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Luke + Guy
想い
ルークの日記ネタです。ローレライ解放後の話。なのでルークは一切登場しません





「これはガイが持っていて」

そう言われティアから渡されたのは、俺が屋敷にいた頃からよく目にしていた一冊のノートだ。忘れるはずのない物。

「ルークの日記、か」

「ええ。ガイに持ってほしいって皆が」

私もだけどね、と彼女は微笑んで言う。
記憶障害と見られたルークは医師から日記をつけるように言われ、渋々ながらも書いていた。「たりー」だとか「めんどくせー」だとか言いながらも。――実際には記憶障害ではなく、レプリカだからであったが。
そう言っていた彼は、かつての俺の故郷のレプリカでローレライを解放し、行方不明となっている。死んだんじゃない。あくまで『行方不明』なんだ。

「皆はもう読んだのか?」

「大佐もアニスもナタリアも、私も含めて皆読み終わったわ」
「あとは俺だけ、か」

皆はルークの日記を、彼の生きた証を、どんな気持ちで読んだのだろうか。旅の間、誰にも見せなかった本音。その時のルークの気持ち。

「ずっと持っていて。きっとルークも、それを望んでいると思うから」

「…ああ、わかったよ」

そう言って渡された日記は、どんなものよりも重い気がした。当然といえば当然か、あいつの想いがたくさん詰まってるんだから。
日記を少し眺めていくと、ティアがやらなければいけないことがあるから、と帰るそぶりを見せた。導師イオンも大詠師モースも失い、ローレライ教団は今だ混乱が絶えないが、もう預言には頼らない自分達の未来を作ってみせると、アニスも頑張っている。アニスだけではない。ジェイドもナタリアも、ティアも、皆それぞれ頑張っているんだ。…俺も、やらなければならない。

「じゃあまた会いましょう、ガイ」

「ああ。いつでも来てもらって構わないよ」

「ありがとう。それじゃ」

そう言って彼女は走り去って行った。つらそうな、悲しそうな顔をして。きっと彼女もこの日記を持っていたいんだろう。彼の想いがつまっている日記を。それを皆が俺に譲ってくれたんだ。

「おまえに笑われないようにしなきゃな」

ひとり、呟いた。
自室に戻って彼の日記を開き、丁寧に読んでいく。苦しい気持ちも嬉しい気持ちも、全て書かれている。何故あのとき助けてやれなかったのか、何故彼の気持ちをわかろうとしなかったのか、後悔が込み上げてくる。今更後悔しても全て遅いが、それでも。
アクゼリュス崩落以降、随分と変わった彼。自ら変わると言ってくれて嬉しかった。人の為に生き、人の為に己の命を捨てようとした彼の瞳は、ただ真っ直ぐで綺麗だった。長髪のときは世界のことを何も知らず、我が儘で不器用で根は優しかったが、断髪後は素直になり、他人を思いやれるようになった。周りの人に優しくすることもできた。ルークは決意した通り、変わってみせたのだ。
読んでるうちに、彼との思い出が次々と浮かび上がってくる。ともに笑い、ともに悩み、時にはぶつかり合った、大事な俺の親友。レプリカだったけれど、俺の本物はルークだけだった。
日記を全て読み終わり彼のことを思うと、頬を何かが伝った。
ルークが帰ってきたら『なに勝手に人の日記見てるんだよ!』と言ってきっと怒るだろうか。俺はそんな日がいつか必ず来ることを信じている。
ずっと待ってるから、早く帰ってこいよ、ルーク。





想い




初めて書いたガイとルークの小説でした。なのにルークが出ないとはこれいかに
実際本編じゃルークの日記はどうなったんでしょうね。ルークの部屋の机にでも置いてあるんかな。どこに行けばいいのか忘れた際に日記には随分お世話になりましたが、あらすじを引き継いでプレイするとえらい目に合いますねほんと
2012.4.17 加筆修正


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