出す。はしゃいだ声。
酔いが回った会長達はこの季節に花火まで始めたようだ。
「会長から、運動会頑張ったで賞とかで、生徒会メンバー一人のご奉仕権貰ったんだが」
「うん、聞いた」
「名前に使ってもいいか?」
(やっぱりそうきましたか……!)
ああもうどうしよう、本当に会長の言う通り夜の運動会なんか要求されたらどうしよう!
こわいこわいももいろこわい。
健全な青少年こわい。
「……告白の答を、聞かせてもらえるか」
「無理無理無理無理! そんな破廉恥なこと……あれ?」
ネズミ花火がひゅんひゅん踊る。
「……そうか……無理、なのか……」
「あっ違う! 今のなし! 今のはちよっと会長に吹き込まれて……」
「会長に……? まったく、台なしだな……」
ルルーシュはふて腐れたように背中を丸くして、窓枠に頬杖をつく。
「ごめん……に、しても、なんで?」
「お前の事だ、どうせうやむやにする気だったんだろ」
「うぐ」
「だから折角だから会長の強制力を使わせてもらう。さぁ、どうなんだ名前」
「あ……その……私は………………うん、ちゃんと考えたらね、私も、やっぱり……ルルーシュが、…………す」
ロケット花火が尾を引いて、闇の向こうへ消えていく。
それが終わると会長たちのささやかな花火は玉切れのようで、ふっとまた元の静かな夜に戻った。
運動会は、これにて終了、みなさんお疲れ様でした。
(end)
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