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「ねぇ、獄寺君は知ってる?」
がやがやと騒いでいるクラスの中でツナは唐突に獄寺に聞いた。
ツナの心の中は朝からリボーンの話でもやもやとしていたのだ。
「何をですか?」
「マフィアが潰されてるって話し」
「おっ、何だ?」
いきなり横から現れた山本は、自然な流れで椅子に座る。
守護者となった山本にも話していいだろう。
そう思い、ツナは二人にリボーンから聞いたことをおおまかに話した。
「まじっ! そいつと闘ってみてー」
獄寺は目を輝かせながら話しを聞く山本を、邪険そうに見ながらもツナに答える。
「そいつなら俺、見たことあります」
「本当っ!! どんなやつだった?」
「それが……黒いコートにフードを深く被っていたので顔は見えませんでした」
「なんだ、それは見たとは言わないのな」
「何だと!」
「ちょ、二人とも!」
今にも立ち上がり、殴り合いを始めようとする二人をツナは止めようとするが、そんなことで止められる二人ではない。
クラスの人達もまたか、と慣れた光景に誰も口を出す人はいない。
その時ちょうど鐘が鳴り先生が来たため、喧嘩は中断となった。
授業中、ツナは上の空。
どんなに嫌なことがあっても、いつもならすぐに忘れてしまうのに、何故か気になってしまう。
窓越しに見える大きな木。
その木を見た途端、ツナは固まった。
何回も目を擦ってみるが、幻覚ではない。
超直感も幻覚ではないと言っている。
その木の中に黒い人影が立っているのが見えるのだ。
授業中ということも忘れて、ツナは椅子をひっくり返し声を出した。
「獄寺君、山本、あれっ!!!」
ツナが窓の外を指差す。
呼ばれた二人だけでなく、教室にいるほとんどの人がツナが指の差している方を辿る。
「あいつです! 十代目!!」
沈黙を破ったのは獄寺だった。
「あいつか」
続いて口を開いたのは山本。
……何が。
クラス全員の心が一つになった瞬間だった。
しかし、誰もそれを口にしようとはしない。
いつも面倒事を起こす三人に、巻き込まれたくないのだ。
そんなクラスをよそに三人は教室を飛び出していた。
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