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謎の人物が立ち去った後も、ツナ達は動くことが出来なかった。

どうしてあんなにツナに似ていたのか。
彼は何物なのか。

そればかりが頭を過ぎる。


「沢田ツナヨシ、どういうことですか?」


訳が分からない、そんな顔をして骸は尋ねる。
そのツナも、何が起こっているのか理解できていなかった。





答えが出る訳もなく、時間だけが過ぎていく。
全員その後の授業を受ける気にはなれず、各々で帰っていった。







リボーンに怒られるだろうな。
ツナは苦笑しながら、家のドアノブを捻る。


「ただいま〜」


「ガハハハッ! おれっちと遊ぶんだもんね〜」


玄関まで聞こえてくる子供の声。
いつにも増して騒がしい家に、溜息しか出ない。


「ランボ、何してんだよ? ――って、父さん!?」


リビングに入ると、ランボを膝に乗せて遊んでいる父親の姿。


「おお、お帰り。早かったな〜」


「何でいるの!」


「あら、ツっ君! お帰りなさい。
今日お父さん帰ってくるって、言わなかったかしら?」


「聞いてないよ!」



そうだったかしら?
首を傾げながら、でも嬉しそうに笑う母親。
天然なところのある母親にツナはどうでもよくなってくる。

忙しそうに台所に戻っていく後ろ姿に、そういえば、朝から機嫌が良かったことを思い出す。



「おいっ、ダメツナ! 学校サボりやがったな」


ドアの前にいるツナを足で蹴り、リボーンが中に入ってきた。
咄嗟のことで準備も出来ていなかったツナは、思いっきり顔面を打ち付ける。
赤くなった鼻を擦りながらツナは起き上がる。


「――ッ! しょうがないじゃん。
朝話してた奴が現れたんだもん」


「あいつがか! どんな奴だった?!」


「リボーン、どうしたんだ?」


今まで見たことのない表情をするリボーンに、話の分からない家光は驚く。


先程あったことをツナは目の前の二人に話す。


話に聞いていた人物が学校に来ていたこと。
そして、自分と似ていたこと。


それを聞いた途端、家光は顔色を変えた。


「…ツナ、リボーン。
話がある。守護者の皆も呼んでくれ」



いつもではありえない真剣な顔を浮かべる父親に、ツナは頷くことしか出来なかった。










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