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Yuri × Flynn
弱くて強いお前を
病弱フレンネタ
捏造半端ないっす





















昔からフレンは病気がちで、一緒に太陽の下、外で遊んだ記憶がほとんどない。生まれつき身体が弱く、少し走ったくらいで肩で呼吸をして苦しそうにするのだ。フレンと遊ぶとなると室内で、言っては悪いがそこまで盛り上がるものはなかった。当の本人は皆が来てくれたことが嬉しく、そんなことは気にしていなかったが。それにこちらも、あんな笑顔を見ると全てを許せるような、そんな気持ちになった。だから皆怒る気もなかったのだ。
だがフレンも無邪気な子供だ。ドクターストップがかかっているにも関わらず、オレ達が止めても無理して外で遊び高熱を出し、命に関わると言われたことがあった。もちろん、大人達からはみっちり叱られた。
それほどまでにフレンは遊びたかったのだろう。皆と同じ楽しみを知りたかったのではないだろうか。
身体は人より弱く風邪もよく引いていた。ただ、心は人一倍強かった。
下町で度々見かけていた騎士団の所業。幼い頃から見ていた光景で、オレはそんな奴らが許せなくて、フレンはそんな騎士団を変えたいと思った。
だからフレンは騎士団に入隊したのだ。


「後悔はしねえな?」

「ユーリと一緒なら、頑張れる気がするんだ」

「無理はすんなよ」

「わかっているさ」

彼が無理をすることは目に見えていたが、言わずにはいられなかった。騎士になるということは、命をも懸けるということだ。ただでさえ身体の弱いフレンにできるのかと不安もあったが、彼は鉄のような心と眠っていた運動神経を開花させ、それをカバーした。それは彼をよく知っているオレでさえ賛美するほど。下町の人々は驚いていた。フレンにこんな強さが宿っていたのかと。



それから時は経ち、体力も少しばかりついた。フレンはようやくオレ達と近い体力を持つことができたが、身体が強くなったかといえばそうでもなく。
厳しく言うとまだまだ足手まといだろう。入隊したての奴とそれほど変わらない。だが彼には大きな信頼が寄せられ、仲間達がいた。
やはり病弱な身体を克服することは難しく、フレンは何度か倒れたが皆の支えもあり復帰することができた。その時属していた隊の隊長は心配して、一度休暇をとってはどうかなどと遠回しに騎士をやめてはどうかと言ってきたが、フレンは声を張り上げ反論した。


「僕は平気です!本当はタフですし、他の皆にもついていけます!ですから、ご心配には及びません!」

「しかしその身体では…」

「確かに、心はタフだなフレンは」


そして彼は気力で跳ね返してみせた。フレンは休むことを知らないのだ。
下町生まれが気に入らない貴族共は権限を使いかざし、フレンをよく戦場へと向かわせていた。もちろんフレンが病弱だとわかってのことだ。
そんな汚いマネをする奴らにフレンは負けることはなかった。周りの騎士達の助けもあってか、フレンは幾多の戦場を乗り越えて来た。フレンにとっては少しの傷も致命傷に成り兼ねない。だからオレは魔物討伐の時はさりげなく庇いながら戦っていたのだが、普通の騎士でさえ根を上げることをフレンはやってみせた。
そう、強すぎたのだ、フレンは。



「お前、大丈夫なのかよ」

「何のことだい?」

「身体のことだよ。騎士団長ってからには命を狙われるだろうし大変だぞ」

「ユーリは心配性だなあ。大丈夫さ、優秀な部下達もいるんだ。心配はいらないよ」

「ったく…自分が病弱だってこと、忘れんなよ」

「わかってるよ」

フレンは心配性だと言うが心配するのは当然だろう。
騎士団長になったフレンは全てを抱え込もうとした。昔から人に迷惑をかけてばかりだったから、今度は自分が皆を助けるんだと。誰も見返りなんて求めていないのに。
騎士団長は常に強くあらなければならない存在。揺らげば騎士達の士気に関わる。だからフレンは憧れだったアレクセイに裏切られたことにも、動じていないフリをしていた。
自分の感情を知らせてやらないと、認めさせないと、きっとフレンは壊れてしまう。
しかし今はすべきことが多すぎる。せめてエステルを救い出し、アレクセイを倒してからにすればいい。そう思い、あろうことかオレは親友のことを後回しにしてしまったのだ。
その判断が間違っていたことを、オレはすぐに思い知らされることになる。





フレンは息を切らしながらもアレクセイの元へやって着ていた。その様子に少しばかり動揺したが、彼を退かせればいいと思い目の前の敵に集中した。しかし、


「ユーリ危ない!」

「なっ…!」


フレンがオレを庇い、オレを貫くはずだったアレクセイの攻撃が彼に直撃した。フレンはあまりの痛みに声を上げ、そのまま力無く倒れ込んだ。どうやら気を失ったようだ。直ぐさま部下である側近の二人が駆け寄る。

「隊長!!」

「フレン!待ってください!今回復しますから…!」

「…っ…いけません!あなたがたはアレクセイ騎士団長を追ってください!」

「でもフレンが!」

「あなたたちの今やるべきことは何なんですか!それを見失ってはいけません!」

「…皆、アレクセイを倒すことに集中しろ」

オレの言葉にエステルは意を決したように振り向き、アレクセイを見据えた。
他の皆もフレンを心配していたが、全てはアレクセイを倒してからだ。必ずフレンを迎えに行くと思いながら、奴と剣を交えた。



これで災難は去ったかと思われたが、違った。
がしゃん、と騎士の甲冑のような音がしたのでフレンかと思ったが、今あいつは動けるような状態ではない。じゃあ一体―――



「…ぐっ…!」


途端に腹部が熱くなった。一瞬何が起きたのかわからなかったが、茶髪で三編みをしている女騎士――ソディアと言ったか、彼女がオレを刺したことがわかった。
確かこいつはオレがフレンの親友だってことが気に喰わないんだっけ。それもそうだろう、罪人がフレンのような輝かしい人物の隣にいてはいけない。先程フレンが庇ったことで耐え切れなくなったのだろうか。
そしてオレは、海へと転落した。





結局オレはデュークに助けられ生き延びた。
オレが行方不明になっていた間、フレンは見ていて痛々しいほどに探し回っていたらしい。
フレンはあの後来た騎士達に支えられ自室へと送られたという。しばらくして目を覚ましたフレンに早々、オレがザウデから転落したということが知らされた。


「そんなはずはない、ユーリは生きてる」


そう言いながら、フレンはよろめく身体でオレを何度も探した。顔色はとても悪く、いつ倒れてもおかしくなかった。
そして案の定フレンは、一度高熱で倒れてしまったそうだ。

「ユーリの探索は続けてくれ。頼む」

療養中も部下達にこう告げていたという。
そしてエステルがフレンに会いに行ったとき、彼は静かに涙を流していたらしい。


「ユーリ、どこにいるんだい?」

「どうして僕がくじけそうなときにいないんだ」

「怖い。苦しいよユーリ」


「また僕を支えてよ」


そう、空に向かって呟きながら。
心は人一倍強いフレンがそこまで弱っていただなんて。
エステルに聞かされ、フレンにそんな思いをさせた自分自身に腹が立った。どうしてオレは大事なときに消えてしまうんだ。
フレンの心を刔るようなことになってしまい、何故時間を作ってまであいつに会いに行かなかったのかひどく後悔した。
そのあともしばらくフレンには会えないままだった。早く会っていつものように名前を呼んで、安心させてやりたいのに、もどかしい。ただ時間が過ぎていくばかりだった。





それから突然、猫目の姉ちゃんとリンゴ頭が訪れてきた。そこにフレンの姿がないことに疑問を覚えた。
聞けばフレンは今だ戦場。救援を呼ぶために2人が脱出させられたらしい。しかし騎士団は散り散りになっていて、オレ達に頼むほかない。だから二人はやって来たというわけだ。オレ達は急いでピピオニア大陸へと向かうことになった。


戦場へ着くとすぐにフレンを探した。あいつは自分が病弱だということを理解していても無茶をしてしまう。今回だってそうだろう。他人のことばかり心配して、部下を逃がした。
何より、安心させてやりたかった。
オレは生きている、と。


フレンは追い詰められていた。凄まじい土埃の中、しっかりとした声が戦場に響き渡っていたが、彼も状況的にはくじけてしまいそうだった。立っていられているのが不思議なほどに。
そしてフレンが、一瞬油断したとき。

「しまった!!」

魔物が騎士を払いのけ、市民がいる方へと突っ込んでいく。市民が危ない。ここは何としても守りぬかなければ。彼らに血を流させてはいけない。
斬撃を放つにしても危険すぎる、だったら、と体当たりでも喰らわして魔物の気を逸らそうと駆け出した、その時。
予期せぬ方向から、斬撃が放たれた。
そうして、目の前に現れたのは



「生きてるか?お姫様」



紛れも無く漆黒の彼だった。


「ユーリ!どうしてここに?!」

「上官想いの副官に感謝しろよ」

「ソディアが?!そうか……」

部下の無事を聞いてフレンは安堵の息を漏らした。だがここは戦場、安心している暇はなく次々と魔物達が襲い掛かってくる。

「フレン!今回復しますから!」

エステルはフレンに駆け寄ると治癒術を唱えた。これでフレンの疲労も完全とまでは言わないが回復しただろう。本人は申し訳なさそうな顔をしているが、さすがに心までは癒せない。

「申し訳ありませんエステリーゼ様…お手間をかけさせてしまって」

「フレンが無事でいてくれることが何より大事です」そうエステルが柔らかく微笑んだ。フレンもまた彼女に笑顔で返すと、オレの方へと向いた。その様子を見る限り、どうやらフレンはやる気のようだった。

「フレン、やれんのか」

「僕も騎士だ。前に立って皆を守る立場にある。退くわけにはいかないよ」

「強情だな。自分の心配しろよ」

「ユーリだって強情じゃないか。それに、そんな暇はないよ」

「ったく。じゃあお前はオレ達が守ってやるよ。なあラピード」

「ガウッ!」

「ラピードまで…参ったな」

ラピードにも守られるような立場にフレンは苦笑いを浮かべた。そしてオレ達は明星壱号(カロル命名)で魔物を一掃することになった。


「あんたらだけで行く気?!無茶でしょ!」

「フレン、危険です!ユーリだって!」

「僕は平気ですから。ご心配なさらないで下さい、エステリーゼ様」

リタに続いて心配するエステルに、フレンはふわりと微笑んだ。それはこの戦場にはあまりに似つかわしいもので、少しばかり見とれてしまった。
明星壱号を魔物の中心部にて起動させる。それをフレンとこなすのだから失敗なんてしないだろう。そんな自信が沸いていた。

「気ィ抜くなよ!」

「ユーリこそ!」

「ワン!」



そうして二人と一匹は、戦場の中心へと駆け出した。
ユーリは不敵に笑いながら、フレンも多少息が上がっているが楽しそうに。彼らは戦場とは思えないほどに、踊るように魔物を蹴散らしていった。







一段落ついたオルニオンにて、フレンが話があると言う。いよいよ告白か?などと冗談混じりに考えていると、フレンの口から発せられた言葉は意外なものだった。


「ワガママ、聞いてくれないかな」

「君と本気でぶつかりたいんだ」


フレンと本気で戦うなんて考えたこともなかった。口では何度も言い争いになったが、実際に剣で対峙するのは初めてなのかもしれない。
最初はさすがに手加減しようかなどと思ったが、オレもフレンの気持ちに応えるべく、本気で剣を交えようと思った。


「手加減、しないでよね」

「後悔すんなよ」

淡い碧色の瞳がユーリを捉える。同じく、漆黒に染まった瞳がフレンを捉える。フレンは真っ直ぐにユーリを見つめて、ただ一言だけ。



「思いは全てこの剣に乗せる!」

「いいぜ。…来な!」








その闘いを制したのは、ユーリだった。一瞬の隙を突き、フレンの剣を空へと弾いたのだ。


「やっぱり、負けてしまったな」

「やっぱりって何だよ。負けるつもりだったのか?」

「あ、どうしてだろう…よくわからないけど、なんだか清々しいよ」

「なんだそりゃ」

そして二人は夕焼け空の下、仰向けに寝転がり子供のように笑い合った。

これからもオレはこいつを支えていく。倒れてしまわないように。ずっと。
彼の笑顔を見て、そう思った。






























また、この剣に誓って。





















ソディアのやつは飛ばしました。ごめんよソディアまた今度な!
いろんな場面飛ばしてます。長くなりすぎたので/(^O^)\突然場面変わったりしてすみません
とりあえず病弱フレンでした
無理があったな!


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あきゅろす。
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