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05



確かに見た目はあの頃よりも遥かにずっと、ひどく大人びているけれど。

時折覗く、万華鏡のようにコロコロと映り変わる表情のなかに、確かな一人前の『女』としての片鱗を感じさせられるけれど。


でも、それでも。

今目の前に佇むこの人は紛れもない俺の長年の想い人。


当然、寂しさや気恥ずかしさよりも、もっとずっと、嬉しさの方が勝るわけで。



「ふは、確かに今日は珍しく超満員だよね。ここ。
この時間、いつもはジジババばっかりだからね、学習室って」



思わず顔がへにゃーと綻ぶのを誤魔化せない。

顔の筋肉が思うように上手く制御できない。しっかりしてよ俺の表情筋。いつからこんな反抗的になったのさ。


どうしてだろう。やけに心臓がほこほこ温かい。

ついに冬眠から目覚めたのか。体全体で感じるそれは、いつもよりずっと速くて力強くて。

急激な体温の上昇のせいか、何だかお腹の辺りがこしょばゆくて仕方がない。



いたしかたなくふいと視線を逸らした俺を、果たして彼女はどういった風に捉えたのか。

「あ"ーーー…」
「う"ぅーーー」

なんて

声にならない声を上げながら、小さな頭を抱え込んでうんうん唸っている。


そんな姿でさえ、暴走した心臓の動きを加速させるには十分すぎるほどの理由で。

ばくんばくん、皮を突き破るんじゃないかってくらいの勢いだ。




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あきゅろす。
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