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赤色灯をくるくる回転させたパトカーへと乗り込み、いざ悪のオートボット軍団に正義の鉄槌を下さん!
ああ、感激です!
普段見慣れた街並みも、パトカーから眺めるとなると一味も二味も違います。この街の平和を守っているのだと思えば道行く人々が、電柱に向かって粗相している野良犬さえ輝いて見えます。
皆様の明日は正義の味方、ディセプティコンがお守りしていますよ!!
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「あの、」
「……」
「……バリケードさん」
「気安く話しかけるな虫ケラ」
「ちょっと止まってください」
「貴様の言うことを聞いてやる義理は無い」
「……じゃあエチケット袋……は、無いですよね。あ、フレンジーさんを収納しているポケットお借りしていいですか?」
ううっぷ。
迂闊でした。流れる景色を夢中になって眺めていたら、三半規管に異常をきたしたようです。
幸いフレンジーさんは運転席にいらっしゃるので中身は空のハ…
「ズぅ―――っっ!?」
キィィィっと耳をつんざくようなスキール音を響かせ、マスタングが小石を跳ね上げながら180度ターンを決めた。
同時にタイミングよく開けられたドアから猛烈な遠心力に従い、ポーンと車外へ放り出されたのだと理解したのはバリケードさんが
「危なかった!」
と言い残して走り去ってしまった後でした。
「あれ?バリケードさん!?フレンジーさーん!……イタタタ」
いきなり何ですかこの仕打ちは?投げ出された先が芝生でも痛いものは痛いですよ。
ううっぷ……。
お二人を追うのは後回しにして、今はエチケット袋を……。
汚れを払いながら辺りを見回すと、ここはどうやら公園のようです。
しかも都合よく目の前にトイレが!これは助かりま……!!
もしやバリケードさん、吐き気を催したあたしのために態々此所へ!?
置いてきぼりにしたのはもしや、車酔いしたあたしを敵地へ赴かせないための配慮ですか!?
ちょ、紳士!?……感激です!なんて仲間思いの方なんでしょう!言葉が足りなくて最初はポイ捨てされたのかと思いかけちゃいましたが、急いでいたが故!芝生の上だったのも、バリケードさんなりの気遣いだったんですよね!
バリケードさんは恐ろしくツンデレ気質の紳士さんのようですよ!萌えます!
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………………
「……あれ?」
あたしもしかしてまた初出動を逃がしたんじゃ……
「バリケードさぁあああん!」
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