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Yuri × Flynn
ずっと一緒。
ほのぼのっぽいユリフレでちょいシリアスな感じ?








「君が落ちたと聞いたとき、心臓が止まったよ」

「大袈裟だな」

「本当のことさ」

満天に輝く星空の下、寝転がって白銀の青年と漆黒の青年は話す。
星喰みという脅威は消え、その代償として世界は魔導器を失った。当たり前に使っていたものがなくなり、皆は混乱に陥った。騎士団もギルドもお互い忙しく、二人は出会う機会を持てなかった。だが、世界はようやく落ち着きを取り戻してきている。だから会う約束をして、下町外れの草原へと二人は来たのだ。

「何日も捜したよ、君を」

フレンは星空を眺めたままユーリに話し掛けた。彼が持つ綺麗な淡い碧色の瞳は、寂しそうで、悲しそうな。そんな感情が込められている。

「ああ、聞いたよ」

ユーリも、同じ星空を見つつフレンに応えた。彼の漆黒に染まった瞳は、ずっと見ていると吸い込まれそうだ。ユーリは少し間を空けて、眉間にしわを寄せ謝罪の言葉を口にした。

「…悪かったな、心配かけて」

「ああ。心配で仕方なかったよ」

フレンはそれに対して悲しそうに、だが微笑みながら応えた。ユーリはその表情を見て、罪悪感に襲われた。あの時、自分が油断していなければ――
そんなことを考え始めたとき、フレンの言葉が遮った。

「でも、謝ることじゃないさ」

そう言った彼の表情は先程までの悲しそうな顔をしておらず、彼特有のまだ幼さを残す笑顔だった。

「君はこうして僕の隣にいる。それだけで十分さ」

(…こいつ、は)

オレはザウデでフレンの部下に刺され――フレンはこのことを知らないが――転落し、行方不明となった。先程までいたはずのオレが急にいなくなって、こいつはどれほど動揺し、不安に駆られただろうか。エステルから聞いた話によれば、フレンは必死にオレを探していたらしい。真面目な彼のことだ、きっと騎士の務めも果たしながらだろう。
それほどまでに心配をかけたというのに、フレンはオレを許すと言う。

「…ははっ」

「何だい急に?何かおかしかったかい?」

「いや…お互い、甘いなって思ってな」

「甘いって、何が?」

疑問を口にするフレンのふわふわとした髪を触りながら、オレは答える。

「オレはフレンに、フレンはオレに甘いってことだよ」

フレンはともかく、オレはこいつに甘い。確かおっさんにも言われただろうか。お互いに厳しい時もよくあるが。

「そう、かな…少なくとも僕はユーリに対して小言ばかりだけど」

「そう自覚してんなら、少なくしてもらいたいな」

「ユーリがいけないんじゃないか」

そう言い子供のようにむすっとした態度をとるフレンが可愛くて仕方ない。こういうところにやられたんだ、オレは。

「確かにな。しかしホント可愛いよお前」

「わ!ちょ、ユーリ!」

ユーリはそう言うと僕の髪の毛をくしゃくしゃにした。言われてみればユーリは僕に対して甘い気がする。そんな彼が好きなのだが。
十分に僕を撫で回したようで、ユーリの手が離れた。少し寂しいと思った。彼の顔を見ると、急に申し訳なさそうな表情になっていた。

「…本当に悪かった。心配かけたな」

「うん…生きているって信じてひたすら探し回っていたけど、不安もあったよ」

「もし…もし、ユーリが…」

「バカかお前はっ」

「うわっ!」

続けようとした言葉はユーリに遮られ、頭を軽く小突かれた。ユーリを見ると先程までの表情はどこへいったのやら、彼はよく見せる不敵な笑みを浮かべていた。そして口を開く。

「オレが死ぬわけないだろ?」

「そうだな…そうだったね」

ユーリの一言で安心感を得た。そうだ、ユーリが死ぬはずない。何より、一人で消えてしまうなんて僕が許さない。

「フレンもしぶとそうだけどな」

「お互い、そうだね」

そう言うと、お互い心の底から笑い合った。幸せなひと時を噛み締め、二人でしばらくの間語り合った。




「そろそろ、良い時間か」

ユーリはそう言うと立ち上がった。彼の綺麗な黒髪がそよ風に揺られ、なびく。手入れをしていないというのに何故こんなに綺麗なのだろうか。いつだったか忘れてしまったが、彼に何故手入れをしないか聞いたところ「そんな女みてえなことするかよ」とのことだ。

「そうだね。明日もあるし」

オレの言葉に応え、フレンも立ち上がる。
彼の短く柔らかな髪の毛が風に揺らぐ。ふわふわとしていてつい触ってしまうが、触ってやると気持ちよさそうな顔をするもんだから、見ているこっちは癒される。
お互い向き合い、決意が込められた瞳を貫くように見つめ合い、微笑んだ。

「じゃ、あんま無理すんなよ」

「君こそね」

「フレンよりはマシだっての」

「そうかな?」

「そうだ。少しは自覚しとけよ」

「わかったよ」

そう言い残し、背を向け別々の道を歩き出す。
お互い、一度も振り向くことなく立ち去った。
僕らはどんなに離れていても一緒なのだ。
この同じ空の下にいる限り、どんなに遠くへ行って姿が見えなくても






ずっと一緒。





オレ達の行き先は、風だけが知っている。







ほのぼのと言えない/(^o^)\
なんつーか視点がユーリだったりフレンだったり第三者だったりころころ変わってすみませんわかりにくかったと思います私も何がなにやら!
もうひとつの方よりすんなり完成しました
なるべく短くしたつもりですが普通に長いですね短編書けるようになりたい…!
こちらも一応フリーでした
10000HITありがとうございました!
2011.3.25 修正


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あきゅろす。
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