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小説
Fanfare!C
大分道を進んだ頃
今までの細い道から、割と大きめな通路に差し掛かった
血痕のないところを見るとまだここでは戦闘は行われていないらしい

「敵さんいないなー…ん〜罠かな」
警戒して損はないと通路いっぱいに突風を巻き起こした
ゴオオオオオ…と鈍い音を立てながら壁、床を削り取っていく
すると廊下が揺らぎ、大広間へと変わった

やっぱし幻覚か

「くっおのれ…」
「うーわ、でた」
目の前にはゴツい男ら若干50名以上
め、ん、ど、く、せーーーー

16歳のか弱い女の子相手にゴロツキ50人とかなんなんだこの状況。
すぐさまイヤホンを全部隊に繋いだ
「あーあー。ファーレですが、只今むさい筋肉共に囲まれております。至急一階、西側の大広間までお越しくださいませ〜ピーンポーンパーンポォーン」
言う間にも先端が尖った物騒なものが遠慮なく急所を狙ってくる
うーわわわ、やってらんないぞこれ
男たちの雄叫びのせいでイヤホンからの声が全く聞こえない
なんかう”ぉぉいって小さく聞こえるけどスク隊長だな。うん。

「仲間と通信か」
「そーですけどーまあ、私一人でも殺れるっちゃ殺れるかな」
「減らず口があっ!!」
またしても幻覚でぐにゃりと曲がる部屋
あ、これ救援来れなくね
まぁ状況からしてどっちみち倒すっきゃないか

「とりま、暴風!」
吹き荒ぶ風
嵐のようにも見えるけど立派に雲の風増殖
それも超巨大サイズの突風

「うおおおお!」
何人かは風をもろに受けて吹っ飛ばされていき、残った奴らはずるずると後ずさる
これで目的の私と敵の間合いを広げることに成功した

けどまあ、全員飛ばすまでは至らないので
ほとんどは無傷のまま既に立ち上がっていた
「ふっ、風ごとき!!」
「風ごときぃ?」
暴風でちょっとは実力の差を察して素直に降参してくれるかと思ったんだけど…

分からないならしょうがない

ニヤリ

「じゃあ、これはどうかな」

───受け止めてみて?

「台風。」
渦を巻く圧倒的破壊の風
いくら屈強な男らであろうと、この風の前に太刀打ちは出来ない
なんせこの風は重さ数百キロの重機さえ吹き上げてしまうパワーを持っているのだから

密閉されたこの部屋では
私の風は逃げ場がない
よって轟々と押し寄せる風で端に追い詰められ彼らは読んで字のごとく袋の鼠になる

「おのれえええぇぇぇあ!!」
例外として、技が強く打ち出される前の微風の間に走り寄る者が数名

予想済みですけどね

スッと手を引っ込めて力を集中させる
風の使い道は大雑把に吹き飛ばすだけじゃない
収束させて小回りのきく力に変える
「ていや!」
「うぎゃああ!」
放ったのはごく普通の空気砲(別名カメハメ波)
ただピンポイントに鳩尾を突いて部屋の端まで吹っ飛ばしたので威力は折紙付き
無謀なソイツに続いてきた馬鹿どもを次々と薙ぎ倒し、生き残った者、私に飛ばされた者は台風に押し潰される

───後は台風が全部片付けてくれる。

手の中の力を解き、向かい側の壁の様子を座って眺める
とはいえ相手もプロ集団なので余念なく風で自身を防御しつつ やっと通信の声を聞いた

『う”お”ぉい!聞こえてねえのか死んでんのか分かんねえぞぉ!!』
「あーもしもし。生きてまーす、ばりっばり元気でーす」
『なーんだ生きてたのか。王子てっきり殺られてっかと思ったのになー。てかもしもしってなんだよ電話じゃねーよ』
「うるさい両目鬼太郎ヘアー。状況的には敵全滅かんりょー。です」
竜巻は見事敵陣を巻き上げ
立ち上がるものは確認できない

「あ、恐らく幻覚を作ってたやつも片付けられたと思うんでコッチに来られるはず。どーぞ?」
『む、先程まで無かった道が…』
そして轟音と共に各方位の壁が破壊され
雷撃隊と嵐隊がお目見えした

「やっほー。結局私がやっちゃったね。全部」
「チェ、今回はただの雑魚掃除かー。にしてもそいつら弱すぎじゃね?無線で聞いてたけどさー」
一方的に風にやられる展開に、やはりこの王子も違和感を感じたらしい
「うーん…確かに新設された激強暗殺部隊にしては弱すぎるね。まだ何かあると見た」
「おい、あの部屋の奥。まだ部屋があるのではないか」
レヴィさんが指差した先には確かに扉がある
恐らくそこが暗殺部隊の本山

「どーします?先輩方。ここでスク隊長とルッス姐さんの到着を待つか、私たちだけでやっちゃうか」

言った後にちょっと後悔。
我ながら無粋な質問をしたもんだ
こんなもん、彼らなら答えは100%決まってる


「何言ってんの、王子だけで十分だし♪」
「同感だ。私たち ではない、オレ単独でやる」

ほらね。協調性というもんを何処かに捨ててきてるんだよこの人たちは

「あーあー分りました。ハイ。暴れたりないんですよね、先輩方」
「そーゆーこと♪っつー訳でお前らはここで大人しく王子の出待ちでもしてな」
「それはこっちのセリフだ。オレにはボスにミッション遂行の報告をする義務がある!!」
収拾つかん。
こーいうときのさくせんたいちょー

ピッとスイッチを入れて無線をつなぐ

「スク隊長様。このお二方どうにかなさってくださいやがれ」
『オメー静かに怒ると怖えなぁ』
「あっはっは、よく言われます〜。もう私の手に負えませんので新しい指示をくださいまし。敵の本陣に誰を突っ込ませるか、雨、晴隊が来るのを待つか」
にこやかに笑っているがその手には風が渦を巻いている。
万が一にも奴らが単独飛行しそうならばその瞬間確保する為に、だ。

さあ、ご指示は?

『こっちは情報収集で着くまでに時間がかかる。嵐と雷と雲で 残り制圧しちまえ』

聞いたか、オマエら

「許可下れり。さー行きますか」
「言われなくても勝手に行くしー」
「奴の指示に従うのは癪だがな」

幹部三人が部下をゾロゾロ引き連れて


さて


いっちょ本丸狩りますか。

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