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綱吉は足を振り上げ、蹴りを喰らわそうとしたその時、男達が倒れてきた。
突然のことに呆然としていると、目の前には見たことのある顔が並んでいた。
「やっと見つけた!」
ツナはまた逃げられてしまわないように、倒れている男達を飛び越えて綱吉の腕をしっかりと掴んだ。
周りを見ても逃げないよう囲まれていて、綱吉は諦めて席についた。
「…何か用か」
綱吉から醸し出される雰囲気は冷たく、感情を読み取ることは出来ない。
さらに、いろんな殺気を向けられてきたツナ達だが、今感じている殺気は鋭く、どこか淋しさを含んでいた。
だが、そんなことで怖じけづく者達ではない。
同じように椅子に座り、綱吉に話かける。
「何で君はマフィアを潰すの?」
「…お前等には関係のないことだ。話すことなんて無い」
「何だと!」
ガチャ、っとリボーンに銃を向けられても綱吉は微動にもせず、誰とも目を合わせようとはしない。
「では、貴方は沢田ツナヨシ…兄弟がいることを知っていましたか?」
綱吉は顔を上げ、一度ツナの方を見遣る。
その冷たい視線にツナはビクッと体を揺らすも、目は合わせたままにする。
すると、綱吉がツナから視線を外し再び下を向く。
「まぁな。話には聞いていた。
………もういいだろ。これ以上俺に関わるな」
綱吉は去ろうと立ち上がる。
しかし、それを黙って見送る奴等ではなかった。
何がなんでもボンゴレに連れていく気で会いに来たのだ。
だから、ここで引き下がるわけにはいかない。
……確かに始めはその気で来たのだが、今では綱吉に拒絶されることに胸を痛める。
彼の、綱吉のことを知りたい。その冷たく悲しげな瞳の奥に隠されていることを。
初めて持ったこの気持ちを自覚する程、彼等はそこまで大人ではなかった。
というか、ダメツナと呼ばれモテない生活を送っていたツナと
来るもの拒まず、去るもの追わずの生活をしていた他の者達は本当の恋というものをしたことがないのだ。
「お願い、待って! 綱吉!!」
名前を呼ばれ、綱吉は驚いて振り返る。
だがその時、前を歩いていた人にぶつかった。
「いてぇ〜。何だ?」
「――ッ、悪い。…お前は!」
金色の髪がさらりと揺れる。
その顔はまた女性を騒がせる程の格好良さ。
「ディーノさん!!」
近付いてくるツナ達から逃げようとするが、ディーノの足が絡まって上手く逃げ出せない。
その隙を見過ごさなかったリボーンは綱吉の後ろに回り、首に手刀を入れた。
ガクッと上半身が傾いていく綱吉をリボーンは優しく受け止める。
「赤ん坊、ちょっとやり過ぎじゃない?」
「俺はもう赤ん坊じゃねえ。
こうでもしねぇとこいつは離れていくぞ」
その言葉に何も返すことが出来ないツナ達をよそに、リボーンは綱吉を抱えて歩き出した。
「お、おい! どうしたんだよ!!」
追いかけるようにディーノもリボーンのあとをついていった。
* * * * * * * *
今ツナ達はボンゴレのある部屋に集まっている。
その部屋とは機械が張り巡らされた研究室の一室。
何故そんな部屋にいるのかというと、綱吉の記憶を見るためだ。
本来、人の記憶を見ることは不可能に近い。
しかし、霧のリングとボンゴレの技術によりそれが可能となった。
勝手に人様の記憶を見てしまうのは悪い気がするが、
その気持ちよりも知りたいという気持ちの方が強く今はそれどころではない。
「準備はいいかい?」
九代目が全員の顔を見回す。
それに頷くとボタンを押し、骸とマーモン、フランが能力を発動させた。
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