01
あの日、君と交わした約束は、10年経った今でも、ちゃんと鮮明に覚えている。
…なんて。
そう言えば何だか聞こえがいいけれど、ちょっと格好いいじゃん俺って思うけれど、実際にはただ単に忘れられなかっただけで。
記憶力なんて人並み以下のくせに、3歩歩けば忘れちゃうのに、3歩じゃ何にも覚えられないくせに
そんな生きてく上では何の意味も持たないことばかり覚えてて。
いやね、人間って所詮そんな生き物だしさ、まあ少なくとも俺には必要な記憶なんだし──って何俺言い訳してんだろ。
まあつまるところ、俺は世間一般で言うところの、相当未練がましい男だっていうことです。
かっこ悪いってことは、重々承知。
だけどさだけどさ? 忘れられないんだから仕方ないじゃん。
そのうち老化でイヤでも忘れちまうんだろうから、今覚えておいても損はないと思う。いや、忘れちまうんだから損なのかな。まあそんなんどっちだっていいや。
要するに、無理に忘れようとする必要はないってことです。
だけれども。
幼かった俺達の拙い口約束なんて。
きっと君は、とうの昔に忘れてしまっているのだと思うんです。
…約束? なにそれ美味しいの? 状態だと思うんですよ。ぜったい。
その前に、俺のこと覚えてるのかな、あの子。
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