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不二周助(見えないから勝てた)

不安がなかったわけじゃない。
試合が終わって青学の旗が、そしてみんなの顔が見えたときは安心したんだ。
勝ったということ、見えるということ。
それが素直に嬉しかった。

少し体を落ち着けた後、彼女を探して会場を見回す。
やっと見つけたと思ったら、案の定僕を心配して大粒の涙を流していた。
僕のために泣いてくれているのは嬉しいけれど、やっぱり君には笑っていてほしいな。


「泣いてるの?」

「っ…泣いてない。まだ、目見えてないんじゃないの」


強がって涙を拭こうと頬をこする手を、僕のそれで止めてそのまま抱きしめた。


「周助…みんな見てる」

「構わないよ。まだ見えてないんだから寄りかかったっていいだろう?」



誰が見ていようが関係ない。
君を抱きしめたいと、今、僕がそう思ったのだから。


観念したように僕の背中に手を回した君が笑っているのがわかった。


「よかった…勝ててよかったね」




君の姿をこの瞳に映すことができる。
それが何よりも嬉しい。
僕の勝利を喜んでくれる。
そんな君が誰よりも愛しい。










(いろいろ心配だったけど勝利したことを一番喜んでくれる彼女が不二先輩にはいてほしい)



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