[携帯モード] [URL送信]

Luke + Guy
誓いの証
友達と話してたらEDのガイ様はなんでチョーカートップを外してるんだろうという話になって、その時に友達が言ったことを元にして書いたもの。ルークがローレライを解放して数ヶ月後の話です





ルークがローレライを解放し、それから帰って来ないまま数ヶ月が経った。その間に俺は貴族として為すべきことをやったり、また以前のようにピオニー陛下やジェイドにこき使われたりと、ルークと共に旅に出る前の日常へと戻っていった。ティアやアニス、ナタリアやジェイドも。ただ、ルークだけがいないのだ。その事を思うとやはり寂しく、心に穴が空いたようだった。
そんなある日、ティアがグランコクマに訪れて来た。

「…ティア?ティアじゃないか!」

「え…あら、ガイ!久しぶりね」

俺が声を掛けると、ティアはこちらを振り向き柔和な笑みを見せてくれた。綺麗な彼女の笑みを見るのも久々だ。
街を散歩がてらぶらついている時、ティアを見掛けたのだ。偶然だった。
話を聞けば彼女はジェイドに報告に来たらしい。それから俺の所にも寄って顔を見せに行くつもりだったと言う。そう思ってくれていたことが嬉しい。ジェイドに報告に行くところを引き止めてしまったようなので、一先ず別れ、また後程話をすることになった。
俺は自分の屋敷へと戻った。屋敷にはペールと、メイドが数名いる。メイドはあまり雇っていない。女性恐怖症ということもあるが、使用人だった頃が長かったせいか違和感を抱き、メイドに頼むのではなく何でも自分でやろうとしてしまうのだ。そのうち慣れるだろうが、中々慣れない。
それからこれは以前からずっと思っていたことだが、やはりルークがいないと物足りないというか、少し寂しい。7年間もあのお坊ちゃまと付き合ってきたからか、今の暮らしは静かすぎる気もするのだ。あいつに手を焼いていた頃が懐かしい。無理だということはわかっているが、また使用人生活に戻りたいという気持ちもある。ルークと話をして、剣舞をして…そんな日常が、俺は好きだった。ルークといると退屈しなかった。責任を知り、自分がレプリカだと知って生まれ変わったルークとも暮らしてみたいと思う。きっと新たな楽しさがあるだろう。
ルークも、俺がファブレ公爵から暇を与えられ屋敷にいなくなってから、こんな気持ちでいたのだろうか。俺が使用人でいた頃はほとんど俺とペールとしか話していなかった。白光騎士団と特別親しいというわけでもないルークは、せいぜいペールと話すぐらいしかなかっただろう。
その時の分も含めて、ルーク、お前とたくさん話したいよ。



しばらくすると、ティアが屋敷に訪れた。

「お邪魔するわ、ガイ」

「ああ。時間があるならゆっくりしていってくれよ」

そうしてティアを部屋へと案内し、色々と話をした。近況報告だったり、ジェイドやアニス、ナタリアのことだったり、懐かしい話もした。もちろんルークのことも。あいつがいないことは寂しく感じるが、悲しくはならない。俺たちはルークが必ず帰って来ることを信じているから。あいつも、そう言ったのだから。
ふとティアが俺の首元を見て言った。

「そういえば、ガイ…チョーカートップを外したのね」

「ん?ああ、これかい?」

そう言って俺は首に付けてあるチョーカーを指差した。
チョーカートップを外したのは貴族になったからという理由もあるが、もう一つ、大事な理由がある。

「ルークが帰って来たら、また付けようと思ってるんだよ」

「ルークが?」

ティアに頷いて俺は席を立ち、引き出しからチョーカートップを取り出した。そしてそれをティアに見せた。

「そこには小さくだが、ファブレ公爵家にというか…簡単に言えばルークに仕える、みたいなことが刻んであるんだ」

「あら…本当ね。今までずっと気付かなかったわ…」

ティアの言葉に俺は笑って応える。チョーカーをまじまじと見たりする機会なんてないだろうから知らなくて当然だ。
このチョーカーは、俺がファブレ公爵家に仕えることになった七歳の頃からずっと身につけている物だ。いわばこれは忠誠の証。昔はこれをそこまで大事な物だと思わなかったし意識もしなかったが、ルークがレプリカだということが明るみになってから、大きな意味を持つことになった。
ルークはアクゼリュスを崩落させ責任を知って生まれ変わり、レプリカだという事実を知って自分の存在価値を求めるようになった。我が儘放題のお坊ちゃまなルークは、もうそこにはいなかった。彼は一人の立派な人間として成長したのだ。立派ではないと言う人もいるかもしれないが、それでもルークは精一杯努力し、そうあろうとした。俺にはそれだけで十分だった。
だから俺は、ルークに永遠の友情を誓ったのだ。ファブレ公爵に頼まれたからではなく、ずっと心では思っていたこと。

「最後に俺はルークに言ったんだ。心の使用人でいてやるよってな。だから…あいつが帰って来た時にまた付けて、今度こそずっと側にいてやるんだ」

そんな証などいらないではないかと思われるかもしれない。けど俺は、形に示したかった。親友との誓いを。

「ガイはやっぱり、ルークの親友なのね」

「ああ!自信を持ってそう言えるよ」

ティアが微笑んで言った言葉に俺は笑顔で応えた。ルークと俺はお互いのことを何の疑いもなく親友と呼べる。二人で七年の時を共に過ごしてきたのだ。
最初は確かにルークのことを殺そうとしていた。ファブレ公爵に俺と同じ思いを味わわせてやろうとずっと復讐の心に囚われていた。しかしルークが言った言葉。過去ばっか見てても前には進めない。俺はルークのその言葉に救われたのだ。
だから今度は俺がルークを救う番だ。救えるようなことはないかもしれない。それでも俺は、あいつの親友だから。
ルークが帰って来たら、笑って迎えてやろう。どれだけ待たせるんだと言って怒って小突いてやろう。そうしてまた笑い合おう。それから俺が教えられなかったことをたくさん教えてやろう。知っていても損はないことを。知って自分の世界を広げてもらったら。かつて俺がルークに約束したように、どこへでも連れていってやりたい。帰って来てもあいつはまだ子供なんだから。生きるということを、心の底から楽しんでほしい。ルークはレプリカなんかじゃなくて、一人の人間なのだから。
そんな俺の気持ちを察したのか、ティアが微笑んだ。

「ルークが帰って来る日が楽しみね」

「そうだな。帰って来たら、また騒がしい日々になりそうだ」

そう言ってティアと笑い合った。
それからしばらくして、ティアが帰らなければならない時間になったようで席を立った。俺はティアをグランコクマから出るまで見送ることにした。その際、ティアと少しぶつかってしまい謝ると、そんな俺を見てティアが驚いた。

「女性恐怖症も随分克服したのね…きっとルーク、驚くでしょうね」

「はは、俺も変われたんだってとこ見せてやりたいよ」

急に近付かれたりすると少し恐怖感を抱いてしまうが、随分克服できたものだ。ルークが変わってみせたように人は変われるのだ。変わりたいという強い思いがあれば。

「久しぶりに話せて楽しかったよ、ありがとう。またいつでも遊びに来てくれて構わないよ」

「ええ、こちらこそ。ガイも暇があればダアトに遊びに来てね。きっとアニスとフローリアンも喜ぶわ」

そう言ってティアは綺麗な髪を靡かせながら去って行った。

青く透き通る空を見上げた。
きっとどこかにルークはいる。そして生きて帰って来る。約束したのだから。いつになるかはわからないが…またチョーカートップを付けることになる日が楽しみだ。






誓いの証







ガイのあのチョーカートップ、なんで外してたのかは当時から地味にずっと気になってまして…デザイン的なことなんだろうか
こんな理由だといいなあ!いいなあおい!本当のチョーカートップがどんなんになってるかさっぱりわからんけど!親友との誓いの証っていいなあ!なあ!!
2011.11.11


[古][新]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!