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Luke + Guy
すれ違い、交じり合い
ガイに音機関好きな友達ができて、ガイがその友達とばかり話すようになって寂しさを覚えるルーク。学パロでふたりは同級生。音機関は学パロにするにあたって何かに置き換えようとしたけど面倒なので音機関のままです





「よーガイ!今日もレアな音機関持ってきてやったぜ?」

「おおっ!!ホントか!?」

ガイは音機関好きの友達に声を掛けられると、弾かれたようにその友達の元へ駆け寄っていった。まだ俺と話をしている途中だというのに。本当にガイは音機関のこととなると周りが見えなくなってしまう。常々思うがいつものガイからは想像できない姿だ。ガイが友達と興奮しながら、俺には全く理解不能な専門的な用語を口走っているのを遠くからぼんやりと見つめた。
今までガイには音機関好きの友達がいなかった。しかしクラス替えをして新しいクラスで、初めて音機関好きの友達が出来たのだ。それが嬉しくて堪らないのだろう。ガイの周りには趣味の合う友達も、好きなものが共通している友達もいなかったから。俺とは幼なじみだから仲が良かっただけで、趣味なんてほとんど合わないし共通点もない。せいぜいくだらない話をして、笑って、そうして一日を過ごす。そんな何気ないけどどこか満たされた日々が続いた。
ガイの音機関の話も幼い頃からずっと聞き流してきた。興味を示してもらおうとガイは話してくるのだが、俺には興味が持てなかったのだ。だから余計に嬉しいのだろう。趣味を語り合う仲間ができて。
それに加えて新しいクラスには、音機関に興味を持っている者もいた。それもガイの喜びの要因の一つだ。だからガイはそんな者たちに音機関について語り掛け、ひたすら勧めていた。その甲斐あってか音機関好きな友達が増えたとガイは心底嬉しそうに俺に話してきた。クラス替えをしてから毎日生き生きとした生活を送るガイは本当に幸せそうだったので、俺も嬉しく感じた。
しかし、その幸せで失ったものもあった。
ガイと共に過ごす時間が異常なほどに激減したのだ。気が付けばガイは、俺よりも音機関好きな友人達と一緒に過ごすようになっていた。一緒に登校はしていて学校に着いても話はするが、音機関好きの友達が来るとすぐ俺との会話を中断してそちらに向かっていく。語り合えるというのは楽しいだろうけど、俺は寂しかった。何度も彼らの会話に入ろうと努力はしたのだが、専門用語ばかりで全くついていけず、俺には理解不能だった。
それに毎日のようにしていたメールも来なくなった。暇になったら送信していたメール。しかし送信履歴を見てみれば、一ヶ月以上前にガイに送ったきりだった。
遊びに行こうと誘ってみても、音機関好きの友達と用事があるから行けない、そればっかりだ。放課後にうちに遊びに来いよと誘っても、放課後は皆との約束があるんだ、と断られる。先約があるのなら仕方ないと諦められるが、それでも、優先順位で俺が最下位にされているようで納得できなかった。
小学生からの付き合いの友達に相談してみたが、子供かおまえは、と一蹴されてしまった。俺は本気なのに。けどガイに言っといてやるよと言ってくれたので安心した。こんな事態今までなかったから、こいつも考慮してくれたのだろう。その心遣いが有り難かった。けど、それから何も状況は変わらぬままだ。どうしてだろう。
ガイが構ってくれない。その現実が俺の胸を締め付け、心を曇らせた。対してガイはいつも楽しそうで晴れやかで、まるで別人のようだった。なんだかこのままだとガイが本当に離れていってしまいそうで。何度もガイに話し掛けているのにいつも、後でな、と言われ、結局話せないままだ。何が後でな、だ。構う気なんて最初から皆無じゃないか。期待させんな。馬鹿ガイ。もういいよ。

『もうガイのことなんか知らね。』

本文にそれだけ打ち込み、ガイにメールを送信した。今日も放課後に皆と話すと言っていたからまだ学校だろう。もうどうでもいい。俺はベッドに飛び込みふて寝した。



ポケットから着信音が鳴った。今話が盛り上がっていいところなのに誰だろうか。少し不満に思いながら携帯を取り出して見れば、ルークだった。

「どうした?ガイ」

「いや、ルークからメールが来てな…『もうガイのことなんか知らね。』って」

「何それ、ルークくんかわいいね!」

本文にはその一言しか書かれておらず、首を傾げた。どうしたんだろう、ルークは。悩んでいるとまだ教室に残っていた小学生からの付き合いの友達が、俺に責めるような口調で言ってきた。

「おいガイ。おまえ俺が言ったこと忘れてねーか?」

「おまえが言ったこと…?」

何のことかわからず思い出すため記憶を遡る。そうして思い出したことがあった。この前言われたこと。大切なこと。
ルークのこと、ちゃんと構ってやれよと言われたじゃないか。

「最低だなーガイ。ルークより音機関が大事なんてさ」

「そんなことねえよ!ルークの方が大事に決まってるだろ」

「そう思うんなら早く行ってやれよ。あいつ今頃ふて寝してんぜ」

「言われなくても今すぐ行くつもりさ」

そう答え荷物を慌てて纏める。皆は状況を理解してくれたようで見送ってくれた。そして耳が痛くなることを言われた。最近ルークの様子がおかしかった、寂しそうだったと。ルークの異常に気付けなかった、いや、見えていなかったのだ、俺は。音機関のことになると俺は本当に周りが見えなくなる。それは自覚もしていた。だが、身近な存在であるルークも見えなくなってしまうだなんて。最低だ。自分を恥じる。とにかくルークの家へと急いで駆けた。
家の前に着き、インターホンを押す。しばらく待っていると、ルークが寝ぼけた様子で扉を開けた。

「はぁい…どちらさまですか?」

「よっ、ルーク」

「なっ!ががが、ガイ?!何でここに…」

「とにかく邪魔するぜ」

「あ、ああ…」

少々強引に家へお邪魔する。どうやらまだルークの両親は仕事から帰っておらず、ひとりのようだ。

「…で、どうしたんだよ…急に」

「おまえからメールが来たからな。寂しい思いさせちまって、悪かったなルーク」

そう言って俺はルークの頭を撫でた。ルークはこの行為が好きだから、せめてもの謝罪。これで少しでも今まで感じた寂しさを和らげることができれば。ルークは嬉しそうな笑みを微かに浮かべ大人しくしていたが、我に返ったようにはっとすると俺の手を乱暴に振り払った。

「う、うるせぇ触んなっ!ガイなんか知らねぇっつったろ!ふんっ!」

そう吐き捨てるように言うとルークはそっぽを向いた。子供かおまえは。だが久々にルークのそんな行動を目にすることができて嬉しく思った。こいつは拗ねてるんだ。怒ってるんだ。今まで構ってくれなかったくせに、今更何なんだと。

「そんなこと言うなって!拗ねるなよ」

「す、拗ねてなんかない!」

「嘘つけ!うりゃうりゃ!」

「うあっ!やめ…やめろよガイ!髪がぐちゃぐちゃになるー!」

抵抗するルークの頭を乱暴に撫でた。ルークは俺の腕を掴み振り払おうとするが、ルークは笑っていた。俺がちょっかいを出せばほら、いつものルークだ。すると今度はルークが俺の頭を乱暴に撫でてきた。髪がぐしゃぐしゃになる。抵抗してさらにルークの頭をぐしゃぐしゃにした。そうして笑い合いながらひとしきり二人ではしゃいだ後、俺は改めてルークに謝った。

「本当にすまなかったな、ルーク。おまえの様子に気付けなくて…嫌な思いさせちまったな」

「ほんと、ガイって悪いところないように見えるけど、音機関関連になると浮き彫りになるよな。周りが見えないって直した方がいいぜマジで」

苦笑いを含んだ真剣な表情でそう言われ、俺はごもっともだとしか返せない。短所の一つだと自覚しているのに中々改善できなくて俺自身も困っているのだ。どうしたものか。

「だけどもういいって!俺だってきっと悪かったんだし…」

「ルーク…ありがとう。おまえは自分を責める癖を直さないとな?」

「うぐっ…」

ルークの短所の一つである自分をやたらと責める性格。もっと自分を信じてやれと注意してるのだがこっちも中々直らない。なのでお互い協力して直していこうということになった。これで短所が一つ消えるはずだ。
それから今まで構ってやれなかった分、何でも言ってくれとルークに言うと、勉強を基礎から教えてほしいと頼んできた。その頼み事に俺は首を傾げた。ルークは成績がそこそこ良い。努力すれば成績優秀者上位に十分入れるだろう。そんなルークが基礎を教えてほしいとはどういうことか。その疑問にルークが答えた。

「いや…それがさ、最近授業中いろいろ悩んで突っ伏してたから話聞いてなくて…全然わかんなくってさ」

「全く…って、俺のせいでもあるな…よし!みっちり教えてやるよ」

「やた!ありがとうガイ!」

ルークは笑顔を浮かべて礼を言った。こいつは努力家だから基礎を教え込んでやればすぐに追い付いてくるだろう。やればできるやつなのだ、ルークは。

「けど、もしまたこんなことがあったらもうガイと話もしてやんねーから」

「ははは!そりゃ参ったなぁ…けどルーク、それはおまえも困るんじゃないのか?」

「うぐ…!そ、その時俺はもうガイと話さなくったって大丈夫なんだよ!」

「ほんとか〜?」

「ほんとだよ!もー!」

俺たちはふざけて言い合った。なんだか日常が戻ってきた気がした。いや…正確には取り戻した、か。もうこんな日常を失いたくはない。一番気の許せるルークと共に、また一緒に過ごしていきたいと思った。思うのではなく、そうあろうと努力したい。すぐ側にある大切なものから、今度は目を離さない。









前に書いた『必要なひと』と似たような話ですがこっちは比較的明るい話ですね。ルークが病まずに拗ねるんで
ガイは音機関のことになると周りが見えなくなりますよねほんと。音機関厨というか音機関狂というか
拗ねてつーんってするルークかわいいよルークまだまだ子供なおまえが好きだよ!
2012.6.18


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あきゅろす。
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