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小説
Fanfare!@


これは、リング争奪戦から一ヶ月が経って
リングの炎が力を発揮しだした頃のお話…



招かれざる客は真昼間にやって来た
それも堂々正門から

「あーーのーーっHelloー?ちがうCiaoーーこんっちわーここヴァリアーさんのお宅で宜しかったでしょうかー?」
ドンドンドンドンと騒々しくドアを叩く

「あ”あ”!?」
中からくぐもってはいるがデカイ声が響き、
続いて何かヒソヒソ声が聞こる
こっそり聞き耳を立ててみると「アンタ出なさいよ」だとか「そんなもの部下に行かせろ」だとか「じゃあジャンケンな」など実に日常的な会話。
ややあって「ちぇっ」という舌打ちとともに誰かが近づいてくる気配がした


さてさて…どんなビックリ人間が出てくるか

───お手並み拝見。ヴァリアーさん


ギギギ とドアが老朽化した音を立てる
隙間から顔を出した少年はニヤリと笑いながらナイフを構えた。私と同い年ぐらいかな
「ハァーイ ヴァリアーさんのお宅ですけど〜 …悪いけど死んどいてくれる?ウチのボスさんが無粋な客はぶっ殺していいって言ってたし」
物騒なお言葉に躊躇なく「いーよー」と返すと少年は一瞬キョトンとしたが、すぐにドス黒い殺気を放ってきた

さぁーて… まずは挨拶かな

「君オモシロイじゃん♪じゃ遠慮なく」
「どーぞ♪」
彼はナイフをズラッと構える。普通ならここで多少の緊張が走りお互いに様子見をするのだが
私は何もしない。自然体のまま彼を見つめる
案の定 いつまで経っても戦闘態勢にならない私にしびれを切らしてか怪訝そうに疑問を投げかけてきた
「そんでおたくエモノは?殺る気あんの?」
「ん〜…武器ならもうあるよ」
余裕綽々。そんな雰囲気を醸し出す
不信感に口元を歪めるが また好戦的な笑みに戻った
「ふーん? まっいいや。退屈しのぎぐらいは…してみなよっ!」
ヒュンとナイフが空を切る
悪いがナイフの事もワイヤーの事も既に調査済みだ。
ナイフを最小限の動きで躱しきると、ヒューウと口笛が飛んできた
「やるねー。でも、これはどうだっ」
ナイフが一気に倍増する
それはさながら鉄の扇子の様だった

ちょっと挑発してみよっかな

「おースゴイ数!くそ趣味悪いナイフだけど」
すると彼の口がへの字に曲がった。擬音で表すならばムスッというのが似合いの顔だ。
そんな彼は助走をつけて私に向かってきた
「うっせー ハイこれでバイバーイ」
軽く50本は超えようかというナイフが一斉に私に向かってくる

トトトトトトトトトトッ

軽快な音と共にナイフは何かに突き刺さり動きを止めた
「はいふぃにーっしゅ!おっしまい♪」
自身に満ちた声を上げる彼。
ナイフは人型に刺さった形のままだ

ふっふっふ…残念でした
……フィニッシュ決めたのは…私だ。ナイフ君

パチンと指を鳴らす
途端に私の周りで空気が膨張する
そうナイフは刺さったのでは無い
空気の層に止められたのだ
そして同時にナイフ君が苦しみだす
「う”………ぇ 何コレェ”」
「空気♪」
「くう……ぐぇ」
「こーさんする?」
「誰が…すっか!」
「おぉーいヴァリアーの人ーかもーーん」
「え” ちょっ 呼ぶな〜!」
時既に遅し。というより戦いは最初から観られていたらしくドアからヴァリアー一家が出てきた

「う”お”おぃテメー面白ぇガキじゃねぇか。オレにやらせろぉ」
目つきの悪い白髪ロン毛
「フッ 情けないなベル」
ツッコミどころ満載のオッサン
「もぉアンタこんな女の子に負けちゃったのぉ?」
オカマ。
見た目からしてとても愉快な仲間達から罵詈雑言を受けてナイフ君は殺気全開でもがく
「う”っせ〜 …てめ離せ〜!…」
うぐぐぐぐと苦しむ仲間をよそに他の方々は呑気に茶化している

オイオイ大事なファミリーでしょ。助けようとか思わないのか。
さすがはヴァリアークオリティー…

とまあ冗談はさておき

──本題、行っときますか

背筋を伸ばし落ちたナイフを一本拾い上げる。空気が一瞬ピシッと固まった
「んとー 交換条件、いかが?」
先程捕まえた彼をナイフで指差してニコリと笑って追い詰め…たつもりなのだが、さっきの殺伐とした空気はどこへやら あっけらかんとヤツは言いやがった

「あ”ぁ”?そんなイカレたガキ一人で交渉になると思ってんのかぁ?」
「えっ、ならないの!?」
「オィッ 鮫ヤロー」
捨てた。アッサリ切り捨てたよこのロン毛
「そもそもコッチは4対1だしなぁ。特別に今すぐオレがかっさばいてやってもいいぞぉ」
しかも血気盛ん!!
「う〜〜んそれはちょっと…」
「なンだぁ?怖気づいたかぁ」
「ナイフ君シメながら闘るのはキツいので…取り敢えず、可哀想なのでちょっとは心配してあげません?」
とうとう居た堪れなくなって可哀想とか言ったがその状況を作ったのは私だ。そうだった忘れてた

一瞬バトるか…という雰囲気が漂ったその時、
バリーン!という破壊音と共に2階の窓ガラスが派手に飛び散った
咄嗟に空気でそれをガードしながら目を凝らすが、どうやら強力な炎エネルギーが噴き出したらしい
なんじゃありゃ とおっかなびっくり眺めていると、目の前のオカマが「アラぁ…」と感嘆した
「ボスぅ〜〜ダメじゃな〜いアジト壊しちゃ〜」
「ボス…流石だ…」
「オイオイ、またやりやがったかぁ」
まるでいつもの事だという反応を見せるヴァリアー幹部たちに驚愕の視線を向ける
オイオイはコッチだよ。ものっすごい勢いで窓ガラス吹っ飛んだのになんだその軽い反応は
さすがヴァリアークオ…っていいやもう

「う”お”ぉぉいボスさーんっ あなたの部下達が話を聞いてくれないんですけどもーー」
「う”ぉいっ 真似すんなぁ!」
「娘。ボスを侮辱するのはこの雷の守護…」
「キャーあなたの部下のエロオヤジジィがナンパしてきますーーーー」
「エロオヤジジィ…!?」
「……ねぇヤバくない?ボスはいまお昼寝の時間よ。あんまり騒ぐと…」
「え、昼寝ぇ?」
じゃあさっきのバリーンは?
私の表情から察したのかご丁寧にもロン毛が注釈をいれる
「さっきのはボスさんの寝ボケだぁ」
え、ネボケ?ってことは…
「ええぇ!寝ボケて打っちゃうの!?アンタらよく生きてますね!?」
寝ボケの不意打ちがあんな高威力のモンなんてちょっと油断したら木っ端微塵じゃん!!
「こんなんでいちいち死んでられるかぁ」
「ボスに殺されるなら本望だ」
ええっ なんなんだこの人たち。普通の感覚マヒしてる

頭大丈夫かと言いかけたその時、私の足元で冷や汗をかいている人が一人
「しし…し…ちょ………そろそろ助けろよ」
とうとう耐えきれなくなったナイフ君が根を上げ始めた。チャンス!
「そっすよ。結構辛いですよ私の技。お仲間ぴんち!!さあ私の話を…」
言いかけた時、それはそれは愉快そうにロン毛がデカい(うるさい)大声で「ははははは」と笑った
「傑作じゃねぇか 自業自得だ!しばらく大人しくし… う”げぇ!!」
バリン!ガスッ!バキボキ…
いかにも痛そうな音が鈍く響き渡った

一体私の眼の前で何が起こったのだろう。

二階から突如として人のようなものが飛来し、その後ロン毛さんが潰れた蛙のような声を出して地面に沈んだ

──ってか問題はそこじゃない

目の前には獰猛な野生の虎を思わせるような鋭い目つきをした男──則ちヴァリアーのボスことXANXUSが君臨していた


どーも と言いかけた時「ドカスが」と足の下のスクアーロさんを蹴っ飛ばし、そのまま私に突っ込んできた

「ちょお待った!お話したいんですがぁぁ」
ナイフ君を抑えたままでは分が悪い
何とか宥めようとすると先ほど蹴り飛ばされた屍と思しき物が息も絶え絶えに言った
「無駄だぁ…お前はボスの眠りを妨げた。こうなったらボスは誰にも止められな…げぶぉ!!こ、こんのクソ…ボスが…」

アレ、今意図的にボスに蹴られなかったかこの人。ああそういう役回りの人か。おつです
ていうか起こしたのは160%アンタの笑い声だろうがーーー!!

心中のツッコみも虚しく目の前の獰猛な何かがその身を虎の如く躍らせ、迷いもせず私の急所を狙ってきた

マズイ、ひじょーにマズイ

本気の殺し合い。いやいやいや、無理でしょ。相手はボンゴレの元10代目候補で仮にも9代目の御子息だし!怪我とかさせらんないし!
ニッチもサッチも行かなくなった状態でとうとう決断を迫られる

あ”ーーーーー
これは無理!! やっぱ無理!

仕方なくナイフ君を解放し、目の前の殺し合いに集中する
私は周りでブワッと空気が膨張させる
すると野生の勘か(あるのかどうかよく分かんないが)ボンゴレの超直感か彼は光を手に宿した

尋常でない殺気を伴う破壊の光球は首元めがけて伸ばされるそれを紙一重で躱した
互いに一歩後ろへ下がり均衡状態が続く

沈黙を破ったのはオカマだった
「ボスが…後ずさった… 」
それに反応してボスは不機嫌顔で膝蹴りを食らわした
空気が一瞬緩んだことでドッと汗が噴き出す

あーヤバかった。すごい炎だよ…。

フゥと額の汗を拭うとふいに彼が低い声で威嚇するように詰問してきた
「テメー…何者だ」
やっと話を聞いてくれる気になったのか彼が手を降ろす。
相変わらず刺すような殺気は消えないけれど

このチャンスを逃す手はない!

「えとー…ファーレと申します faroと書いてファーレ。……目的のためにシチリアから来たフリーのマフィアです」
あまり役にも立たない自己紹介を終えると 彼は私に先刻まで拘束されて息が上がっているナイフ君を一瞥してフンと鼻を鳴らした
ロン毛が「楽しそうだなボスさんよぉ」と茶々を入れるがガン無視だ
そしてトラの唸り声が如き声で言った
「望みは何だ」
来た。

「……私を」

「私を貴方達のファミリーの雲の守護者にしていただきたい」
ニコリと微笑んだその時、全ての殺気が私に集中した。ザワザワと木々が騒ぎ出す
「ハッ…やってみろ。ドカスが」
号令とともに 刀がパラボラが鉄の膝がナイフが破壊の光が 一斉に私に向けられる
私はというとただただ惚けていた

やってみろって…どういうことなんだ!!
アレか?全員倒さないと入れてくれない系か?だとしたらこれが入隊試験ということなのだろうが…血気盛んすぎやしないかヴァリさん達!

襲いかかる凶器(狂気?)を間合いを取ってなんとかやり過ごした

「ちょ、ちょっと…!急すぎっす!!」
慌て気味に言えば先刻まで屍だったものが元気に刀を振り回しながら不敵な笑みを浮かべた
「諦めろぉ…お前の選択肢は@死ぬA死ぬB死ぬだぁぁぁ!!」
「えー!死ぬ以外の選択肢はー!?」
「残念ながら無いな。小娘」
「うふ」
だーーーーーーっ!!実力主義かーい!
「分かりましたよ!やりゃーいんでしょやりゃー!」
雲の炎を指輪に灯す
一瞬相手は警戒の色を示すが、すぐに暗殺者のソレに意識が変わる
反応早いなぁ。ケドね……

もうすでに我が術中!ぶわははは!
って私はどこぞの悪役か

空気が私の周りで膨張し、あらゆる障害を跳ね飛ばす
鋼鉄の一撃も天から降り注ぐ雷も、ワイヤーで飛ばされるナイフも振り下ろされる刀も、正面から押し放たれる破壊の光も

絶対領域。私には触れさせない
ブォォ…と低い唸り声が彼らを後退させる

「ブフォ!」
「なんっつー風ダァ!」
「いやん!!」
「……クソガキが」
チャ と銃の音が聞こえそれと同時に発砲音が猛々しく響く
「くっ!」
これは風では避けきれないと判断した私は咄嗟に横に転がった
元いた場所をみれば案の定風のシールドはあっさり霧散していた
「ししっ さっすがボス。さァどーする?」
ナイフ君が挑発してくる。
狼狽えるとでも思っているのだろう言葉には脅かすような響きが混じっている
それに返事をするようにニッと口角を上げてゆっくりと右手を挙げた
何が始まるのだろうと全員が私の右手に意識を向けた

ふふふ……

──もう術中のあなた方へ…プレゼント フォー ユー!!
パチン。小さな音が再び軽快に鳴る
「な”…にっ」
「息が…」
「出来ないわ〜!」
「またこれかよ…!」
部下'sが悶える。

だがもうそこにボスの姿はない

「…もう攻略されちゃったか…ほんとすごい人だね。XANXUSさん」
ヒュウウウウと飛来音がして頭上から高圧力のエネルギーが降ってくる
四人を抑えたまんまじゃ殺られる…ほんと仕方ないなぁもう
パチンともう一回指を鳴らすとゼェゼェと解放された方々の息遣いが響いた

そして空気を一点に集め天からの攻撃を受ける

辺り一帯は閃光に包まれ、そして…決着の時は訪れた




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