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小説
それは彼の係です



────びぇえええーーっ!!


今日も元気に響く彼の声

ああ、これで4日連続ですね…。

「晴人くーん…よしよし…」
夜泣きがひどいこの子は 一度泣き出すと泣き止むまですごく時間がかかった
ベットから抱き上げて背中を叩いてみても、一向に泣きやんではくれない
「ハル、大丈夫か?代わるぞ」
「平気です。明日も早いんでしょ?ハルお外を散歩してきますので隼人さんは寝ててください」
「だったらオレも行く」
「大丈夫ですから…」
10代目の右腕として働く彼に無理はさせられない。そうしている間にも晴人は更に激しくぐずりだした
「うえぇーーっ!」
「わ。」
「よしよし…」

2人で晴人をあやすがやはり泣きやんでくれそうにない

このままだと2人とも睡眠不足でダウンしちゃいます……


ハルがどうしよう…と晴人を抱きしめた時、ふいに足元にモフモフと柔らかい感触

「あれ、瓜ちゃん?すいません、起こしちゃいましたか」
しゃがんで頭を撫でようとすると それをスルリとかわして晴人の隣に陣取った

まさか引っ掻いたりしないだろうか…
と隣で隼人さんが焦っている
けど見守ってみようということになって瓜ちゃんをじっと見つめた

にょきっと伸ばされる瓜ちゃんの腕
それはゆっくりと晴人のほっぺたへ…
つ、爪が立っている!!

「お、おい瓜っ!お前なにを…」

ぷにっ

「なっ」
「え?」

ぺたっ
むにっ
むぎゅう

瓜ちゃんが自慢の肉球を使って晴人のほっぺたにスタンプを押したり揉みくちゃにしたり
ああなんて羨ましい…


……あれ?

「晴人…泣きやんでますね」
瓜ちゃんが晴人のほっぺたを揉んでからというもの、ずっと聞こえていた元気な声が静まっていた
「ああ…」
当の晴人はと言えば穏やかに寝息を立てているところだった

「にょお〜…ぁ…」
瓜ちゃんは眠そうに大あくびをすると いつもの寝床ではなく晴人のベットに飛び乗った。
一緒に寝てくれるのだろうと察して ベットに息子を下せば、丸まってその柔らかい毛をすりつけていた


その日から瓜ちゃんは晴人に寄り添って眠るようになり
晴人の夜泣きは嘘のように収まった

「これって、肉球パワーというものなのでしょうか…隼人さん」
「知らねぇ…けど、すげーな瓜」
スヤスヤと聞こえる優しげな寝息に安心して ここ最近の疲れもあってか2人は倒れるように眠りについた
案の定次の日の朝は寝過ごして、隼人さんは雲雀さんに鼻で笑われたとか何とか…まあそんな重要な用事でなくて良かったです



それから

晴人は瓜ちゃんの事が大のお気に入りになったらしく、暇を見つけては「ういー」「ういー」と舌ったらずで名前を呼ぶ

すると瓜ちゃんは必ず馳せ参じて面倒くさそうに晴人に寄り添う

小さくて可愛い子たちが一緒に遊んでいるのを見て、私と隼人さんは穏やかに笑い合った

ただ問題は、晴人もまだ1才なので 遠慮なく尻尾を握ったりすることで…

にぎっ!!
「ニ”ョ…ッ」
「ああこら晴人。瓜の尻尾を掴むな、痛がってんだろ」
隼人さんがたしなめると 晴人はあ”ー?と言って尻尾を離し、優しく撫で始めた
瓜ちゃんは仕方ない とでも言うようにクシクシと顔を毛繕いしだす

「優しい子に育ってるみたいですね…瓜ちゃんのお陰です」
「…そーだな」

瓜ちゃんのしっぽでじゃれる息子はとても楽しそうで、こういう屈託のない笑顔は天使を思わせる

いつかこの子もマフィアの世界に行くのだろうか
ツナさんとこの家綱君は、ボンゴレの血統により11代目になる事が決まっていて
ツナさんは息子をマフィアにしたくはないと言っていたけど、やっぱりそういう運命で

だったら、この子もきっと
家綱君の友達になるから

行ってしまうのだろう。守護者の一員として



「いつか瓜ちゃんが晴人の相棒になったりするんでしょうかね」

「……かもな」


子供の成長は早いから
私たちも同じく年をとるから

それまで…

「瓜ちゃん、晴人をよろしくお願いします」
「頼んだ」
毛繕いをやめて、瓜ちゃんはじっと私たちを見つめた

「…にょおん」
確かにそれは、任せとけ と言ったように感じた


晴人を見守る保育係であり
私たちにもしものことがあった時のナイト

心強い彼らの相棒だから



End.

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あきゅろす。
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