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男女二人三脚スウェーデンリレー、プレリュード
「あーあ、残すは男女二人三脚スウェーデンリレー、これで今年の運動会も終わりかぁー」

「元気が有り余ってていいわね、シャーリーは……もうなんか、……私はもうへとへとだよ」





陽も傾き、アッシュフォード学園運動会は一種目を残して終わりに近付く。
しかし、今や最後の輝きとも言うべき空前の盛り上がりを見せていた。



思い返せば、波乱続きの運動会だったと思う。

生徒会チームを優勝させるために奔走するルルーシュのおかげで、数々のちょっと卑怯な作戦に巻き込まれたり。
借り人で何故か理由も教えてくれずに憤慨したルルーシュ、持久走で頑張ったご褒美にルルーシュに膝枕、それを会長に撮られてしまったり。
騎馬戦で飛ばされてルルーシュに受け止められ、ムカデリレーではセクハラまがいなこともされ、二人羽織なんかもした。

そうそう棒倒しや綱引きではルルーシュの家族が乱入してきて大変なことになったり。
ユーフェミア様とお昼を食べてしまったり。皇帝陛下に小銭を貸してあげたり。






ていうか、ルルーシュとその周辺でほぼ出来上がった運動会でしたね!







と、何だかげんなりしていると、隣のシャーリーはふくれっ面をして、



「そりゃぁ、そっちはルルと一緒で盛りだくさんな運動会だったかもしれないけどさぁ……! ああ、もううらやましいったらないんだからね!」

「……そ、そう? あ、いや、多分周りが勝手に騒いでるだけで……。ただ、友達として仲がいいだけ。
ルルーシュも、私も、迷惑してるのよ」

「そうなの? ……そんなことないと思うけどー……」

「うん。実は、聞いちゃったし。ルルーシュの口から、やたらそういう風に扱われるのは迷惑だ、ってさぁ」






シャーリーに対する謙遜でもお世辞でもない。

事実である。

皇帝陛下との散歩から戻った、あの昼休み終了間際の会長との会話。



シャーリーはうらやましいと言うかも知れない、ルルーシュに散々巻き込まれたりしていたこの運動会を。
でも、私の内心は苦しくてたまらなかった。
どうしてかはよく解らないけれど、「迷惑だ」と言った癖にやたら絡んでくる、ルルーシュが、理解できなくて。
他人に漏らした本心とは打って変わったその態度に、空っぽの優しさを感じずにはいられなかった。






「あ、じゃぁ、変わろうよ、これからやるスウェーデンリレーの順番! 
私、まーた例によってルルーシュとアンカーなんだ、困ってたの」

「え、そんな……!? いいよ、私なんかがっ」

「いいじゃんいいじゃん。ほらほら、早く行って! 最後に思い出、作ればいいじゃない!」

「そう……?」

「うん。応援してる。頑張って!」

「あ、ありがとう! 本当、大好き!」




シャーリーは私を一回ぎゅっと抱きしめると、軽やかな足取りで去って行った。

うん、可愛い。やっぱり恋する乙女はこうでなきゃ。




私は何だかいいことをした気分になって、踵を返しシャーリーと代わったスタート位置に戻ろうとすると、




「……おい、待てよ」





誰かに腕を掴まれた。



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