Yuri × Flynn
触れ合う瞬間
大学生ユーリ元奴隷フレンでユーリとフレン19歳設定です
そんなパロ無理だわ!という方はバックステップ連発
帰宅途中、激しい雨が降り注ぐ。
「ったく、何が快晴だよ」
そう言い捨て今朝の天気予報を恨んだ。土砂降りになるなんて聞いていない。幸い大学に傘をしばらく忘れていたので、それを使って帰路についたが。こんな雨の中を30分も歩くのはオレとしては嫌なので、普段は使わない抜け道を使うことにし、見慣れない道を行く。そこはあまり整備がされておらず、ひどくぬかるんでいた。おかげで靴が泥だらけだ。濡れるよりはいいだろう。
しばらく進むと、道の傍らに何かあるのが見えた。
(何だ…?)
得体の知れないものかもしれないので慎重に近付いていく。よく見れば、人にも見えなくはない。まさか。
(人、か?)
さらに近付き、オレは目を見開いた。
あれは、人だ。人が倒れている。
間違いない。オレは視力がかなりいいので見間違えるはずがない。傘を投げ捨て急いでその元へ駆け寄った。
「おい!お前意識あるか?!」
呼び掛けても返事がない。まさかと思い脈を調べたが、弱々しく動いていた。身体は冷たい。ひどく衰弱している。何故、どうしてこんな所に。
気付けばオレは、考えるより先に行動を起こしていた。
「これからどうすっかな…」
倒れていたこいつを背負ってオレの家へ連れて来たはいいが、これからどうするか途方に暮れていた。
こいつはその後意識を取り戻したが、それからずっと怯えている。毛布を優しく肩にかけてやったが、その行為にもひどく怯えていた。オレの表情がいけないのか、それとも他に何かあるのか。後者だと思いたい。
やわらかな金髪で綺麗な碧い瞳。見た目からして16歳ほどであろう。身体は傷だらけで痛々しい。身長は160辺りか。背負ったとき、驚くほど軽かった。
とにかくわからないことばかりなので、本人に聞いてみることにした。
「なあ、何があったんだ?」
「…っ!…ぁ…う…」
話し掛けると肩を大きく跳ねさせ泣きそうな顔をした。なるべく優しい口調で話し掛けたつもりだったが。まずは安心させてやらなければならないか。
「オレはお前には何もしねえよ。助けてやりたいだけだ。だから怯えんな」
「…いじめ、ない、の…?」
「虐める…?そんなわけねえだろ」
「でも、前のご主人様、は…いじめた」
「ご主人様…?」
その言葉に嫌な予感がしたが、どうか違っていてほしい。そう思いつつふと彼の手首に目を落とすと、何か鉄製の物がしてあった。それを取ってやると、彼は随分不思議そうに見てきた。
「意外と簡単に取れたな…なんだこれ?」
「識別…番号って、言ってた」
「番号?あー確かに書いてあるな…」
そこには数字がズラリと並んでいた。
そういえば、と思い出す。ここより数十キロ離れた所に、奴隷収容所というものがある。その名の通り奴隷達がたくさん収容してあり、金持ちや貴族の連中が買いに来るのだ。人を商品にするなんて外道だ。
その考えから、予感が確信へと変わった。
「お前…奴隷だったのか…?!」
「…?奴隷って、なに?」
「…っ!!」
その言葉に絶句した。こいつは自分が奴隷であったともわからずにこき使われていたのだ。激しい怒りを感じた。
彼は道端に倒れていたというより、捨てられていたのだろう。買った貴族が使い物にならないとでも言ったのではないだろうか。ふざけやがって。
オレは貴族が嫌いだ。たったひとつしかない重い命を自分の都合で軽々しく捨て、何も思わない、生きる価値のない奴らが。
だが貴族共はこの辺りには住まない。きっとこいつは捨てられた場所から歩いて来て、あそこで力尽きたのだろう。それをオレが見つけたというわけか。あの道は人通りも少ない。オレが見つけていなかったらと思うとぞっとする。
「…お前、何歳だ?」
「…19、さい」
「おまっ…同じ歳かよ…!」
「ご主人様も?」
「…ああ」
同じ歳だというのにこれほどの違いがあるなんて。彼の身体は痩せ細っていて折れてしまいそうなくらい弱々しい。それほどひどく扱われていたのであろう。この様子からして、食事も十分に取らせてもらってないはずだ。貴族に更なる怒りを覚えた。
あまりにオレが神妙な顔をしているからか、彼が心配そうに見てきた。
「ご主人様…?」
「あー…ご主人様ってやめてくれねえか」
そういえば、いろいろとありすぎて名前を聞くことすら忘れていた。だが、名前を聞いても返ってこなかったら。そんな不安を抱えるが、まず自分から名乗った。
「オレは、お前と対等の関係でありたいんだ。だからさ」
「オレはユーリ・ローウェルだ」
「ユーリ、ローウェル?」
「そうだ。お前の名前は?」
「…フレン。フレン・シーフォ」
フレンはたどたどしく、だがはっきりと自分の名前を答えた。
「フレン、だな」
「…!ユー、リ!」
名前を呼ぶとフレンは嬉しそうにオレの名を呼んだ。奴隷は名前では呼ばれない。だから名前を呼ばれたことが嬉しいのであろう。無邪気な姿は、子供そのものだ。
「なあフレン。一緒に住まないか?」
「一緒、に?」
「ああ、ここで一緒に。奴隷扱いなんてしねえ。一人の人間として、な」
「人間…」
オレの提案と言葉にきょとんとしているフレンに手を差し出した。彼はこの手を掴んでくれるだろうか。
「どうだ?フレン」
オレが優しく微笑んで問うと、フレンはオレの目を見てから視線を落とし、自らの手に目を向けた。そうしてしばらく動かない彼。しばらく待っていると小さく頷いて、怖ず怖ずと手を伸ばしてきた。そうして、フレンの手がオレの手をしっかりと掴んだ。
触れ合う瞬間
フレンの手の平から暖かさが伝わってきた。あんなにも冷たかったのに。彼の持っている優しさだろうか。
自分と同じ歳とは思えないこいつを、守ってやりたいと思った。
何故か、ただの他人とは思えなくて。
(こりゃ、バイト掛け持ちかな)
やりたい放題のパロでした\(^o^)/
ユリフレチャットしているときに天華様がおっしゃっていたので書かせていただきました!書いてて楽しかったです
フレンは精神的には子供です。奴隷として扱われていたので言葉をよく知らないし感情のコントロールもうまくできないからよく泣きます。萌える!
2011.3.25 修正
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