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Yuri × Flynn
おやすみ
初めて書いたユリフレ小説
グダグダです\(^o^)/






ユーリがフレンの元へ訪れてから、もう既に数分が経っただろうか。二人は会話をまるでしていない。痺れを切らしてユーリがフレンを呼んだ。

「おーい、帝国騎士団長さん」

「…〜ッ!何だい!書類整理で忙しいんだ!」

「また随分苛立ってんな」

ユーリが苦笑いを浮かべそう言った。
フレンは騎士団長になってからというもの、ずっと忙しい日々を送っていた。騎士団長という立場は、やはりというか仕事量が多い。任務をこなしつつ、書類も書かなければならないのだ。忙殺されかねないほどだ。

「あ…!すまない…ユーリに当たるつもりはなかったんだが…」

一瞬間を空けてフレンがはっと正気に戻りユーリに謝った。ここまで彼が苛立つのは珍しいぐらいだった。それほどまでに溜め込んでいるのだろう。

「いや、気分悪くしてねえよ。お前は無理しすぎなんだよ。少しは休め」

「だけど明日までに終わらせないといけないんだ。これぐらいどうってこと…な…」

言いかけて、フレンの視界が歪んだ。

「な…フレン!」

フレンがバランスを崩し倒れる直前、ユーリがとっさに彼の身体を受け止める。その身体は心なしか、以前訪れたときより細くなっていた。きっと食事の時間すらも仕事に回しているのだろう。昔からフレンは頑張りすぎる。それが長所でもあり、短所でもあった。

「…ったく、倒れかけてんじゃねえか…お前ちゃんと飯食ってねえだろ」

「はは…すまない。でも今日中に仕上げないと…」

そう言いフレンは笑ってごまかすが、疲労の色はひどいものだ。無理をしているのは一目瞭然だ。おそらくフレン以外の者は見るだけで気付くであろう。
ユーリは軽く溜息をつき言った。

「お前、自分の顔見たか?顔色悪すぎ。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?」

「…平気だよ。そう見えるだけだから」

ユーリが言った可愛いということを言い返すこともしない。いつもなら赤面して言い返すはずだ。そこまで頭が回らないのだろう。このままではいつ倒れてもおかしくない。さすがにこの状態には黙っていられず、ユーリは怒鳴った。

「…いい加減にしろ!隠せてるつもりだろうけど、全然隠せてねえぞ。お前、少しは自分の心配しろ!」

「あ…うん、すまない…」

フレンが縮こまって謝る。その反応にユーリは言いすぎたと思い頬を掻いた。ユーリもフレンがここまで弱るとは思っていなかったのだ。

「…悪い、言いすぎたな。ほら休め、横になっとけ」

「うわ…!でも僕は…!」

ユーリはフレンを無理矢理ベッドへと寝かせる。というよりは寝かせなければならない。フレンの顔を見れば目の下にうっすらと隈ができている。睡眠時間を削ってまで務めを果たそうとしているのだ。

「優秀な部下が何人もいるんだろ?任せちまえよ」

「な、何を勝手なことを…!彼らだって忙しいんだ!」

あまりに勝手なことを言うユーリにフレンも負けじと言い返す。だがやはり、口では負けてしまう。

「お前がこんな状況だって知ったら、あの猫目の姉ちゃんが俺の次ぐらいに五月蝿く言うと思うけどな?」

「ソディアか…。はは、確かにそうだ」

彼女もまたフレンを慕っている。常に尊敬と憧れの眼差しでフレンを見ているのだ。ソディアはフレンのことをユーリの次に心配しているのではないかと思うぐらいだ。彼女は本当によくやっている。

「部下が入ってきたらちゃんと言っとけよ。ユーリ・ローウェルからの伝言で、フレンは今日一日絶対安静だってな」

「全く、君は勝手だな…でも、そうしておくよ」

フレンは困ったように笑顔を浮かべた。それを見てユーリは安堵の息をついた。大人しくしていてくれるのだろう。ユーリはこの状態は部下達に言うまでもないかと思った。この様子では部下達もきっと、フレンに休むよう言うだろう。

「それからお前、熱あんぞ。ホントに無理しすぎだって」

「へ?…あ、ホントだ…ぼんやりするはずだね」

そう言いフレンは少し笑った。
フレンはいつも他人に言われてから自分の体調に気付く。もう少し己に気にかけてほしいものだが。
下町で暮らしているときだって、熱があるのに外で走りまわったりしてした。突然倒れたときは本当に驚いた。熱は40度近くあり、何故遊べていたのか不思議ですとか医者が言っていたのを覚えている。その時フレンは「きょうはあたたかいなあって思ってたのは熱があったからなんだね」とか笑顔で言ってたっけ。昔からこの天然鈍感無意識騎士様には振り回されっぱなしだ。
そんな幼い頃のことを思い出しながら、ユーリは窓に手をかけ開けた。ユーリは窓からやって来て窓から帰るのだ。

「とにかく寝とけ。俺はそろそろ帰るとしますか」

「え…?あ、ああ…そうだね…ユーリも、忙しいしね」

フレンは微笑んでそう言うが、彼の瞳はまるで子供のように寂しそうなものだ。そんな瞳でユーリを見た。相変わらず可愛い奴だ。そう思いユーリは抱きしめたい衝動に駆られるが、なんとか耐える。

「…なんだよ、その居てほしそうな目は」

「へ、そんなこと…」

フレンはまたごまかそうとするが、長年共に暮らしてきたユーリには言わずとも伝わっている。一緒に居てほしいという気持ちが。ユーリはフレンの元に歩み寄った。

「仕方ねえな、寝付けるまで居てやるよ」

「…嬉しいよ。ありがとう」

フレンは素直に喜んだ。
その笑顔はまるで天使のようで、男女関係なく癒されるものだ。あまりに眩しい笑顔に良からぬ輩に狙われてしまうということもあるが、事あるごとにユーリが潰してきた。それほどまでにユーリはフレンが大切なのだ。

「どういたしまして。手握っててやるよ」

「ありがとう…落ち着くよ…」

そう言い安心したフレンに、一気に眠気が襲いかかる。フレンは目を閉じた。

「おやすみ、フレン」

ユーリはそう言いながら、空いているもう片方の手でフレンの頭を撫でてやる。ふわふわしていて撫でているこちらも気持ちがいい。

「おやすみ…ユーリ…」

フレンはそう言うと、夢の世界へと旅立って行った。



「寝たな…さて、伝言はどうすっかな。せめて同期の奴が来てくれたらな…」

穏やかに眠るフレンを見つつ、ユーリは呟いた。彼はその寝顔を見て、安心したように微笑んだ。それはとても幸せそうな顔だった。
ユーリはフレンが寝たので帰ろうとしたが、繋いだ手を中々離そうとしてくれない眠っているフレンを見て、起きるまで居てやることにした。
目覚めて誰もいなかったら、こいつは不安感に押し潰されるだろう。今のフレンはあまりに不安定だ。

「つくづくオレは、フレンに甘いな」


(せめて夢の中では休んでてくれよ)






おやすみ






ユーリはフレンに甘いと思います!
というかフレンはもっと強い子ですよね、すいません!
ユーリの前では素になって弱くなったらいいと思います
しかし初めてだったからか何が書きたかったのかよくわからん
2011.2.26 修正


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