[携帯モード] [URL送信]

[long]
触れた孤独心
フランさんが涙を拭き取ってジロリとこちらを睨んできた。
相変わらず、僕はその目に弱い。

「帰ってくださいフランさん」
「無理ですねー」

一筋縄では効かないらしい。
僕はしゃがんでため息をついた。

「名前さんの分際でため息つくとか、生意気ですー」
「フランさんはさ、考えたことありますか」
「……は?」

「もし、自分が必要とされてなかったらどうされるんだろうって」
「…そんなん、今の現状じゃないで」
「違う」
「は!?お前に何がわかるって言うんですか!?意味がわかりません!いっつもいっつも偉そうにして!」
「じゃあなんでベルさんはあんたにナイフ投げるんだよ!」
「…!やめ」
「なんでスクアーロさんはあんたに怒鳴る必要があんだよ!」
「………っ…」

フランさんが言葉を失ったように口を閉じた。

「あなたが居なくなった時、一番最初に慌てたのはベルさんだった」
「……!そんなわけ」
「スクアーロさんは隊員全員を使って探そうとしたし、ボスは我儘を言わなかった」
「……なんで」
「皆フランさんが居なきゃ調子でないんですよ」



「…らいになれない……」
「え…?」

驚いてフランさんの顔を見た。

「だから嫌いになれないんですー…いつかはなろうとしても…
変態雷親父はいちいちつっかかってくるしよー
キモオカマは子供扱いしるしよー
堕王子はナイフ投げてくるしよー」

フランさんの声ががだんだん、涙声になってくる。

「隊長は声でかいしよー
ボスは我儘で迷惑だしよー
名前はっ……
名前は………っ」

綺麗な瞳からボロボロ涙が出てきた。

「いちいち行動がイライラするし、
つっけんどんな態度とってるのに話しかけてくるし、
世話焼きだし…

嫌なことだらけなのに、嫌いになれないんですー…

生意気な後輩でもいい。カエルでもいい。
ミーの存在はあったんですよね?」

「…うん、ありました
ちゃんと」


ドサッ

「!?ちょ…フランさ」
「っはぁー緊張とけて膝がおれましたー」
「…嘘つき」
「……やっぱばれましたかー?


……し、しばらく…っこのままで、い、さ、せて……っ」

どんどん肩が濡れていくのがわかった。
緊張がとけて同時に感情の糸も切れたんだろう。

「…っ…よ、…かっ、た……うっ…ひっく」

なにも言わずに、ポンポン、と背中を叩いた。

こうして僕とフランさんは打ち解けたし、フランさんは再びヴァリアーの幹部に戻った。






backnext

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!