06
…ついに俺も変態さんの仲間入りか? いやいやまだ俺は健全な男子高校生でありたいぞ。いや、そもそも男子高校生ってのは健全なのか? どうなんですかそこんところ。どう思いますか解説の鈴木さん。
って。
ふざけてる場合じゃないよね。うん。今はまじめに考えるときだよね。
でもこーゆーときこそ現実逃避しちゃいたくなるのが、悲しきかな。人間のサガなんですよね。
とにもかくにも。
どうすればいいんだろう俺。どうしたらいいんだろう、一体。
こんなん父ちゃんも母ちゃんも先生も教えてくんないし。…まあそれが当たり前だけど。
夢にも思ってなかったかしさ、こんな日がやって来るなんて。
いや、会えたらいいなー程度には思ってたけど、まさか現実に起こりうるなんて。これっぽっちも、それこそ、ミジンコの足ほども思ってもみなかったわけで。
そうだけんちょも、ミジンコの足のサイズは実際分かんないわけで。頭はぐっちゃぐっちゃにこんがらがるし、感情はどんどん先走っちゃうし。
正直、俺どうしたらいいのか迷ってる。
だけど。
そうだね、とりあえず。
「…いや? 俺一人なんで構いませんよ。よかったら隣どうぞ? 今荷物どけますんで」
「おわっ 何かすんません無理矢理……!」
「いえいえ。好きでやってるんでお気になさらずに」
「か、かたじけない…っ」
まずは、笑顔で挨拶から。
「はじめまして。俺滝田祐海(たきた・たくみ)って言います。よろしくね」
それから、始めてみようか。
遠く、離れてた時間をも埋めるような
そんな笑顔で、さ。
それが、いいよね。いちばん。
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