[通常モード] [URL送信]
コーヒーと渦巻くミルク(阿千)

「千代ってさー、何で阿部と付き合ってんの?」

「えぇ!?何でって…」

「だって千代と阿部って正反対じゃない?共通点とかなさそうだし、一緒にいて楽しいのかなぁって。」


そんな会話を友達と交わしたのは、部活中である今から遡ること数時間前、昼休みのことだった。
あの時は曖昧に流したけど、実際考えるとどうなんだろう。

でも、共通点がなきゃ楽しくないなんてことはないし、私は阿部くんといるの好きだし。(ドキドキしちゃうけど。)
それに、野球のことだったら阿部くんとが一番気が合う。

とにかく、私は好きで阿部くんと付き合ってるわけで、共通点がどうこうとか言われて付き合ってる意味まで勘繰られる筋合いはないのだ。
(今ここで叫んだってしかたないけど)


最終的には何故か友達への密かな意思表示で回想を終え、ボール拭きを切り上げて顔をあげるとこちらに走ってくる水谷くんが見えた。


「しのーか、ごめん、絆創膏くれる?」

「どーしたの?」

「あはは、ちょっと擦りむいた。」


そう言って軽く腕を見せられると、確かに小さくだが擦りむいた傷があった。


「一応消毒しようか、そこ座っててね。」

「ありがとー。」


すぐに救急箱を持ってきて消毒液を取り出す。


「うー、しみる。」

「我慢我慢。」


また阿部に怒られちゃうよー、なんて眉を下げて笑っている水谷くんに、ちょっと相談してみたくなった。


「水谷くん、私と阿部くんて似てないかな?」

「どしたの、急に?」

「友達に共通点がないって言われちゃって。」


水谷くんには、同じクラスということもあり恋愛ごとでよく相談に乗ってもらっている。
阿部くんのことも女の友達より知ってるし、男の子と思えないくらいそういう類いの話がしやすいから。


「んー、確かにしのーかと阿部は似てないと思うけど、それでいいと思うよ。違うとこあったほうがお互い補えるじゃん。」

「…そうだよね。ありがとう。」

「性格とかホントに似てないように見えるけど、根本的には二人とも優しいし。似てなくても仲良くやっていけるよ。」

「うん。わかってるよ。」


じゃあ戻るから、と走り去っていく水谷くんの背中を見送って、ふう、と一息つく。
その後すぐ、麦茶が底をつくことに気が付いてあわてて駆け出したのだけれど。







一通り守備練習が終わって、皆が休憩しにベンチにやってくる。


口々に暑いだの疲れただの言いながらジャグに群がる皆を横目に見つつ、スペースを開けるために奥の方に避ける。
その時ふと阿部くんと目があうと、そのまま阿部くんがこちらに近寄ってくる。え、え、なんて一人あたふたしていると、自然な流れで手首を捕まれてさらに奥に連れていかれる。
皆がニヤニヤしながらこっちを見ているのに阿部くんも気付いてるはずなのに。
私だったらこんなに大胆に阿部くんを連れ出したり出来ないだろうな、なんてまた彼との相違点を見つける。


皆と離れたところでパッと手を離されて阿部くんと向き合う形になった。

「あ、あの阿部くん?」

「…さっき。」

「さっき?」

「水谷と話してただろ。…何話してた?」


斜め下を向いて、思いっきりバツの悪そうな顔で言われて思わず吹き出してしまった。


「なっ…!」

「ご、ごめん。あのさ、もしかしてヤキモチやいてくれた?」


今度は顔を真っ赤にして俯く阿部くんに、彼が結構表情をコロコロ変える人だったと思い出す。


「ちょっと恋愛相談にのってもらってただけ。」

「何だよ恋愛相談って。」

「さあ?何だろーねー。」


おい!と狼狽える阿部くんの着ているアンダーシャツの黒と自分が着ているTシャツの白がまた対照的で笑ってしまった。













(黒と白、混ざれ、交ざれ)



何が書きたかったのかわかんねぇー!
とりあえず阿部くんにヤキモチやいてほしかったんです。
あと、千代ちゃんと水谷くんを絡ませたかったんです。

…阿千なのに水谷くんが多い件はスルーでお願いします←

まぁ、この後皆のとこに戻ったら部員皆から冷やかされちゃえばいいよw


お題配布元:heaven's blue

[back][next]

あきゅろす。
無料HPエムペ!