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Luke + Guy
あなたの隣に
屋敷時代回想から現在のふたりの話。ほのぼのシリアスです。





「ガイはずーっとそばにいろよ!」

屋敷にいた頃、ルークにそう言われた。いつものように彼のお世話をしているときに突然言われたので、戸惑ったことを覚えている。その頃はまだルークに対しての憎悪があったので、本心からではない口約束をした。

「ああ、ずっといるよ、ルーク」

そう応えるとルークはとても嬉しそうに笑い、ベッドの上で跳びはねた。

「おれ、ガイといっしょならなんでもできるきがするんだ!」

ルークは笑顔でそう言っていた。当時は複雑な心境で無邪気なものだ、と思った。仇の息子が復讐のためにファブレ家へ潜り込んだ俺のことで喜ぶとは、面白いじゃないか。しかし、今ではそう言われたことを誇りに思う。
時は流れ、ルークが15歳になったときに面白半分で彼に聞いてみた。

「なあルーク」

「あん?何だよ?」

「俺が、もし消えたらどうする?」

その一言にルークは目を大きく見開き、とても驚いていた。俺が急にそんなことを言い出すのだから当然の反応だろう。普段の俺はこんなことを突然言い出すやつではない。しかしルークはすぐに普段の表情になり、いつものように乱暴な言葉で動揺をごまかした。

「…お、お前何言ってんだよ!意味わかんねえ!」

ルークはそう言うと乱暴に横になり、俺がいる方とは逆の方を向いた。その態度に謝ろうとしたが、俺が口を開く直前にルークの言葉で遮られた。その声はすごく真面目で、悲しみや寂しさも含まれていたように感じた。

「…考えらんねえよ。ガイが俺の前から消えるなんてさ…つかガイは強いだろ?!消えるはずなんかねぇだろ?!」

「いや、俺より強い人はたくさんいるよ」

ルークの不安げな問いに、俺は正直に答えた。俺はただの使用人にすぎない。俺より強い人は世界に多く存在する。絶対に死なないという保障はないのだ。
俺の迷いない答えに戸惑っているのであろうか、ルークが言葉に詰まる。つらそうな顔をしているのでルークの頭を撫でてやった。しばらく待っているとルークが口を開いた。

「…ガイがいなかったら、…つまんねぇだろーな」

「そりゃ光栄だよ」

「…うん」

ぼそりとそう言うとルークは黙り込んで、空を流れて行く雲を眺める。あまりに空気が重くなったので、この話はもう終わりにしようと立ち上がろうとした。

「だいたい、ガイが消えるなんて許さねえからな!」

突然、ルークが怒鳴るようにして言った。
彼は嫌だと答えた。それどころか許さないと否定されてしまった。それだけ俺はルークにとって大きな存在なのだろうか。嬉しい気持ちを抑え、ルークに質問の経緯を伝える。俺が急におかしなことを言い出すものだから、不安で仕方ないのだろう。

「なっ!なんだよそれ!それならそうと言えよ!難しい顔して言うからマジで消えちまうんじゃねえかと思っただろ馬鹿野郎!」

「真面目に答えてくれて驚いたぜ。はは、悪い悪い」

「ったく…罰として今日一日剣技に付き合え!」

「別に罰でもないけどなあ…」

「うーるーさーい!これしか思い付かねえの!」

「ははは、わかったよ。だからそんなに怒るなって」

「誰のせいだよっ!」

こんな平和な日が、いつまでも続くと信じてやまなかった。だがその願いは一瞬にして砕け散り、俺達に絶望を与えた。
消えゆく人、止めることは許されなくて。たった一人の命と世界、てんびんにかけることもなく。彼は、死を選んだ。助かったと思いきや、彼の態度はどこかおかしかった。まるで最期を迎えるかのように過ごしていた。そして俺達は気付いてしまった。彼は消えてしまうのだと。それを承知の上で、彼はローレライを解放した。
だが俺達は皆、死んだとも消えたとも思っていない。おまえが帰ってくることをずっと待ってるんだ。いつまでも。たった7年しか生きていないおまえのことを諦めることなんて、できるはずがない。共に旅をして成長し、変わった仲間を…大切な親友を。
なあ、ルーク。あの日の約束、果たせなかったな。ずっと、そばにいてやりたかったよ、ルーク。




あなたの隣に




だから帰ってきたら、ずっと側にいろよ。隣はずっと、空けておくから。

(もう二度と、離さない)





ガイってルークを手放したことをすごく後悔してるよなあって思いながら書いた話でした。自分が一番近くにいたはずなのに止められなくて、見守ることしかできなくて、どれだけつらくて悔しくて悲しかったんだろうか
アビスの世界はなぜこうも残酷なのか…その分妄想で補ってるから生きてけます
2012.4.23 加筆修正


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あきゅろす。
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