Luke + Guy 醒めた夢 断髪して仲間と合流して間もない頃の話。予想はつくでしょうがシリアスです 今日もまた、俺は人の命を奪った。 「手段を選んじゃいられないんだ…!」 そう自分に言い聞かせた。前へ進むには仕方のない事なんだ。それに以前のように皆の足枷になりたくない。変わると決心したんだ。変わっていかなければ。 ごめんなさい。 「う…ぁ……」 俺はうなされて目を覚ました。また嫌な夢を見た。せっかく久しぶりに早く眠りに就けたというのに。 「ルーク、どうした?」 声がした方に首を振り向かせると、ガイがこちらを向いてベッドに座っていた。どうやら起こしてしまったらしい。 「悪い、起こしちまったか?」 「いや、中々寝付けなくてな。それよりおまえ、うなされてたみたいだけど」 ガイにそう言われ、俺は口ごもった。なるべく自分自身が原因である悩みは誰かに言いたくないのだけれど。ガイになら、話していいだろうか。少しだけ甘えていいだろうか。迷っているとガイがいつもの笑顔を浮かべ口を開いた。 「言いたくないならそれでいいさ。けど、言いたいことがあるならちゃんと言えよ。吐き出せば少しは楽になるぜ」 「ガイ…」 ガイは俺に優しい言葉をくれる。大勢の人の命を奪い大罪を背負ったレプリカである俺に。以前と変わらず接してくれる。その優しさがひどく嬉しかった。ガイの優しさに触れ、弱気な俺はつい甘えてしまった。 「……何度も夢に見るんだ。アクゼリュスのこと、殺してきた人達のこと…。最近ずっと寝付きが悪くて、今日は久しぶりにすんなり寝れたと思ったら…」 ガイは黙って俺の話に耳を傾けてくれた。ガイはいつも俺を受け止めてくれる。懐の大きなやつだ。 「これはきっと、俺が犯してしまった罪に対する罰なんだと思う。おまえのせいでたくさんの人が亡くなったんだ、未来を奪ったんだって…殺してきた人達に責められるんだ。…当然の報いだよな」 俺は自嘲した。多くの人の命を奪ったんだから、これくらい苦しむのは当然なんだ。だから背負わなければならない。罪を認め、罰を受け、一生。罪とは決して消えるものではない。なのに俺は何を言っているんだろう。 言い終わってもガイは黙ったままだ。怒られるんじゃないかと少しばかり恐怖感を抱き、俺は思わず俯いた。やっぱり、こんなことを言われても腹が立つだけだ。話すべきではなかった。 するとガイが口を開いた。 「ルーク、一緒に寝ようぜ」 「へ?」 ガイが笑顔で言うものだから一瞬何の話をしていたか忘れてしまった。何を言っているんだ。どうしてそうなった。戸惑いと疑問を隠せずにいるとガイが言った。 「添い寝すると安心するって言うぞ。ひとりで抱え込んで寝るんじゃなくて、俺と一緒に良い夢見ようぜ。な?」 「…だけど…恥ずかしいしよ…」 「そんなこと言うなって!ほら!」 「おわぁっ!」 ガイに腕を引っ張られ無理矢理ベッドに寝かせられた。こうなってしまえば自分のベッドに戻ることは不可能だろう。ガイに阻まれる。仕方なく大人しくしていると、ベッドからガイの暖かさを感じ少しだけ安心できた気がした。 「なんか、心が落ち着いた気がする…」 「はは、だろ?それにスキンシップをたくさん受けた子供程、脳の発達が促進されるらしいぞ」 「な、何だよそれ!馬鹿にすんなよっ!」 俺と同じく横になっているガイに怒鳴るとガイは笑った。 仲間達からの冷たい態度や視線。認めてもらえるのかという不安感。自分がレプリカであるという現実。ただの代わりという存在。生まれた意味。わからないこともつらいこともたくさんあるけど、わかることもちゃんとある。 ガイの存在を感じて、今、俺は『ここにいる』ということ。俺は紛れも無く生きているということ。 わからないことじゃない。今自分がわかることを数えればいい。見えなくても今はそれでいいんだ。いつか必ず見えてくる。わかるはずだから。 「おまえが変わるのをちゃんと見ててやるからな、ルーク。ティアも言ってたんだろう?見ているってさ」 「うん…ありがとう、ガイ」 目の前にガイがいる。ティアがいる。まだ認めてもらえてないけど、仲間達がいる。今の俺にはそれで十分だ。顔を上げて前へ進めばいい。見てくれている人がいるから。 「ほら、寝直そうぜ!寝坊したらまたジェイドにぐちぐち言われちまうぞ」 「あはは、だな。ありがとう。おやすみ、ガイ」 「ああ、おやすみ」 そうして俺とガイは眠りについた。 夢を見た。ガイがいて、ティアがいて、仲間達がいて、アッシュがいて、そして俺がいる。みんな俺のことを認めてくれていて、アッシュとも和解できていて…アッシュは相変わらず眉間にしわを寄せてるけど、みんな笑顔を浮かべている。幸せそうに。…俺も、笑っている。 こんな未来を俺は望む。望むぐらいなら、いいよな。 醒めた夢 ルークがうなされるネタは書いてみたかったので内容薄いですが一応。深くすると完全なるシリアスになりますな。書いてて鬱になるわオウフ ゲームで没になったサブイベすら鬱ってつらすぎワロエナイ… あと添い寝も書きたかったのでついでにぶっこみました。荒いですが満足 2012.4.26 [古][新] [戻る] |