[携帯モード] [URL送信]

小説
卒業式A
ふいに山本が何かに気づいてフェンスに手をかけた
軽く軋むそこは、他のフェンスに比べて少し新しい感じがした

「そういやあ、ここだったっけな。ツナがオレを助けてくれたとこ」

───オレを止めてくれた場所

「山本…」
痛い過去だけど、それを乗り越えて 今の彼がある
今の山本の顔は晴れ晴れとしていて、ただ照れ臭そうに、懐かしそうにフェンスを撫でていた

それを見ていた獄寺は思い出語りに乗り遅れるものかと勢いよく走り出し屋上の右端に移動した

「10代目ー!こっち、こっちです!」
手を大きく振り ツナを呼ぶ
なんか嫌な予感がする…と思いつつとりあえず手を振る方で歩み寄った

「覚えてますか、この裏庭」
ドヤ顔で覗き込んで指差しているが、記憶にある中ではあまり良い思い出とは言えない
いきなり宣戦布告され、いきなり大量の爆弾を投げられ、とりあえず火を消したら勝手に舎弟になっていたという…曰くつきの場所だ

「あは…は…、まあ忘れられないっていうかなんていうか…」
「あの時は本当にすいません!でも10代目に命を救っていただいた場所なんで、オレにとっては今は大事な場所なんです」
ニカッと笑う彼
時々暴走もするけれど、こういう時はなんかつられて笑ってしまう
今ならこの災いの始まりと思っていたそこも懐かしい思い出の場所に……場所に……なるかな??(冷や汗ダラダラ)


そんなこんなでこの3年間について色々語り合った。
毎日爆発パーティーみたいな感じで、騒動が騒動を呼ぶ毎日毎日。

そういや運動会でハチャメチャな棒倒しやったり、授業参観でチョーク粉にしたり、グラウンドを真っ二つにしようとしたよな。
普通とは言い難い、でも、思い出すとつい笑ってしまうような日々。
この3年間はみんなに会うまでに過ごしてきた月日より何倍も楽しかった

だからこそ
仲間に出会ったこの場所を離れるのは寂しい

この校舎には沢山の思い出が詰まっている
今なら雲雀が学校を去りたくないと思う気持ちも分からなくはない気がした(若干理由は違うと思うけど)


「10代目…そろそろ卒業式始まります」
「だな。行こうぜ、ツナ」
二人の背中は、出会った頃とは随分違う。
いろんなものを背負って、乗り越えて、強くなって

頼もしく大切な仲間の背

自分の背中を任せ、絶対解けない永遠の友情がある


「うん!行こっか」

春の空気が背中を押す
さよなら。オレたちの屋上


爽やかな決意とは裏腹に、獄寺が扉にくくりつけた針金が思った以上に強固で取れなくなってしまい、式に遅れそうになったので、
Xバーナーで吹っ飛ばしたとかそうでなかったとか


[*前へ][次へ#]

5/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!