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SoulCalibur's Novel
断罪の剣Y
風圧が弱まり、止んだ。景色は変わらない。ただ、周りの邪気が濃くなっている。ナイトメアから放たれる邪気も強くなっていた。
彼は邪剣を構えた。ジークも、キリクも、シャンファも、全員武器を構える。
―――ザッ
駆け出したのは、ナイトメアからだった。三人はそれぞれに散る。
まず、彼が初めに狙ったのはジークだった。一刀両断にするために邪剣を振り下ろす。ジークは刃を受け止めた。腹部から出血量と痛みが増し、表情が歪む。だが、ナイトメアは隙を見せずに攻撃をする。金属の弾き合う甲高い音が何度も響いた。しかし、
―――ぴしっ…
ジークの剣の傷やひびも増えていく。ナイトメアの攻撃力自体も上がっているからだ。邪剣が邪気わ吸収して、本来の姿へと変えていくように。
彼は咆哮を上げた。そして、ジークの剣の刀身の根元に向かって邪剣を振り上げる。
嫌な音を上げて、彼の身体ごと飛ばされる。それと同時に、剣の刀身の半分が折れた。ジークは、そのまま地に叩きつけられ、転がった。
「なっ…ぐっ」
折れた剣に手を伸ばそうとして、咳込んだ。咳込みながら、吐血する。赤黒い血が彼の手を汚した。
―くそっ…―
胸中で吐き捨てた。こんな場所で終わってしまうのか、と。
薄れゆく意識の中―――、彼は暗闇の中へと堕ちた。


気を失ったジークを気にも止めずに、ナイトメアは次の標的をキリクに向けた。邪剣を手に、彼に詰め寄っていく。
「貴様も、我の邪魔をした…奴同様に許さん」
キリクは棍を構えた。視線を鋭くして、悪夢を見据える。
そしてナイトメアとキリクと。二人が駆け出したのはほぼ同時だった。
邪剣が円を描くようにして、振られた。キリクも同じように棍を横薙ぎの一撃を放つ。
―――ガッ
何かが削られるような音がして、武器はお互いを受け止めた。振動が棍を伝って、腕がわずかに痺れた。そして何より、少しずつ押されているのが分かった。これ以上剣で押しても無意味だと判断したナイトメアは、力を振り絞って、更にキリクを薙ぎ払う。
「ぐっ…!」
飛ばされた身体を、何とか地に足をつかせて着地した。キリクは棍を構えなおす。そうしている間にも、悪夢は眼前に近づいていた。ナイトメアは斜め上から下に向かって剣を振り下ろす。キリクの腹部すれすれのところを刃の切っ先が走った。彼は棍を引き付けて、思いきり突く。しかし、それは邪剣の巨大な刀身によって防がれた。今度は、足元を狙って棍を振った。
―――攻撃がヒットしたのだろう。ナイトメアがよろめいた。それを見て、キリクが棍を振り上げる。
「はああぁっ!」
そして、思いきり振り下ろした。渾身の一撃とも言うべき力。だが二度目は違っていたらしい。
「そうはいかん!」
瞬時に体勢を整えたのだろう―――大地を踏みしめて、剣を構えたナイトメアは棍の攻撃をはね返した。不意に身体が浮き上がり、無防備となる。円を描くようにして、ナイトメアは再び剣を振り上げた。
その時だった。不意に、名前を呼ばれたような気がしたのは。

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