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Luke + Guy
画面を通じて伝わるきもち
実体験に基づいた話です。ちょっとシリアスほのぼの。現パロです







「くそっ…ジェイドの野郎…わかってるってのに…っ」

俺はそうぼやきつつ帰路についていた。情けないことに…泣きながら。
今日はいつも通りに学校へ行き、いつも通りに帰宅するつもりだった。しかし帰りに職員室の前を通ったのが間違いだった。ジェイドに呼び止められたのだ。

「おや、ルーク。ちょっといいですか?いや、いいですね?」

ジェイドのその態度からして嫌な予感しかしなかったが、ジェイドが相手では逃げようにも逃げられない。大人しくすることにした。

「な、なんだよ…」

「先週私があなたに出した課題、明日提出のはずですが…できていますか?」

「うっ…きょ、今日完成させるんだよ」

俺がそう答えるとジェイドは呆れて溜息をついた。
俺はレベルの高い有名大学へ行きたいので、特別にジェイドに課題を出してもらっている。何故かと言うと、ガイに恩返しをしたいからだ。
ガイと俺は一緒に過ごしている。両親は海外に勤務していて、身寄りのなかった俺をガイが引き取ってくれたのだ。だからガイは本当の家族のような存在だ。そんなガイに俺は恩返しをしたくて、でもその方法が思い付かなくて。だから俺は有名大学に進学するという目標を掲げた。ガイが周りにいい顔をできるように。

「全く、甘い考えですねぇ。本気でその大学に行きたいなら、毎日勉強して課題提出日の前日にはとっくに終わらせているはずですが?」

「う…部活で忙しくて…さ」

俺はサッカー部に所属している。毎日参加してはいないが、部活があった日は帰宅すると課題をする間もなく眠りについてしまうのだ。しかしジェイドは納得できないようで。

「勉強と部活は両立するものではないのですか?少なくとも、私は両立していましたが。それにルーク、あなたは本気でガイに恩返しをしたいと思っているのですか?」

「えっ…?ど、どういう意味だ!」

俺はジェイドの言葉にどきっとした。俺自身も思い悩んでいたことだからだ。これから先は聞きたくない。耳を塞いで逃げ出したい。でも、逃げたら今までと変わらない。そう思ってその場に止まりジェイドの話を聞いた。

「あなたがガイに本気で恩返しをしたいと、大学に行きたいと思っているなら、勉強を怠ったりはしないはずです。口先だけなら何とでも言えますよ。しかし行動に移すとなると面倒臭がって…恩返しどころか、恩を仇で返すつもりですか?」

「…ッ!!そんな、ことは…ッ」

「本当にわかっているんですか?ああ、それから…」

「おいジェイド!その辺にしてやれよ!」

突然横から陛下が出て来てジェイドの言葉を遮った。
陛下とはピオニー先生のことだ。何故かはわからないがあだ名が陛下で皆からそう呼ばれている。ジェイドと同期の人だ。

「陛下…」

「ルーク、こいつの言葉気にしない方がいいぞ?おまえもわかってると思うが、こいつ、嫌味ったらしく言いやがるからな」

陛下はそう言って俺に笑いかけてくれた。陛下はいつも俺達生徒のことを気に掛けてくれる。苦悩していると相談に乗ってくれるし、解決策を真剣に考えてくれる。一人一人と本気で向き合ってくれる、本当に良い教師だ。
ジェイドは陛下が割り込んできたことに対して溜息をついた。

「陛下、あなたに今の話は関係ないでしょう?」

「関係大有りじゃねえか!ルークは俺の生徒だぞ!とにかくルーク、一度ガイラルディアに相談してみたらどうだ?まだ大学に進学することは話していないんだろう?ガイラルディアがおまえに望んでいることは何なのか…尋ねてみるといい」

陛下は俺にそう言ってくれた。
俺はまだガイには話していないのだ。合格した時に喜ばせようと思って。しかしこんな俺の態度や実力で進学できるのか正直わからないし、お金の問題だってある。ジェイドに言われた通り恩を仇で返す結果になるかもしれない。それにガイが何を望んでいるのか。一度、きちんと話をするべきだろう。進路を変更することになるかもしれないが、今はまだ5月。猶予はある。

「陛下…はい。俺、ガイと一度話をしてみます」

「ああ。ほら、もう帰っていいぞ!ジェイドは嫌味しか言わないだろうしな」

「はい!さようなら!」

「全く…陛下、余計なことを」

「余計じゃねーよ。ルークに考えさせてやりたいんだ」

そう陛下が助け舟を出してくれたので俺は無事帰路につくことができた。そして帰宅途中、先程のことをいろいろ思い返していると悔しくなってきて、思わず涙を零してしまったわけだ。ガイに心配を掛けたくなくて自宅に着くまでに涙を止めたかったのだが、簡単には止まってくれず、結局涙を流したまま帰宅した。かっこ悪ぃ。

「…ただいま」

「おう、おかえ……ってルーク…!」

ガイは泣きながら帰ってきた俺に驚いたようで目を見開いた。しかし状況がなんとなく掴めたのか、ガイは何も聞かずすぐにいつものように接してくれた。俺が悔し泣きしていることに気付いたのだろう。

「ルーク、先に風呂入るか?」

「…ああ」

そうして俺はいつも通りに風呂に入り、その後いつも通りにガイと一緒に夕飯を食べた。その間、ガイは何も聞いてこなかった。普段と変わりなく話し掛けてくれた。その気遣いが嬉しかった。
しかし俺はガイに話すことができず、夕飯を食べしばらくした後布団に潜り込んでしまった。情けないことに勇気が出なかったのだ。布団に潜り込んでぼんやりしていると、携帯にメールが届いた。誰かと思い見てみれば、ガイからだった。
そこにはこう書かれていた。

ルーク、まだ起きてるか?もう寝てて起こしちまったら悪い。
多分ジェイドに何か言われて悔しくて泣いたんだろ?泣きたい時は目一杯泣いたらいい。俺はそれを笑ったりなんかしないからな。それからジェイドを見返してやればいいさ。
あと俺に何か話があったんだろ?顔に書いてあったぞ。今からでもいいなら聞くぜ。嫌なら明日でも構わないさ。待ってるからな。

「っ…ありがとう…ガイ…!」

途端に涙が溢れ出してきた。ガイの優しさが嬉しくて、申し訳なくて、暖かくて。俺は弾かれたように飛び起きガイの元へ走った。
ガイの元へ行き名前を呼ぶとガイが振り向く。ガイは俺の姿を見て目を丸くし、しかしすぐに笑みを浮かべた。

「ルーク、座れよ。聞いてやるからさ」

優しげな声でガイは言った。言われるがままに腰を下ろし、俺はガイに全てを話した。するとガイは「そんなことかよ」と言いながら笑った。意外な反応に俺はぽかんとする。ガイは俺と目をしっかりと合わせ、続けた。

「レベルが高いとか頭がいいとか、俺はそんなこと求めてないよ。おまえが行きたいとこに行けばいい。無理して勉強して頑張る必要なんてないさ。ルークの人生はルークのためにあるんだからな?」

ガイのその言葉に思わず俺はまた涙を浮かべた。ガイはいつだって俺の背中を押してくれる。見守ってくれる。どうして最初から相談しなかったのだろう。後悔した。ガイは肩を震わせる俺の頭を優しく撫でてくれた。俺はぎゅっと目を閉じ涙を流した。
その次の日、俺はジェイドに進路変更を頼んだ。今まで手伝ってくれたジェイドには悪いがもう決めたのだ。あれからガイと相談して決めた答え。俺は俺が行きたい大学へ進学する。また叱られると予想していたのだがジェイドは溜息をつくと微かに笑みを浮かべ「ま、今までやったことは無駄にはならないでしょう」と言った。よかった。認めてくれた。安堵の表情を浮かべると、俺の肩にぽんと手が置かれた。首だけを振り向かせればそこには陛下がいた。陛下もまた、笑みを浮かべていた。
あの時ガイがメールしてくれなかったら俺は話ができなかったかもしれない。うじうじ悩んで迷ってガイやジェイド達にずっと迷惑を掛けていたかもしれない。ありがとう、ガイ。





画面を通じて伝わるきもち






実体験というのは母にうだうだ言われて悔しくて泣いちゃって寝る前に姉がメールくれて、そのメール読んで嬉しくて泣いちゃったっていうものです
情けないなあと思いつつすぐにガイルク変換できたので私はまだ大丈夫だなあと思いました(^o^)
つらい時に優しくされるとなんで泣いちゃうんだろうか
2012.3.18


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