[携帯モード] [URL送信]

[long]
風に舞う心葉
「はぁ…はぁ…」

バカだなぁ、と思った。
なんで飛び出してきちゃったんだろう

行き先も分からなければ、帰り道も分からない。

迷惑だ。なんで出ていったんだよ…

何故だか涙がボロボロ流れた。
フランさんの気持ちが痛いほど分かった。
必要とされてない自分なんて、いらない
そんな心情が痛いほど分かった。

ヴァリアーの人達にとって、フランさんはどんな存在なんだろうか。

ただの幹部?
ただの遊び相手?
ただの生意気なガキ?


違う。
違う違う違う!!!

フランさんは、大切な仲間なのに
なんで気づいてやれないんだろう
僕にとってフランさんは
フランさんは

「は…?なんでいるんですか…?」


「え…」

振り向いたら、見慣れたエメラルドグリーンがあった。

「フラ、さ……」

掠れた声しかでない
なんでがむしゃらに走ったのに会えたんだろう

「…迎えに来たんですね」

フランさんの言葉には渦巻いた嫉妬と怨念があった。

「はぁ…はぁ…フラン、さ、帰って、きて…ケホ…くださ…」

「余計な同情ならいりません!」

フランさんが、怒鳴った。
初めてみた。
いや、本人も初めてだったと思う。

「なにも知らないくせに!ただ容姿が似てるだけでチヤホヤされて…」
「ミーなんて必要ないんだろ!!お前らはミーがいなくても」


いなくても…?

フランさんの言葉が消えた。

下を向いてると、フランさんの足元に黒いシミが出来ていた。


「っ…!」

フランさんが、泣いていた


「フラ…さん」

「あーあ…カッコ悪いですねー…
醜い嫉妬心を抱いた上に、泣くなんて」


必要とされてない。
それがどんなに苦しかったのか
僕なら、耐えられる…?

(それは殺し屋とかマフィアとかじゃなくて)
(一人の純粋な少年の涙)


backnext

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!