再会




ピピピピッ…
ピピピピッ…





無機質な機械が目覚めを知らせる。
未だ鳴り続ける時計を止め、もぞりと布団が動く。
中から現れる幼さの残る整った顔と日に焼けていない白い肌。
朝日により蜂蜜色の長い髪が光り輝く。





「…んぅ……もう朝か…」


綱吉は起き上がると、ベッドから立ち上がる。
朝ご飯を作る気にもなれず、一通り支度が終わると外へ出ていった。







日本に弟がいることは知っていた。
会ってみたいと思っていたため、見るだけなら、と日本に行ってみた。
だが、それが失敗の元だった。

フードが取れるとは予想できなかった。
あそこにいた人には顔を見られてしまっただろう。
あいつだけには見られてはいけなかったのに。

その後、何も証拠を残さないようにして、急いで日本を発ち、イタリアに戻ってきた。




――はぁ。


綱吉は何度目になるか分からない溜息を吐く。



今綱吉は、お気に入りの喫茶店の外のテラスにいる。
何かあると、いつもここに来る。
唯一綱吉が心を休ませることのできる癒しの場所だ。

いつものようにゆっくり紅茶を飲んでいた。
すると、何やら煩い男達が近付いてきた。


「ねぇ君、一人? だったら俺達と遊ぼうよ」


ついてない。
せっかくの癒しの時間が、台無しだ。


それに、綱吉は男だ。
そういう台詞は普通、女に言うものであって、男に言うものではない。



「…俺は男だ。他を当たってくれ」


「そんな顔して、男な訳ないだろ。いいから行こうぜ!」



本当のことを言っても信じてもらえず、呆気にとられていると、ぐいっと腕を引かれる。
意外に引く力が強く、そのまま男に抱き着く形となった。


「なっ?! 離せ!」


必死に腕を振り払おうとするも、相手の方が力が強く解けない。
日本人としても小柄な綱吉がイタリアの男に勝てる訳もなく、もがくだけに終わる。
すると、調子に乗った男は腰を触ってくる。



「細っせ〜な。こんなんじゃすぐ折れるぞ」


笑いながらも腰を擦り続ける男達。
元々、女と間違われてイラついていた綱吉は、頭の中で何かが切れる音がした。









あきゅろす。
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